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「人は変われる」を信じるかどうかの問題(諦めなくてよかったーという話)

”実務協業型”人事制度構築・導入支援を行うTrigger 代表の安松です。

人のパフォーマンスは、能力の差異よりも、取り巻く環境の中でうまく力を発揮できているのか・いないのか?の影響の方が大きいのではないか、と思います。なにせ自分自身、これまでいくつかの会社・組織に所属してきましたが、1度だけ、ある会社のある部署にいたときに、その組織のケミストリーにどうにもフィットすることが難しく、価値を出しきれなかったなぁと思っていることがあります(その後異動によって自分をリセットし、また異動先の上司/同僚のお陰で息を吹き返すことができました。)

このように、自分自身にもそういうことがありましたが、自分がマネージャーとして接してきたメンバーについても、「この人のチカラ(環境適応)を諦めなくてよかったー!」と思った経験が何度もあります。

1.同じ部に2人の新人。1名は自分のチーム、もう1名は別チームへ配属。
競わせるように同部・異チームへ配属された二人ですが、別チームへ配属されたメンバーは早々に仕事に馴染み、立ち上がりが早かったのに対し、私のチームへ来たメンバーはキャッチアップに苦労していました。「彼女の方はちょっと厳しいね…」という周りの声も。。。

2.中途入社で自分のチームへ入ってきた思い強めの若手メンバー。
知識・スキルは十分にあるメンバーでしたが、思いが強く(これ自体はとても良いこと)、そこにこだわるあまり、スピードが出なかったり周囲とのコミュニケーションに苦労していました。ある同僚からは「別の新たな人材補強を考えた方がいいよ...」と。。。

3.就任間もない迷える新リーダー。
私の配下で、就任したてのリーダーがいました。一担当者からリーダーになった場合、そのチームのすべての仕事、すべてのメンバーの担当業務を詳細に熟知して就任するわけではないケースがほとんどだと思います。そうすると、チームの仕事の全容をどう把握して、課題解決をしながら、チームとしての成果に導いていくか、最初はまったく見当もつきません。とにかく目の前の事象に対応していくことで精いっぱい。彼もそんな状態にありました。「ちょっと厳しいのかなぁ...」私自身も弱気に。。。(過去記事に詳述)

上記のいずれも、周囲からネガティブな見解が示される状態でしたが、なぜか私には、「この人が私のチームに来たからには、私はこの人のパフォーマンスを絶対に諦めるわけにはいかない」という考えがいつもありました。1on1や日報を使って、関わりの濃度を上げ、彼/彼女らに伴走していきました。

やったことは突飛なことではありません。毎週仕事の棚卸を一緒に行い、その週にあったこと・感じたことを振り返り、翌週の仕事の進め方を本人が考える。その場に一緒に立ち会い、時折アドバイスや意見交換をしてみる、というくらいです。特段面白い話をしたということもなかったと思います(私の性格上…)。
※ちなみにこの関わり方は昔から変わらないようで、習ったわけではありませんが、どうやら私のスタイルとして定着しています。

しかし、状況は変わりました。上記いずれのケースも、彼/彼女らは、徐々に環境に適応し、力を発揮し始め、チームの仕事に貢献することのみならず、部門全体のコアメンバーへとそのプレゼンスをぐっと高めるに至っています。

そのたびに、私は「今度も諦めなくて本当によかった!」と痛切に思い、そしてメンバーの活躍を心底嬉しく感じます。ここで言いたいことは、状況変化は私の関わりの成果!ということではなく、むしろ頑張ったのは本人たち。でも、それを諦めずに伴走することは、十分条件ではなくとも必要条件だったのではないか、ということです。

山本五十六の名言。 「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」ですが、こんな続きがあるのを知りませんでした。

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

この後半がとっても大事な気がします。

ところで、正直に白状すると、過去には「諦めてしまった」例もゼロではありません・・・。人は「素質」なのか「環境」なのか?という議論は常にあると思います。もちろん、「素質」あるタレントをたくさん集め、最高の「環境」で活躍をしてもらうことがベストではありますが、なかなかそう完璧にはいかないもの。企業人事としては両方を追求しながらも、私自身は「環境」=「組織の人材開発能力」に注力し、事業・組織の成長を志向していきたい、と思っています。なにせ自分自身が、環境に恵まれてこれまでやってこれたから。


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