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5分でアランの『幸福論』#29 “本当の楽観主義は覚悟に根ざしている”

アランは言う。
否定、悲観、絶望。それらは誰でもできることで、動物でさえも可能なことだと。
しかし強い希望、期待、楽観。これらは人間のみが持つことができるもの。
それらは意思をもって未来をのぞむ姿勢だという。

未来には作られる未来と作る未来があり、現実の未来はこの2つから成り立っている。
たとえば嵐や日食は、作られる未来である。
こちらについては、期待をしても意味がない。
知ることと、冷静な目で観察することが大事である。
(中略)
一方、地上の出来事は作る未来である。
人類の創意工夫によって、どれほど多くの変化がもたらされたことだろう。
(中略)
失敗すると思えば失敗し、無力だと思えば何もできず、望みは叶わないと思えば叶わないのだ。このことを肝に銘じなければならない。

アラン『幸福論』

これを読みこう考えた。
アランの提唱する「楽観主義」とは、
憶測や恐怖に根ざした妄信や逃げの姿勢ではなく、
現実を直視し冷静な目で考える、だからこそ生まれる「覚悟の楽観主義」なのだと。

これは「引き寄せの法則」と同じことを言っているのかもしれない。
この法則、私も最初はよく知らずに「オカルトの類(たぐい)かな?」と思っていたが、
調べるとロジカルな思考に基づいており、確かに筋は通っている。
これついてわかりやすく解説した動画がYouTubeにあるので、リンクを掲載しておく。

自身が「実現したい」と強く望んでも、実現するか否かは不明だが、
少なくとも確かなのは、自身が「実現したい」と思わない場合は絶対に実現しない、ということだろう。

人類はその叡智で自然を支配下に置き、今日の繁栄を築いた。
私の今日の生活も、何よりこの投稿自体その積み重ねの上に成り立っている。
しかし、もし人類が「どうせやっても無駄」「そんなこと無理でしょ」と最初から匙を投げていたら、我々は今日でも原始人と何も変わらない生活を送っていただろう。

自分の意思を固め覚悟を決める。だから真に努力ができる。
そうして創意工夫と最善を尽くす。だから期待ができる。
だから楽観的になれる。
だから不確かな未来に対して覚悟を決められる。

どちらが先、何が最初、という話ではないのだろう。
これらは互いに依存し合いながら、循環している心持ちだと思う。
だからこそ、まず期待が先覚悟が先などという話ではなく、
今日、今すぐにどこから始めてもいいのだろうと思う。

この連載は今日で29本目。
だんだんとアランの思想が見えてきた。
その思想に触れることができてきた気がする。

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