政治(金融・経済)講座ⅴ920「ドルの価値の源泉とSVB破綻」
世界経済は綱渡り、薄氷の上を歩くようなものである。中国の経済破綻やロシアの経済破綻は隠蔽されており、あまり報道されていないが、一番恐ろしい問題はドルの信用低下による米国のデフォルトである。世界恐慌の兆しが起きそうな気配である。経済・金融界は砂上の楼閣のようなものである。今回はそのような内容の報道記事を紹介する。
皇紀2683年3月12日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
1974年以後の世界経済が恐ろしく不安定になったヤバイ理由 アメリカがドルを守るために仕組んだ悪魔的に賢い方法
現代新書編集部 によるストーリー • 15 時間前
現代の世界はなぜ今のような形や構造をしているのだろうか?
現代の仕組みを本当に知るためには歴史、とくに戦後の世界史を深く学んでおく必要がある。
今回の記事で明らかにしたいのは、主に以下の3点だ。
・世界経済はいつからこんなに不安定なのか
・ソ連が力を失い始めたのはなぜなのか
・アメリカとサウジアラビアはなぜ仲がいいのか
新刊『地政学と冷戦で読み解く 戦後世界史』からポイントを抜き出していこう。
「金」から「石油」へ
1970年代初頭のアメリカは経済的に危機に陥っていた。世界一強い通貨だったドルがあれば世界中の何でも買える。そこでどんどんドルを刷りすぎたために、それまでドルの価値を保証していた「金」が足りなくなってしまったのである。
〈通貨がただの紙切れではなく、それに印刷されている金額の価値を持つには、その額と同等の価値を持つ具体的なモノと交換できることが保証されていなければならない。そのためのモノとして昔から人間社会に認められ、使われてきたのが、金や銀などの貴金属であり、ブレトン・ウッズ体制はドルを金とリンクさせた金本位制だった。〉(『地政学と冷戦で読み解く 戦後世界史』より)
当時のニクソン政権にいたキッシンジャー大統領補佐官は、そこで一計を案じる。金が足りなければ、別のものでドルを保証してしまえばいいと考えたのである。
それは石油だった。
アメリカとサウジの蜜月はこうして生まれた
〈金は世界の総量が少なく、量が少ないからこそ貴金属なのだが、そのように稀少なものにカネの価値を固定させている限り、カネの量を大きく増やすことはできない。だが石油は埋蔵量が膨大なうえ、いまだ発掘されていない油田もあり、とりあえずいくらでも汲み上げることができる。しかも石油の消費量は世界経済と密接に関係しているので、世界の産業や経済が発展すれば需要が増し、需要が増せば増産して供給量を増やすことができる。そうなればそれにリンクしたドルの総量も増やすことができる。こんなうまい方法がほかにあるだろうか?〉(『地政学と冷戦で読み解く 戦後世界史』より)
キッシンジャーはこのアイデアを実行に移すべく、パートナーとなる国を見つけ出した。それが中東の産油国、サウジアラビアである。キッシンジャーはサウジアラビアと交渉し、以下のような約束を取り交わした。
〈1 各国はサウジアラビアの原油をドルで買う
2 サウジアラビアは原油の輸出で得たドルを西側の銀行に預ける
このシステムを確立するため、キッシンジャーはサウジアラビアに何度も足を運び、王家(サウード家)と会談を重ねて、石油の代金をドル以外で受け取らないよう同意させた。
サウード家に同意させるためにキッシンジャーが提示した交換条件は、
1 米軍がサウジアラビアとその油田を外国の脅威から守る
2 アメリカはサウジアラビアに兵器を売り、軍隊を訓練する
というものだった。〉(『地政学と冷戦で読み解く 戦後世界史』より)
これ以後、サウジアラビアはアメリカの経済システムを支えるきわめて重要なパートナーになった。日頃から他国に民主主義や人権の大事さを説くアメリカが、サウジアラビアのこととなると急に沈黙してしまうのは、このような理由によるのものだ。
〈1974年、このシステムはサウジアラビアで完全実施となり、翌年までにOPECの他の石油輸出国もみなこの体制に加わるようになった。こうしてニクソンとキッシンジャーは、西側資本主義諸国をブレトン・ウッズ体制からこの新体制に移行させることに成功した。アメリカはそれ以後、ペルシャ湾岸のアラブ諸国に米軍基地を次々と建設していき、アメリカと中東の産油国との関係が深まっていく。
