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10月読書まとめ【伊坂さん&三浦しをんさんの月】

タイトルどおり、大好きな作家の一人である伊坂幸太郎さんを再読し、三浦しをんさんを初読できた先月。

全15冊から個人的おすすめベスト3:

1.風が強く吹いている
2.ゴールデンスランバー
3.舟を編む 

2020年10月の読書メーター
読んだ本の数:15冊 
読んだページ数:6063ページ
ナイス数:379ナイス


■秘密の花園 (新潮文庫)
ずしりと心に重りを置かれるような感覚になる。
女子校という空間と決して広くはない人間関係の中で繰り広げられる、悩みと葛藤。
3人の苦悩、とくに那由多の幼少期の事件から起因する闇は計り知れない。
キリスト系とエスカレーター式の女子校、女学生の人間関係、これらが絡んだ独特の世界観だった。いまいち入り込むことができなかったのが残念。
読了日:10月31日 著者:三浦 しをん

■祝祭と予感
蜜蜂と遠雷のあの面々に再び会えた。芳ケ江のコンクールのその後や、過去の話が盛り込まれたスピンオフ作品集。
一番好きだったのは、マサルの「竪琴と葦笛」とホフマンと風間塵の「伝説と予感」。
どちらもこんな過去があったんだ、やっぱり物凄い天才だったんだと。
蜜蜂と遠雷は上下巻でかなり読み応えがあったけど、こちらはその構成からか、さらさらと一瞬で読了。相変わらず爽やかさが残る世界観。
読了日:10月29日 著者:恩田 陸

■グラスホッパー (角川文庫)
再読。おそらく3回目かな。
映画鑑賞後は初読みのため、少し新鮮に。
鈴木は生田斗真さん、蝉は完全に山田涼介くん、鯨は浅野忠信さん、そうだった、槿は吉岡秀隆さんだったな、と読み進めてしまった笑
何回読んでも面白い。
読了日:10月29日 著者:伊坂 幸太郎

■ラッシュライフ (新潮文庫)
再読
読了日:10月24日 著者:伊坂 幸太郎

■きみはポラリス (新潮文庫)
これは恋愛小説なんだけど、どこか巷に溢れる例えばハッピーエンドの恋愛とは一味違う。こんな形もあるんだなぁと思わされるお話ばかり。
衝撃的かつ切なくて心に残ってるのは「私たちがしたこと」。もしあの時レイプがなかったら、殺すまで至らなかったら、二人はどうなってたかな。そのまま幸せでいれたのだろうか。そして「ペーパークラフト」はリアリティがあり、「森を歩く」と「優雅な生活」が好きだった。相手を想う気持ちがそれぞれの形で描かてていて素敵だ。最初と最後を飾る岡田と寺島の関係、会話は面白いけど感情移入すると苦しい。
読了日:10月21日 著者:三浦 しをん

■舟を編む (光文社文庫)
最高!間違いなく自分の好きな小説の一つに入る。
辞書ってこんなにたくさんの人の努力と熱意と、時間とお金がかかって出版されてることを知ったし、言葉って面白いなと改めて感じた。子供の頃は辞書を開いてたけど最近ご無沙汰になってるから、これを気に手にとってみようかな。
本作は317ページと決して長くはない頁数ながら、十数年の壮大な辞書編纂の大航海に同行した気分。馬締を中心に玄武書房の面々が出てくるが、皆キャラクターが良い。全員とにかく良い。人生を捧げるほど夢中になれる何かを持つって素晴らしい、ときに眩しすぎる。
読了日:10月19日 著者:三浦 しをん

■かたみ歌 (新潮文庫)
昭和の商店街を舞台にした心温まるちょっと不思議な短編連作集。
朱川さん著作は初読なこともあってか、最初は世界観に入り込めなかったけど、徐々に没入する感じだった。
夏の落し文、ひかり猫、枯葉の天使が特に好き。切なさや愛情に溢れてて、作中にある“生きている人間が知っているものなんて広い世界の一部に過ぎない”という言葉も印象的だった。小説ならではの世界だけど、本当にその通りだなと。ましては豊子のように、生きているもの同士でも理解できないことも多い。
涙腺崩壊とまではいかないけど、ほっこりと沁みる一冊だった。
読了日:10月18日 著者:朱川 湊人

■夜のピクニック (新潮文庫)
じーんと心が暖まる、さらに爽やかに軽くなる、そんな読後感を得られる名作。恋愛や友情と一言では表せない青春の形があった。もう一度あの頃に戻れたら歩行祭に参加したい。
貴子と融は複雑な関係性から、同じクラスながら一言も口を聞かず高校最後の行事の歩行祭を迎える。周りの友人達に囲まれながら、本当に会話をしないからモヤモヤ。夜通し歩く特別な舞台だからこそ各々が抱える想いが語られ、最後には"おまじない”も効いて皆が笑顔でゴール。最後二人で歩くときの貴子と融の顔が目に浮かぶ。達成感と幸福感で満たされる、そんな気分だ。
読了日:10月17日 著者:恩田 陸

