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場末のバーは下手なビジネス本より、よっぽど世界が広がる

仕事旅行社という会社を立ち上げた僕は、周りから自分の価値観がはっきりしているとか、自分のやることに自信を持っているんじゃないかみたいに思われがちです。でも、そんなことは決してありません。自分のやっていることは世間にどこまで受け入れられるんだろうかと、常に周りの顔色を伺っています。これがやりたいから、やろうみたいに割り切れる突進系だったら良かったんですが。 

どちらかというと、人にこんなことをやりたいんだよねぇって表明して、チラチラ周りの顔色を見ながら、こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろうって、ゆっくりとやりたいことを形にしていきます。せっかく何かやるんだったら、やっぱり多くの受け入れられたいし、拒絶はされたく無い。自己満足のサービスや仕事はしたくないと思うのです。

前置きが長くなりましたが、今日のテーマは、なぜ僕が場末のバーに通うのか?というもの。

答えを先に明かすと、僕が場末のバーに出かけるのは、前置きと同じ理由。多くの人に受け入れてもらうためには、何を考えるべきかを知ることが目的です。普段関わる「周りの人」以外の人の声が聞くことで、自分のやろうとしていることが、どれだけ受け入れられるのか、共感してもらえるのかを知ろうとしています。その「周りの人」じゃない人に出会える、一番やりやすいのが、場末のバーに行くことなのです。

最近はめっきりご無沙汰になっていますが、つい1年くらい前まで、僕は週に1、2回くらい場末の小さなバーに1人で飲みに行くことにはまっていました。場末なんて言ったらマスターに怒られるかもしれませんが。
大抵は、雑居ビルの地下とかにある十人も入ったら満席になってしまうような小さなお店。バーといっても、お客さんのほとんどが焼酎割りとかを頼む大衆的かつ、ひっそりとしたところが好みです。

飲みに行くだけなら、居酒屋でもいいし、おしゃれなバーでもいい。でも僕はお酒が好きなわけではないし、飲むことが目的ではないから、居酒屋とか、おしゃれなバーにはあまり行きません。

それに対して、場末の小さなバーは、お酒はもちろん、カウンターに座れば、普段知り合えない多様な人と交流が生まれます。

というとコミュニケーション大好き!出会い系大好き!みたいに聞こえるかもしれませんが、僕はいい歳して結構な人見知り。見知らぬ人に対する好奇心はあるものの、初対面はとても苦手。でも、そこはお酒の力で乗り切ることができるから、人見知りでも、いろんな人と交流したい僕みたいな人間には場末のバーが最高なのです。

ちなみに、お店で同席したお客さん同士は、初めましてから、なんの仕事しているの?みたいな話に展開することが多くあります。面白いものに対しては、食いつくし、つまらないかったり、意味がわからないって思われたら、もうそれまで。酔いも手伝って、結構はっきりとしたリアクションが帰ってきます。これは、仕事周りでは得ることができない反応です。

もちろん、仕事の話にならないこともあります。それでも小さなお店ではお客さん同士の会話が一つのトピックに集約されて、お店全体で会話を楽しむみたいなことが起こります。全くバックグラウンドの異なる人たちが集まって、飲みながら話す中で、みんなが興味があることが何なのかというのがとてもわかりやすい。なるほど、人はこういうことに興味があるんだと自分以外の人の興味を知ることができます。

時には他人の色恋沙汰で盛り上がることもあります。例えば、とある中小企業の社長と若手社員の社内恋愛。彼女に都内に住む場所を提供するほどのめり込んでいたけれど、いざ別れるってなったら多額の手切れ金を求められている、とか、ある飲食店の従業員が当日の売り上げを持って逃げてしまって連絡もつかない。知り合いを伝に探しているなんていう生々しい話も。

想像通りかもしれませんが、お店で盛り上がるのテッパンは「下ネタ」。世界の共通言語は笑顔だと思うみたいな歌がありますが、僕は世界の共通言語は「下ネタ」だと思う、が正しい気がしています。下手したら、一晩中下ネタしか話していないなんて時もありますが、お客さん全員で楽しい時間を過ごすのは楽しいものです。そういう話はNGと毛嫌いする人も多いですが、その行為によってどれだけの人とのコミュニケーションの機会を失っているのかを痛感します。

本やドラマで見るような展開を当事者から聞くのはとてもリアリティがあり、下手なビジネス本より、よっぽど世界が広がるのが場末のバーの魅力です。

場末の小さなバーの魅力はまだまだ語り足りませんが、振り返ってみると、僕の場末のバー通いは、ある種の越境的学習という風に考えられます。
アウェーな空間に身を置くことで、自分の立ち位置を確認する。普段関わることのない人たちと交流することで、世界を広げる。新たな視点を手に入れる。

仕事旅行のサービス自体も、越境体験を提供しているので、もちろんそっちに参加してほしい思いが一番ですが、場末のバー巡りもおすすめです。

もちろん手軽な越境学習に出かけたいなら、仕事旅行社ホームページへどうぞ!


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