精神科入院日記vol.2


玄関を飛び出した私は、階段を、ずっこけそうになりながら道路まで駆け下りた。

目の前が真っ暗になった。踏切のカンカンというサイレンの音が鳴り響く。家は、1番近い踏切からは10分程度離れた場所にある。なのに、うるさい。
頭がおかしくなりそうだ。
左半身に、叩きつけられたような激痛が走った。
考える気力もない、ただ、目の前が真っ暗で、痛い。
多分、倒れたのだろう。
動けない。痛い。どうしよう。痛い。
変わらず踏切の音が聞こえる。しかも両耳のそばで鳴らされてるような大音量で。
しばらく涙を流しながらそのままだった。
分からないが、10分くらいか。
知らないおばさんらしき人が、声をかけてきた。

この辺からは、記憶が曖昧であまり覚えていない。ただ、そこおばさんが敵に感じ、頑張って置き上がろとはしただろう。
サイレンが鳴った気がする。踏切のサイレンの音とは違う。
救急車だったか。

次に記憶があるのは、「あっちに逃げるんだよ」などという得体の知れない人からの声が聞こえた辺りだ。
誰だろう。という思考はなかった。私の味方で救世主からの助言だと信じて疑わなかった。

私は一目散に進行方向に走り出した。

昔から足は早かったので、後ろから何人かが追いかけてきていたが振り切り、十字路を信号無視して突っ切り、ちょっと進んだあたりで転んだ。
痛みは感じない。また立ち上がり走り出そうとした瞬間、シャカシャカと音のなるシルバーの服を着た男性二人に取り押さえられた。
続いて、母も来た。

パニックになった。この男の人達、だれだ?
なんで、ママがいるの?
私は何をしてるんだ?
なんで泣いてるんだ?
なんでこんな所にいるんだ?

瞬間的に、色んな考えが過った。
だが、踏切の音は鳴り止まないし、「あっち、あっちだよ」という声は聞こえたままだ。
この声、誰?誰が喋ってる?男の声だ。この私を取り押さえてる男のどっちかか?

私はその男性2人に蹴りを入れた。
女にしては身長は高い方だが、体重は平均どころか、シンデレラ体重以下のひ弱でガリガリの私の蹴りなんて痛くないはずだ。

だが、その男性2人は唸った。
結果としてせん妄のような状態にあった私は、力という力が強くなっていた。

母のことも蹴った。先程、妹に言われた言葉に対して母は私に対して擁護などはしなかった。
妹同様、敵だと思った。だから蹴った。

だが、それでもなお暴れる私を3人は必死に取り押さえ、なだめた。
少しだけ落ち着きを取り戻した私は、救急車の中に運ばれた。
先程蹴ったシャカシャカ素材の銀の服を来た男性2人は救急隊員だった。

隊員の方が、どこかに電話をしている。
何回か受話器を置いて取ってを繰り返し、その度に渋い顔をした。

私はその間、同乗している母に暴言の限りを浴びせた。
「死ねよ」
「お前は敵だ」
「なんで産んだんだよ」
などと言った具合だ。他にもここには書けないレベルの暴言悪口を言い並べていた。

そして、隊員の方が深刻そうな顔で、
「お母さん、運べる病院がありません。統合失調症既往歴のある人専門で見てる病院しかなくて。娘さん、そういった病気になったことありませんよね?ちょっと、車の外まで、いいですか。」
母が隊員の方と救急車の外に出た。しばらく経ち、
戻ってきた。


開口一番母は、「警察、呼ぶから。」
と言った。
その時の私は、母と、実家と離れられるなら、なんでも良かった。
「勝手に呼べよ!」

母は泣きそうな顔をしていた。








お読み頂きありがとうございます。

ネットで検索しても、若い女の境界性パーソナリティ障害についての内容や、精神科入院日記などがあまり無かったため
noteに独り言のつもりで書いて見ようと思いました。

気が向いた時に書こうと思うので更新については不定期です。
間違った日本語使いもあるかもしれません。
現在進行形で通院治療中ですので、またしんどくなったら言葉遣いなどが乱れるかも知れません。
なるべく簡潔に分かりやすく書くことを意識しますが、世の中にはこんな人もいるんだなー、位の気持ちでサラッと読んでいただけると幸いです。


よろしくお願い致します。

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