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新年度の緊張感がほぐれて騒がしくなってきた授業の対応

新年度を迎え、平常授業が始まってから、1ヶ月ほどが経過した。



当初は新たな環境で様子を見ていた生徒たちも、だんだん緊張感がほぐれ、本来の姿を出してくるころである。



ごく自然な流れではあるが、まだこの流れに慣れていない授業担当の教員などは、

「しっかりと話を聞いてくれる」
「静かでメリハリがある」
「今年度の担当クラスは授業しやすい」

などという当初の感想と異なり、すこしずつ騒がしくなってきたクラスの状況を目の当たりにして、おかしいな、ちょっと見誤ったかな、と気づき始めるころだろう。



戸惑っている間にあれよあれよと状況が悪化し、舐められたり反発されたり、まったく指示が通らなくなったり、そして気づいたら授業が成り立たないほど収拾がつかなくなったりするかもしれない。

一旦そうなると立て直しが難しい。

いつしか教員は、調子に乗ったかわいげのないやつらだと理不尽に生徒たちへ矛先を向けたり、自分には素質がなかったのだと落ち込んだりしてしまう。

そのままずるずると引きずって、年度途中に突然辞職する新人教員も少なくはない。



だからこそ、おかしいな、ちょっと見誤ったかな、と気づいたいまの時点で、早めに軌道修正しなければならない。



軌道修正の方法のうち、絶対に逆効果なのでやめたほうがいいと断言できるものは、

・静かにさせるため頭ごなしに注意する
・生徒にびびって甘やかしたり媚を売ったりする

この2点に尽きる。

どちらも対照的だが、行き着く先は、さらにクラスがまとまらなくなるという、まったくおなじ結末である。



では、どのように軌道修正をすれば良いのか。

それは実のところ、各教員のセンスによるとしか言いようがない。

そもそも教員は、マニュアルに頼るのではなく、センスがなければ成り立たない。



しかし、とてもわかりやすく、おすすめできる方法がひとつある。

それはいますぐ生徒の名前を覚え、座席表を見ずに、顔を見てどんどん呼ぶことだ。

精神論のように思えるかもしれないが、この方法はまだ新年度の雰囲気が残っているいまの時期において、極めて効果的である。



いやいやそうはいっても、5月の段階で、授業担当のクラス全員を覚えるなんて無理だろう、と思うかもしれない。

たしかに、もし30人規模を5クラス担当していれば、総勢150人である。

150人の顔と名前などとても覚えられない。
授業中は座席表を見ながら指名したり注意したりすることしかできないし、そもそも他の業務もあるのだから、そんなところに労力は使えない。

……などと言っているからすぐに軌道修正できないのである。

本気でなんとかしたければ、時間をかけず、新年度の雰囲気が残っているいまの時期に、名前を覚えてみてほしい。



そのなかでも特に、

・中心人物にあたる生徒(ムードメーカーで周囲に影響を与える存在)

・女子生徒(共学であれば実は教員に対するクラス全体の印象を左右するのは女子生徒だ)

の名前は優先的に覚えると良い。




そして授業中はとにかく「〇〇、次わかる?」「〇〇、鋭いね〜」「〇〇、起きて、書いて」など、名前を呼びまくる。

廊下ですれ違ったときも「〇〇、おはよう」「〇〇、さよなら〜」など、名前を呼びまくる。

突然呼ばれると、
「え、なんで知ってるの?」
と驚かれることもある。
すでに煙たがられている場合は嫌そうにされるかもしれない。
しかしそうなれば手応えありである。



生徒は自分の名前すら覚えていない教員に心を開かない。



考えてみれば教員自身もおなじはずだ。

いつまで経っても「名前のわからないあの先生」「〇〇(教科名)の先生」などと呼ばれていたら、なんだか虚しくなるだろう。

距離を縮めたければ、まずは自分から、覚えることだ。

名前を覚えることに得手不得手はあるだろうが、授業中に生徒の様子を観察していれば、意外と簡単に覚えられるかもしれない。



ただ、もちろん名前だけがすべてではないし、他の大部分は先述のとおり各教員のセンスによる。

しかし担任をしているクラスだけではなく、授業担当をしているクラスにおいても、生徒の名前を覚えることは、基本ともいえるほど重要な行為である。

したがって、まだ新年度の雰囲気が残っているいまの時期、すこしずつ騒がしくなってきたクラスの状況を目の当たりにして、おかしいな、ちょっと見誤ったかな、と気づいたら、すぐに名前を覚えて呼びまくると良いだろう。



なお、授業ではなく担任を持っているクラスの生徒から話しかけられずに悩んでいるのであれば、こちらも参考になるかもしれない。

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