このシステムが実施されると、キッシンジャーの目算どおり、ドルの需要が世界中で急増した。このシステムのもとでは、石油を輸入する必要がある国、つまりほぼすべての国はドルを持たなければならないからだ。〉(『地政学と冷戦で読み解く 戦後世界史』より)
かくして、日本や西ドイツのような工業製品の輸出国は、それまでにもアメリカに製品を輸出してドルを稼いでいたが、このシステムに移行してからはますます対米輸出を拡大した。また各国はアメリカ以外との貿易でも支払いにドルを使うので、世界経済が拡大するとともにドルの需要はますます増えていった。
その一方で、石油は金よりも値段が激しく変動するため、当然ながら経済も大きく変動し、不安定なものになっていく。
そしてもう一点大事な変化が起こった。ソ連などの共産圏諸国はこの世界経済の流れに乗れず、経済が急速に衰えていった。ソ連は石油を自給できるので輸入する必要はなかったが、ドルをほとんど持っていなかったからだ。
アメリカはベトナム戦争で頂点に達した米ソの代理戦争で軍事的に敗北したが、皮肉なことにソ連はその直後から経済発展競争で大きく後れをとり、そのことが後にソ連崩壊へとつながる大きな要因になっていくのである。
世界経済がきわめて不安定になったのは、以上のような歴史の流れがあるからなのだ。
米シリコンバレーバンク、突然の破綻なぜ 影響の広がり心配する声
朝日新聞社 によるストーリー • 5 時間前
ITを使った「テック企業」向けの米銀行、シリコンバレーバンク(SVB)が10日、経営破綻(はたん)した。銀行の破綻時に預金保護を担う政府機関、米連邦預金保険公社(FDIC)が預金を管理下に置いた。2022年末時点の総資産は2090億ドル(約28兆円)で、08年の金融危機以降、銀行の破綻として米国で最大。史上2番目の大きさだ。この問題が再び金融危機を招くとの見方は少ないが、影響が拡大しないか不安が広がっている。
シリコンバレーバンクの支店。入り口に貼られた米連邦預金保険公社(FDIC)の書簡には、「25万ドル超の預金を持つ方は通話無料の番号に連絡してください」と書かれていた=2023年3月10日、米カリフォルニア州パロアルト、五十嵐大介撮影© 朝日新聞社
近年、金融緩和でつくられたお金を借りやすい低金利環境を背景に、テック企業は投資家から多額の資金を調達してきた。1983年に設立されたSVBは最近、こうしたテック企業との取引を拡大。企業が顧客の中心で、経営者の人脈作りや会社のサービスへのアドバイスなども手がけて預金を集めた。
決算報告などによると、米国で新興企業向け投資を受けているベンチャー企業の5割近くと取引があったという。預金はこの3年で3倍超に増え、22年末時点で1754億ドルに達した。資産規模は全米16位だ。
しかし、SVBは集めた資金を融資よりも住宅ローン担保証券(MBS)や米国債といった有価証券に投じた。米連邦準備制度理事会(FRB)が繰り返した利上げで、こうした証券の価格が下落、含み損を抱えた。さらに、利上げで金融環境が厳しくなったテック企業が預金を引き出すと手元資金が不足。損失を抱えた証券を売らざるを得なくなり、信用不安から預金引き出しが相次ぎ破綻した。
イエレン氏、複数の銀行を「注意深く」監視-SVB巡る混乱続く中
Viktoria Dendrinou、Christopher Condon によるストーリー • 20 時間前
(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は10日、複数の銀行を「非常に注意深く」監視しており、金融機関が財務上の損失を被っているのは「懸念事項」だと述べた。SVBファイナンシャル・グループを巡る混乱が続く中での発言。
イエレン氏は下院歳入委員会で共和党のシュワイカート議員(アリゾナ州)からの質問に答え、「シリコンバレー銀行(SVB)の話が出たが、最近いくつかの銀行に関する動きがあり、私は非常に注意深く監視している」と発言。「銀行が財務上の損失を被った場合、それは懸念する問題、懸念すべき問題だ」と語った。特定の金融機関の名前には言及しなかった。
米国家経済会議(NEC)のラマムルティ副委員長はこれより先、財務省がSVBファイナンシャルの状況を「非常に注意深く」監視しているとCNBCで述べた。
原題:Yellen Says Treasury Monitoring ‘a Few’ Banks Amid SVB Fallout(抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
©2023 Bloomberg L.P.
