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心抜きされた世界

笑えない、
怒れない、
泣けない。

食欲がない。
味がしない。
食べる意味すらわからない。

世界でたった1人の孤独感。
寝ても怖い。
起きてても怖い。

死にたいけど、
生きたい。

大好きだった曲がなぜ好きだったかもわからなくなる。

大好きな愛犬のイラストが描けなくなる。

テレビもnetflixもYouTubeも全く興味がなくなる。

活字が読めなくなる。

今まで使っていたLINEのスタンプが使えなくなる。

ニュースを見るのも怖くなる。

電車に乗るのが怖くなる。
買い物するのも怖くなる。
お風呂に入るのも怖くなる。

1人で寝れなくなる。

体重がどんどん減る。

私の心抜きは完了した。
感情が亡くなった今、楽しみも喜びもない代わりに
憎しみや、怒りもなくなった。
すべての感情に蓋をした。

ああ、そうか。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で言っていた、
心抜きされた世界とは、
鬱病の人が見ていた世界だったんだ。

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のなかの、
心抜きされた世界では、その世界の果てに、
楽器が山積みにされた場所があったが、
誰もそれらの使い方をわからなかった、という説明があった。
鬱病になって、すべてのエンターテイメントの
意味がわからなくなった私からすると、あ、なるほどね、と思えた。

もう、私には人間らしい感情、「心」がなくなっていた。

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