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【料理本2】小林カツ代と栗原はるみ

新潮社の『小林カツ代と栗原はるみ』を借りて読んでいます😊

本書は百花繚乱、料理研究家の歴史変遷が描かれている。
その中でも現代日本料理史に風穴を開けた
小林カツ代栗原はるみの二段階革命は重要です。

今回は小林カツ代の偉大さを記載していきます。
この2人を同じ記事にまとめるのは難しいですからね。

小林カツ代は1964年にデビューした料理研究家です。「誰もが料理できるようにしたい」が小林のモットーであり230冊ほどの本を世に出し、反戦と護憲の立場を貫き、動物保護、福祉・教育活動に精を出し男性向けシニア料理教室での指導など幅広い活動をした料理界の風雲児である。

夫を主人と呼ばない、仕事相手にも先生と呼ばせない。対等と人と付き合うという事に重きを置いた真っ当な言論人でもあった。

小林は「料理は主婦がするもの」「手間をかける事が良い料理」とする
世の偏見を出刃包丁で魚を捌くかのように緩やかに切り刻んでいった。

小林は家庭料理についてこう語ります。

家庭料理ほど大事な料理はないのではありませんか? 一人暮らしであろうと、10人暮らしであろうと同じこと。家庭料理というのは、うちで食べる料理。朝昼晩、毎日毎日食べる料理です。

『小林カツ代のらくらくクッキング』 小林カツ代

だれでも作れて、肩ひじ張らないで楽しく作れて、そして失敗がないもの。そんな料理の本は欲しかった。よく、失敗を恐れるなといいますが、料理やお菓子は、失敗するとほんとにがっかりしてしまいます。夕食のおかずはこれっきりというときに、とても食べられたものじゃない料理が仕上がったら、どんなにか情けないと思います」

『小林カツ代のらくらくクッキング』 小林カツ代

むつかしい料理も、凝った料理も、
やさしく作ったっていいではありませんか

『小林カツ代のらくらくクッキング』 小林カツ代

誰でも簡単に家庭料理を楽しく作って食べれればいいじゃん。主婦が義務感に苛まれながら時間と労力をかけ難しい料理を作ってどうするの? それが料理の本質なの? そんなわけないよ。本末転倒じゃん。」という事です。

これぞ料理の独立革命です。
小林は既存的価値を反転させ料理の敷居を下げたのです。

小林カツ代のエラン・ヴィタールは留まる所を知らなかった。
その後も小林は家庭料理の技を次々と考案し続けたのだ。

例えば少な目の油を使う揚げ物類がそうです。
鍋に油をたっぷり入れる調理を半量程度の油に変革した。
また材料ごとに順番に挙げるのではなく1度に入れる手法を取る。

『料理の鉄人』では煮物を鍋ではなくフライパンで作った。
使えるものは何だって使うのである。

青菜の炒め方も茹でるのをやめた。食材も時代と共に変化している。
料理を考案するためには固定観念が妨げになるのだ。

何より「時短料理」を確立させた事が独立革命の成功を物語っている。

一人暮らしの男女から子育て世代まで技術がなくてもできる。料理術を今や好みのテイストの料理研究家から学べる。これこそ小林カツ代が私たちに敷いてくれた土壌だと言っても過言ではありません😊

次は栗原はるみ氏ですね。乞うご期待。

■参考文献 『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』阿古真理 新潮社

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