米銀SVB株、急落後に売買停止-増資失敗で身売り交渉と報道
Hannah Miller
2023年3月10日 7:15 JST 更新日時 2023年3月10日 23:40 JST
SVBのCEO、電話会議で顧客に落ち着くよう要請-関係者
健全性巡り世界的な銀行株売り、欧州銀は計400億ドル時価総額失う
新興企業向け融資大手、米シリコンバレー銀行(SVB)の持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの株価は、10日早朝の時間外取引でも急落を続け、株式の売買が停止された。SVBの最高経営責任者(CEO)は顧客企業に落ち着くよう呼び掛けたものの、財務の健全性や銀行業界全般の流動性に対する懸念が広がっている。
米著名起業家ピーター・ティール氏が共同創業者のファウンダーズ・ファンドなど、複数のベンチャーキャピタル(VC)会社は投資先企業にSVBからの資金の引き揚げを提言した。
ファウンダーズ・ファンドのほか、コーチュー・マネジメントやユニオン・スクエア・ベンチャーズ(USV)、ファウンダー・コレクティブも、投資先企業にSVBからの資金引き揚げを助言したと複数の関係者が明らかにした。大手VC会社カナンは投資先企業に必要に応じて資金を引き揚げるよう伝えたと、別の関係者は語った。
CNBCは、SVBファイナンシャル・グループが計画していた増資に失敗し、身売りを交渉していると報道。複数の大手金融機関が買収に関心を示しているという。また、米財務省はSVBの状況を「非常に注意深く」監視していると、国家経済委員会(NEC)のラマムルティ副委員長がCNBCで述べた。
バイデン政権、SVBの影響波及する可能性を監視中-NEC副委員長
混乱のきっかけはSVBが8日、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を含むポートフォリオで大きな損失を被ったため、総額22億5000万ドル(約3060億円)の増資を実施すると発表したことだった。SVBの株価は9日に60%急落。10日の時間外取引で売買停止となる前に一時63%下落。社債も過去最大の下げを記録、銀行株の売り世界的に広がっている。10日の欧州市場では大手銀行の時価総額が合計で400億ドル余り失われた。
SVBの親会社SVBファイナンシャル・グループのグレッグ・ベッカーCEOは傘下のシリコンバレー銀行の財務状況に懸念が広がる中で9日に電話会議を開き、顧客に「落ち着く」よう呼び掛けた。事情に詳しい関係者が明らかにした。
ベッカーCEOはサンフランシスコ時間9日午前11時半(日本時間10日午前4時半)ごろに約10分間の電話会議を開催。ベッカー氏は、ベンチャーキャピタル投資家を含む同行顧客に対し、同行が過去40年にわたり顧客を支援してきたように同行を支えてほしいと要請した。
ファウンダーズ・ファンドとコーチュー、USVの担当者はコメントを控えた。SVBとカナン、ファウンダー・コレクティブの担当者はこれまでのところコメント要請に応じていない。
ファウンダー・コレクティブは投資先企業向けの文書で、「長期的には、預金が危険にさらされる可能性は低いと考えているが、短期的には予測困難だ」との見解を示した。
SVBを巡る懸念は9日にシリコンバレーとウォール街を駆け巡った。創業初期段階の企業に投資するザ・ファンドのマネジングパートナー、ジェニー・フィールディング氏は「かなりのパニックが起きている」と指摘。SVBの状況を注意深く見守っており、投資先企業に今後の方針をアドバイスすることはまだしていないと語った。
Yコンビネーターのギャリー・タン社長兼CEOは、投資先のスタートアップ企業にソルベンシーリスクは現実的のものだと警告。SVBへのエクスポージャー抑制を検討するよう呼び掛け、「どんな理由であれ資金がなくなればあなたのスタートアップ企業は死んでしまう」と付け加えた。Yコンビネーターの担当者はコメントを控えた。
ベンチャー会社のトライブ・キャピタルも投資先企業に対し、SVBから残高の全てではなくとも一部を移すよう助言している。
SVBの株価は9日に60%下落し、終値として2016年9月以来の安値を記録。ベッカー氏の要請についてはジ・インフォメーションが先に報じた。
アバラボのジョン・ウー社長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「これは典型的な銀行取り付け騒ぎであり、それが始まると最後の1人になりたくはないものだ」と指摘。ウー氏は、同社がSVB依存から離れ「既に多様化」していると語った。
あるスタートアップ企業のCEOは9日にSVBから数百万ドルを引き出そうとしたがうまくいかなかったと明かした。同行の他の複数の顧客は9日に大きな問題なく現金を引き出すことができたとブルームバーグに語ったが、そのうちの1人はSVBのウェブサイトに一時アクセスできなかったと述べた。
VCの一部はSVBを支持するとしている。Gスクエアドの創業者ラリー・アシェブルック氏は、一部企業などが「パニックボタン」を押すことでSVBの苦境を一段と悪化させているのは「本当に残念だ」とし、SVBはこうした企業をこれまでの全ステージで支えてきており、「パートナーシップは双方向であるべきだ」と語った。
著名投資家の1人、マーク・サスター氏はSVBに関するニュースに過剰反応しないよう警告。「支払い能力があるとCEOが言っているのであれば、彼を信じる」とツイートした。
また、スタートアップのカーボン・ヘルスのCEO、エレン・バリ氏は同社としてSVBを信頼しているとし、「預金にリスクがあるとは一切考えていない」と話した。
