浮世渡らば豆腐で渡れ(1) 藤井豆腐店の1日
豆腐の仕込みは重労働
豆腐屋の仕事は、朝早く始まる。
開業当初、父と母は、午前2時には、寝床から起き出していたものだ。
年月がめぐり、豆腐づくりの機械で作業の手間を省けるようになると、ふたりの起床時間は、午前3時、そして4時へと遅くなりはしたものの、朝から晩まで働き詰めなのは、引退するまで変わらなかった。
夜明け前から、それぞれ仕事を分担し、開店に備えた。豆腐づくりは、もっぱら父の役割。そのほかの作業が母の役割だった。
早朝、父は、豆腐のもととなる豆乳を作りだす。
ゆう