■風が強く吹いている (新潮文庫)
この本を薦めてくれた上司に感謝したい。素晴らしかった!初の三浦しをんさんだったけど、これからたくさん読んでいきたい。
アオタケに住む10人、ほとんどが初心者ながら駅伝出場までの1年間を描く物語。
とにかく清瀬が最高、そして住人のキャラクターが面白く全員に対して愛情を持たずにはいられず、清瀬が半ば強制的に部員にし、育てる過程が面白い。全員あっという間に走ることに魅了され、箱根駅伝ではそんな1年間を振り返り懸命に襷をつなぐ姿に感動した。お互いに対する気持ちや感謝を思い走る10区間の描写を忘れることができない。
読了日:10月14日 著者:三浦 しをん

■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
見事に登場人物同士がリンクしている連作短編集。
実社会でも存在するような佐藤語りのアイネクライネから始まり、上司の藤間、友人の織田一真と由美、ボクシングの世界チャンピオンの小野など、個性的かつ普通の生活を送るキャラクターが次々と登場。少しずつ関係が絡み合って、ほっこりするような幸せが散りばめられている。
「このお嬢さんが誰の娘か知ってるか」というクレーマー撃退法が良くて、これも世代を超えて使われていて思わずクスっと笑ってしまう。後半、小野の試合中のラウンドボーイの描写に感動した。
読了日:10月11日 著者:伊坂 幸太郎

■ゴールデンスランバー (新潮文庫)
再読。何度読んでも面白い。過去の楽しかった記憶が伏線となり一気に回収されていくのが爽快!
なぜ青柳雅春が犯人に仕立て上げられたのか、大きな組織、黒幕は結局誰なのか、明言されていないが、それが想像を掻き立ててくれる。見所は、人との繋がりと信頼関係。車のバッテリーや打ち上げ花火、輸送、整形、マンホール、色んな角度から友人達が繋がり手を貸してくれる。ラスト、「キャバ嬢と浮気している」「痴漢は死ね」「たいへんよくできました」に胸が熱くなる。そして、第三章の語り手であり青柳家之墓に話しかけているのは、森田の息子?
読了日:10月10日 著者:伊坂 幸太郎

■最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)
藝大彫刻科卒の友人がいる。経歴は知っていたけど彼女の学生生活を実際に想像できたのは、この本を読んで初めてだ。この本で藝大を覗いて、やっぱり友人は藝大出身なんだと改めて納得。斜め上を行ってる感じ、分かる笑。
まずそんなにも色々な専攻があることに驚き、そしてひとり一人のエピソードも濃くて面白い。ずば抜けた才能を同じように持っていても、将来に対するスタンスは様々だというのも興味深い。
恐らく単行本発売の時には世間に知られてなかったKingGnu井口さんも、今では大変なことになっててすごいなぁ!
読了日:10月08日 著者:二宮 敦人

■PK (講談社文庫)
SFってやっぱり難しい笑
伊坂さんなので伏線が回収はされるけど、何となく腹落ちできておらず再読必至という感じ。
やっぱり一気読みが良いのかも。PKと超人の内容がいまいち理解しきれない、疑問が残ったまま密使を読み、でも判然としないままだった。年代と登場人物の繋がりをクリアにしていかないと、これぞ!という伏線に気が付けなかったのかも。
でも次郎くんが大臣の秘書だったPKのラストはとても良かった。
読了日:10月05日 著者:伊坂 幸太郎

■AX アックス (角川文庫)
殺し屋シリーズ。今作は短編連作の構成かつ家族との描写が多く、少し違った味わいで感動がある。
本業の営業職の傍ら殺しを行うプロの殺し屋、兜。グラスホッパーやマリアビートルにも出てきた殺し屋の面々やエピソードも挟みながら、殺し屋としての兜の腕前などを伺えるが、兜の良さは恐妻家であり家族への愛情が深いこと。スズメバチ退治の前に息子にお別れを言ったり、防護服を自作したり、その可愛らしさにクスっと笑ってしまった。そんな兜の家族の守り方と息子克己とともに戦うラスト、妻との出会いとキッズパークのチケットに感動した。
読了日:10月04日 著者:伊坂 幸太郎

■オー!ファーザー (新潮文庫)
伊坂さんがあとがきで、ご自身でも楽しめた、もっと早く単行本を出しておけば良かった、と仰っているが、本当にそれほど面白い作品。
由紀夫は4人の父の教えや特訓から、何でもできる優等生でいい奴。あんなに素敵な父親たちがいたらそりゃぁそうなるよなと納得してしまう。軸となる事件に、手旗信号やランナウェイプリズナーやかつてのプロ野球選手という伏線を経て、クライマックスの救出劇へ完結するのは最高にワクワクした。父親たちのそれぞれのキャラが立った会話、由紀夫の返しが本当に面白い。知代もよほど魅力的なんだろうと想像した。
読了日:10月01日 著者:伊坂 幸太郎


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