関連記事:
原題: SVB Capital Raise Has Failed, in Talks for Sale: CNBC (1)、SVB Races to Prevent a Bank Run as Funds Advise Pulling Cash (2)、SVB Financial Slumps Again as Clients Threaten to Pull Cash(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
SVB、情報不足でさらに事態悪化-増資実現をアナリスト疑問視
Jennifer Surane
2023年3月10日 22:19 JST
10日朝の時間外取引でも株価下落続く-急落で増資いっそう困難に
一部のVCはSVBを支持、結束して支えることを業界に呼び掛け
米シリコンバレーを中心に事業を展開するシリコンバレー銀行(SVB)の持ち株会社、SVBファイナンシャル・グループは10日も株価下落に歯止めがかかっていない。同社が先に計画を明らかにした増資について沈黙を続けていることも、投資家の不安を強めている。
同社は数カ月にわたりバランスシートの大幅な再編は行わないと表明してきたが、8日に22億5000万ドル(約3100億円)規模の増資の計画とともに、保有する売却可能な証券の大部分を売却し18億ドルの損失が出たことを明らかにして市場を驚かせた。株価は9日に60%下落し、アナリストは増資の実現を疑問視し始めた。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョン・アーフストロム氏は顧客向けリポートで「計画されていたのは単なるポートフォリオの再編と増資だったとみられるが、情報不足と多くの誤った情報および預金流出についての疑問が重なって大嵐になってしまった」とコメントした。
同氏は、株価急落は増資での発行株数が増えることを意味し、仮に増資が実現したとしても株式がさらに希薄化すると説明した。
ニューヨーク市場開場前の時間外取引で株価は一時50%安となった。
複数の有力ベンチャーキャピタル(VC)がポートフォリオ企業にSVBからの預金引き揚げを提言し、預金流出につながった。SVBの一部顧客は9日に預金引き出しができなかったとしている。
米銀SVB、10日早朝の時間外でも株価急落-動揺収まらず (1)
パッション・キャピタル・インベストメンツのパートナー、アイリーン・バービッジ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「自明な一連の反応は、自分たちの資金を別の所へ移そう、リスクへのエクスポージャーを減らそうというものだ」とした上で、「他方には、『ちょっと待て、これは行き過ぎだ』と言っている人も恐らく同じくらいの数いるだろう」と話した。
その1人はアップフロント・ベンチャーズのパートナー、マーク・サスター氏だ。同氏はSVBとの取引を続ける意向を示し、パニックを抑え込むようVC業界に呼び掛けた。
「ベンチャーキャピタル業界は結束して、SVBを支持する声明を出す必要がある」と同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。「われわれ全員にとっての大きな問題をもたらしているのはただの恐怖だ。この件は誰の利益にもならない」と訴えた。
原題:SVB Investors Lament ‘Painful Vortex’ of Little Information、SVB Sinks Another 50% as Clients Threaten to Pull Out Cash (1)(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
USDC、ドル・ペッグを維持できず-SVBに33億ドルの準備金
David Pan、Yueqi Yang、Olga Kharif、Muyao Shen によるストーリー • 1 時間前
(ブルームバーグ): ステーブルコインを運営するサークル・インターネット・ファイナンシャルは10日、同社が発行したUSDコイン(USDC)の裏付けとなる準備金約400億ドル(約5兆4000億円)のうち、33億ドル(約4455億円)が経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)に引き続き存在すると明らかにした。
11日のシンガポール市場で、サークル・インターネットが発行したUSDCは、一時81.5セントの安値で取引され、米ドルとの1対1のペッグ(連動)を維持できなくなった。コインゲッコーのデータによると、USDCは流通量約410億ドルとステーブルコインで2番目に大きい。
今月発行された認証報告書によれば、サークル・インターネットは1月末時点で、SVBを含む金融機関に現金約87億ドルを保有していた。
原題:Stablecoin Firm Circle Reveals $3.3 Billion Exposure to SVB (3)、Crypto Shaken as SVB Exposure Depegs $37 Billion Stablecoin (4)、USD Coin Stablecoin Falls Further From Peg on SVB Exposure Risk(抜粋)
(この記事は一部に自動翻訳を利用しています)--取材協力:Beth Williams.
