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すべての人が自由に生きる権利がある(2)

前回の続きです。


その約2ヶ月後また発作が起き、わたしの携帯には彼女の姉と名乗る人からの何十件もの着信履歴とメッセージがあった。生理痛で薬を飲んで寝ていたわたしは気づくのが遅かったのだが、彼女はまた自分で病院に行ったそうで、この時は職場の方に迎えに来てもらえたそう。


わたしはその時は家のドアを開けて彼女を家に入れることしかできなかったけれど、とにかく無事でよかった。


彼女は申し訳なさそうにすみませんと繰り返し、でも目は合わせてくれず。そしてボソッと「◯◯(タイ人のルームメイト)にも何回も電話したのに出てくれなかった….」と言った。

ずっと思っていたけれど、彼女は人間不信なところがある。

推測でしかないけれど、望んでてんかんになったわけではない本人としては、周囲に迷惑をかけて申し訳ないと思う反面、好きで発作を起こしているわけじゃないのを分かってて、そして、発作が起きた時に助けてくれる人とそうでない人がいる事もわかっており、毎回その“裏切り”のようなものを感じてきたのではないかと思う。


そんなことを繰り返していると精神が病むのは言うまでもない。彼女が鬱かどうかはわからないけど、わたしから見て人との接し方で感覚が少しおかしいなと思う部分が多く、話をしていて無理しているなとか、そんなに仲良くないわたしにも職場の愚痴ばかり言ってしまうところもある。

わたしからしたら、彼女はワーホリのくせに、そんなに周囲が見えちゃうんだ、、と思ってしまった。
なんと言ったらいいか、、海外に来て1年目というものは、何もかも新鮮で楽しく、辛いことはあるけれど、あまり悪いところまで目が行き届かないはずなんですね。マナーの悪さやモラルがない行動に対してですら「いろんな人がいるね♡」と言ってしまうほど頭の中がお花畑の日本人が多い中で、驚いてしまう。

そんな彼女は人の悪いところが見えてしまっていて(人の悪いところしか見えなくなっていると言った方がいいかな)、相当苦しいだろうなと感じた。
わたしもエンパスなので人の邪気はすぐ受けるし、人間不信で、おかげで接客業なんて今後は一切お断りじゃ!という感じになっているのに、それを上回っていると感じさせる。
部屋に彼氏的な男の子を取っ替え引っ替え呼んでいたとも聞いたし、心には穴が空いているのかなと思った。


ルームメイトの彼は、1回目の発作が起こった時点で親が迎えに来て一緒に帰国するだろうと思っていたそう。しかし、「(ビザが切れるまで)後少しなので、よろしくお願いしますね」と彼女のお母様に言われたそうで。

それがいろんな意味で癪にさわり、温厚な彼だけどもお母様に「今回見つかって無事だったからよかったけど、本当に危ないんですよトロントは」と言ったそう。それに、見ず知らずの自分になんでそこまで頼られないといけないのかと。

実際、女の子がトロントで夜に一人でストリートに倒れていて、レイプされたとなったら「レイプで済んでよかったね」かもしれない。それでも「HIVの検査をするから病院に行きましょう」となる。
聞いただけでゾッとしません?
最悪、誘拐されルカ、命の危険もある。日本と同じ感覚でいるとしたら、それは間違いだと言わせてください。


一方で、てんかんだろうが、彼女の人生は自由であるべきで、本人がどうしたいのかを一番に考える必要があるとわたしは思った。現に、彼女も可能ならば(ワーホリが終わって一旦帰国はしないといけないけど)戻ってきたいと言っていた。
リスクはあれど、全ては自分の責任で行動し、他人に迷惑をかけても構わない。それが、生きることなんだと思う。
てんかんだからあれはできない、これもできない、となると、何もできない。

考えると夜眠れなくなるし、答えも正解も不正解もない。


ルームメイトたちは、2回目以降の発作ではもう関わらない雰囲気だったのは感じたし、彼に関しては怒り心頭だった。

わたしは他の子たちよりも長く生きているからというのもあるけど、自分が海外で苦しい時辛い時体調を崩した時、親戚でもないたまたま出会った人が助けてくれた経験がある。
だから、ドアを開けて家に入れてあげれば安心して眠れる子がいるのであればいくらでもする。
一番辛いのは本人なんだ。

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