東洋医学では、感情によって身体に様々な影響があるとされています。

感情が五情と言って5つに分けられ、それぞれが五臓と言われる臓器に関連してきます。日常生活でどんな感情を抱くかによって、影響する臓器やそれにより出る症状が変わるので今日はそれについて紹介します。

五情：怒・喜・思・憂(悲)・恐(驚)
五臓：肝・心・脾・肺・腎

怒り・イライラ

まず初めに、怒りの感情。イライラすると五臓の『肝』に反応が出ます。肝は、血液の流れや貯蔵、気の巡り、情緒、月経や射精をコントロールする大切な臓器です。負担がかかりすぎた場合次のことが起こります。

血流が悪くなる
情緒不安定になる
筋肉がつりやすくなる
目の充血や頭痛
便秘をしやすくなる
些細な事にも敏感になる
爪がもろくなる
月経周期や射精の異常

イライラしすぎて肝に負担をかけてしまった場合は、酸っぱい食べ物を食べて肝を助けましょう！ツボでは『行間：コウカン』という足の親指と人差し指の間の水かきを刺激してください。ストレスが溜まっている方はつまむだけでもかなり痛いはずです。

嬉しい・喜び

次に喜びの感情。これは『心』に影響を出します。心は精神活動や血液をコントロールするところです。精神活動は精神・意識・思惟活動のことを指し、他にも知覚・記憶にも関わります。心に負担がかかるとこんな症状が出ます。

知覚障害
記憶障害
意識障害
不眠症
うわごとを言う
精神に異常をきたす
動悸・息切れ
顔や唇が青くなる
暑くもないのに汗をかく

喜びの感情は、本来いい感情なので身体にとってはプラスに働きます。なのでよっぽどのことでもない限りは心の不調も出ません。例えるなら、宝くじで急に高額当選し舞い上がりすぎておかしくなるといった感じです。心の負担を感じた場合は、苦みのあるものを摂りましょう。ゴーヤや日本茶などで大丈夫です。ツボでは、『神門：シンモン』と言って腕の内側で小指のすぐ下の手首の部分。ここを刺激すると心の負担を和らげることができます。

思い悩む

次に、思う・悩む・考え事は『脾』に影響を与えます。脾は脾臓ではなく消化器系全般のことを指します。脾に負担をかけすぎた場合、栄養の運搬・水分の運搬・食事に関係して不調が出ます。

下痢
むくみ
食後の眠気
食欲不振
味覚障害
口が渇く
内臓下垂
出血しやすい(不正出血など)
筋力低下
腱鞘炎
関節の痛み

考え事は誰でもすると思いますが、頭の中に何かがグルグルと回っていると脾に負担がかかります。解決しないことは考えない、考え事は紙に書きだして整理するなど脾の負担を減らしましょう。胃腸の働きと関係するので、『ながら食べ』もよくないです。テレビを見ながら・考え事をしながら食べるのではなく、しっかり食べ物を噛みしめて味わい食事に集中しましょう。脾をサポートする場合は『公孫：コウソン』を刺激しましょう。場所は足の内側で、土踏まずの盛り上がっているところにある骨の際です。ここを刺激しながら深呼吸すると胃腸の働きの改善はもちろん、心が落ち着き身体の余分な力みも取れてきます。

憂い・悲しみ

次は憂い、悲しみの感情です。これらは『肺』と関連します。肺はもちろん呼吸と関連しますが水分代謝にもかかわります。クヨクヨしたり悲しんでいると次の不調が出ます。

呼吸しにくい
咳や喘息
痰が絡む
鼻水が出やすい
風邪をひきやすい
肌荒れなど皮膚の問題
汗をかかなくなる
顔がむくむ

肺は乾燥にも弱く、空気が乾燥してくる秋には負担がかかりやすいところです。この時期に必ず風邪をひく人は普段から肺が弱っていて免疫力も下がっています。体を温めることを心がけて乾燥対策、深呼吸をするなどして免疫力を高めましょう。辛いものは肺に影響を及ぼしやすいので、激辛系のものは控えましょう。『尺沢：シャクタク』という肘の真ん中やや外よりの窪みにあるツボを押してみてください。

恐怖・驚き

最後に恐怖と驚きは『腎』に影響が出ます。腎は水分代謝、エネルギーの貯蔵、成長・発育・生殖のコントロールをしているところです。腎の不調は次の通りです。

頻尿
全身のむくみ
息が吸いにくい
発育発達障害
夜になると火照る
冷えや寒がり
骨粗鬆症
物忘れ
歯茎や歯がもろくなる
髪の毛のツヤがなくなる
白髪が増える
脱毛や薄毛
不妊
性機能の減退
めまい・耳鳴り・難聴
膝や腰が弱くなる

腎は耳や脳や脊髄とも関わる大事な器官です。そして先天的な寿命となるエネルギーを貯蔵するところなので、負担がかかりすぎたりエネルギーが減ると、耳鳴り難聴・骨粗鬆症などのお年寄りに出やすい症状が出てきます。腎は、塩分の取りすぎや冷えにも弱いところなのでそのあたりも気をつけましょう。『太谿：タイケイ』という内くるぶしとアキレス腱の間の窪みにあるツボを押すと足が温まりやすくなります。

今回は感情からくる体の不調について話しましたが、おそらく一番多いのは『考えすぎ』だと思います。情報が溢れている世の中で正しい選択はどれか悩んだり、調べ物をして余計にわからなくなったり、将来の事や仕事などの事も考えたり思います。たくさん考えることはいいですが、たまには頭も休めましょう。好きな事、食事、リラックスしているときは悩むより楽しいことを考えてみてはいかがでしょう？？

Amanoteでした