(USDCの11日の安値を追加して更新します)
More stories like this are available on bloomberg.com©2023 Bloomberg L.P.
シリコンバレー銀行破綻、他行への波及懸念…リーマン・ショック以降で最大規模
読売新聞 によるストーリー • 昨日 19:53
【ニューヨーク=小林泰裕、ワシントン=田中宏幸】全米16位の資産規模を持つシリコンバレー銀行(SVB、カリフォルニア州)が10日、経営破綻した。米メディアによれば、2008年に発生したリーマン・ショック以降で最大の米銀破綻となる。米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げが破綻の要因とみられ、他の中堅銀行への波及も懸念される。
SVBの総資産は22年末時点で2090億ドル(約28兆円)。08年に経営破綻したワシントン・ミューチュアル(総資産約3070億ドル)に次ぐ、史上2番目の規模の米銀破綻という。
SVBは1983年の創業で、IT企業が集積するシリコンバレーなどの新興企業を主な貸出先とする。FRBの利上げによって貸出先の経営が悪化し、預金が減少。金利上昇によって米国債など保有する有価証券にも含み損が発生した。
SVBの親会社は8日、財務改善のために有価証券の売却や増資計画を発表した。これが逆にSVBへの信用不安につながり、預金の流出が加速して一気に資金繰りに行き詰まった可能性がある。
米国のイエレン財務長官が10日、「銀行システムは依然として弾力的だ」と強調するなど、SVBの破綻がリーマン・ショックのような金融危機につながる可能性は現時点では低いとみられている。一方、市場関係者は警戒感を強め、10日のニューヨーク株式市場では、SVBと取引のある新興企業や金融機関の株が軒並み下落した。
在米の金融機関関係者は「今後もFRBが利上げを続ければ、他の中堅銀行でも資金繰りが悪化して経営破綻につながりかねない」と指摘する。利上げ幅の拡大が議論される今月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)の判断に影響を与える可能性もある。
米国債上限を解説
英語:debt ceiling、または米国債シーリングは、アメリカ政府法律によって米国債を発行する上限金額である。
アメリカでは米国債上限は法律によって制定されている。
上限に関する法律は第一次世界大戦の1917年に定められた。
同年、第一次世界大戦に応え、アメリカ政府が戦時国債を発行する際に、議会は市民の経済安全保障を守るために連邦政府の債務の上限をリバティボンド(英語:Liberty Bond、自由国債)法で定めた
債務上限の引き上げ
米国政府は財政赤字を支えるために、年々米国債を発行して借入をする必要がある。ただし債務上限に達した場合、以降議会が債務上限の引き上げに応じなければ、借入できなくなる。
債務上限を引き上げる場合、リバティボンド法に基づき議会に財政政策に対する監督権と情報公開・財政ルールの評価を進める機会を与え、議会の同意を取る必要がある。ただし、必要に応じ、大統領は憲法修正第14条に基づき、債務上限を引き上げることができる。
議会が引き上げに応じない場合
債務上限の引き上げに議会が応じなければ、国防や社会保障における支出が中止され、増税を余儀なくされる。米国はデフォルト(債務不履行)になると、米国だけでなく世界経済全体にわたる金融危機を起こす恐れがある。
参考文献・参考資料
1974年以後の世界経済が恐ろしく不安定になったヤバイ理由 アメリカがドルを守るために仕組んだ悪魔的に賢い方法 (msn.com)
米シリコンバレーバンク、突然の破綻なぜ 影響の広がり心配する声 (msn.com)
イエレン氏、複数の銀行を「注意深く」監視-SVB巡る混乱続く中 (msn.com)
米銀SVB株、急落後に売買停止-増資失敗で身売り交渉と報道 - Bloomberg
SVB、情報不足でさらに事態悪化-増資実現をアナリスト疑問視 - Bloomberg
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?