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コバンザメ、独立する。

先日、子どもが読んでいる
小学生向けの新聞で面白い記事を見つけた。

コバンザメの話だ。

サメやクジラの下にくっついて、
彼らが残したエサや排泄物、
寄生虫などを食べて暮らすコバンザメ。

「コバンザメみたいなヤツだな」

と権力者のおこぼれにあずかる人の
例えでも使われる、
どちらかと言えば残念な生き物。

ところが鹿児島の一部の海域では、
サメなどにくっついて移動することを
やめてしまったコバンザメがいるという。

そしてそのコバンザメたちは
通常のコバンザメより胴回りも太く、
かなり堂々たる体格になっているらしい。

離れた理由として、
近くにあるマグロのいけすから流れてくる
エサを食べられるから、
ということと、彼らが生息する場所は
ザトウクジラが出産、子育てをする
比較的安全な海域である

ということが挙げられるらしい。

砂地にゴロゴロと転がる
コバンザメの写真。

まるで水族館にいる魚のように
平和でのんびりした姿。

「もう!後ろからついてこないでよ。
前を歩いてよ、前を」

中学生の頃、
友人に言われた言葉である。

中学生のころの私は
どうやら友人の後ろからついて歩く
癖があったらしい。
それをウザがられてしまったのだ。

まったくの無自覚行動だったゆえ、
ビックリした。

自分の弱さが露呈することを極端に恐れ、
当時、発言力のあった
その友人の後ろに隠れることで
自分を守ろうとしたのだと思う。

まさにコバンザメじゃん。
あまりにショックを受け、
それ以来、気をつけるようにはなった。

だけど今でもなお、
コバンザメみたいな自分を
時々見つけてしまうことがある。

誰かの言葉を信じ、
上手くいかなかったら
その誰かのせいにしたくなる。

信じると「決めた」のは自分であるのに。
自分が「決めた」ということが
スッポリ抜け落ちてしまうのだ。

コバンザメはきっと、サメから
「いい加減離れろ」
と言われたわけではない。

ただ自ら先頭に立つことを「決めた」のだ。

自らの幸せのために
自ら世界の陣頭指揮を執り、
自ら自分の世界の枠を広げた。

失敗だったとしても
きっとサメを恨みはしない。
ただ結果を受け止めるだけだ

と思う、多分。

コバンザメだって
自らのアイデンティティを捨て
新しい生き方を模索、見つける時代。

私だって私の世界の陣頭指揮を
執れないはずがない。

と妙に納得しながら記事を読み終えた。

記事の最後に
「まるまると太ってしまったコバンザメ」
と書いてあったところだけは

いただけなかったけどな。

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