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年末年始に、ちょっと考えてみたい。海外の日系企業で働くって、どんな感じ? 駐在員とローカル社員の差は? 駐在員は絶滅危惧種?

こんにちは、アンロック・ジョーです。

海外移住に関心があったり、外国人とのやりとりに悩んでいる方に向けて、「もう外国にはビビらない」をテーマに情報発信させて頂いています。

今年はコロナの影響で、仕事の環境が変化したことで、自分の生き方や仕事について、改めて考えた方も多いかと思います。その中には「いつかは海外で働いてみたい」と考えている方もいると思いますし、若い頃に夢見たものの、日常に忙殺されている中で、「もう、無理かな」と半ば諦められている方もいるかもしれません。コロナをチャンスと捉えて、コロナ 明けに向けて準備を開始され始めた方もいるでしょう。

「海外で働く」には様々な方法があり、海外の大学を卒業して、そこから得られる就労資格を得て、現地企業に就職したり、自分で起業する、などの方法もあるかと思います。ですが、私のように、日本で15年以上の社会人経験があり、また、既に家族がいる方などの場合は、「海外で働きたいから」という理由で、勤務先を辞めて海外に移住することは、容易なことではありません。

海外法人がある企業に勤務されている方であれば、駐在員として海外で働くことが、リスクの少ない一番安全な選択肢になるかとも思います。わたしは、「はじめまして、アンロック・ジョーです」にも書かせて頂きましたが、駐在員としてカナダに赴任し、数年後に帰任命令が出たものの、カナダの生活環境、特に子育て環境が気に行ったため、赴任元の企業を辞めて、赴任先と同じ会社に、ローカル採用社員という立場で働いた経験があります。その後、その会社も辞めて、今はビジネスコンサルティング会社を経営していますが、私が駐在員、ローカル社員、そして経営者としてカナダで働いた経験を踏まえ、海外での仕事に興味がある方、とくに、駐在員としての勤務に興味がある方に、アドバイスを書かせて頂ければ、と思います。

日本人駐在員の数は大きく減っている

国や業種、企業規模などにもよるので、一概には言えませんが、日系企業だからと言って、日本人が多いとは限りません。日系企業であっても、ローカル社員がほとんどであり、社長などの幹部もローカル化が年々進んでお り、私が住むトロントでは、感覚的にはローカル人材が社長を務めている企業が半数以上を占めていると思い ます。また、幹部に限らず、トロント日本商工会でも、駐在員数が1〜2名の会員企業が6割近くを占め、駐在員が5名未満の企業が8割以上を占めている状況です(私の勤務していた日系企業も、社員約200名のうち、日本人は私ひとりでした)。

そんな中、駐在員の役割と言えば、本社への報告業務や、予算や決算のレポートが中心業務のひとつだと思いますが、この役割も、現地化と、英語社内公用語化が益々進展してくれば、高いコストを払って日本から赴任する駐在員でなければ担えない役割である、という認識は徐々に少なくなっていくと思います。

駐在員とローカル採用社員の“待遇”は、どう違う?

前述の通り、わたしは駐在員からローカル採用社員となりました。気になる(?)待遇の差ですが、駐在員は社命で赴任するため、引越し代や家具の購入費の補助から、海外駐在手当てに始まり、住宅や教育手当て、社有車の貸与など、いわゆるフリンジベネフィットが充実していることが多いです。給料そのものは日本と同額なものの、これらのフリンジベネフィットの額が単純にプラスされるため、日本にいる時よりも、手取り金額は多くなる人が多いかと思います。一方、ローカル採用社員となれば、当然、手当ての類はなくなりますので、駐在員の時よりも出費は増えることになります。

では、駐在員からローカル採用になった場合、給料はどうなるか、についてですが、これも当然、ケースバイケースだと思いますが、ローカル社員になる、ということは、その国の、その職種のジョブマーケットの相場に則った 金額が基準となります。為替や景況により数字も変動するので、日本と比べて多いか少ないかは単純には比較できませんが、東洋経済の記事(「低すぎる最低賃金」が日本の諸悪の根源だ)にもある通り、日本の最低賃金は国際的に見ても低いこともあり、カナダの場合、日本での賃金よりも増えるケースは決して珍しいことでは無いと思います。

待遇の話と少しずれますが、よく知られている通り、カナダの場合、入社してから業務が決まるのはなく、特定の業務に対して必要な人材を募集する、というのが一般的です。つまり、企業の規模、というよりも、職種によって おおよその給料基準が決まっており、さらには肩書き(地位)によっても相場が決まっています。そのため、日本人駐在員社長よりもローカル採用の部下の給料が高い、などということは良くあります。ご自身のポジション が、他国での賃金相場がいくらなのか、調べると、客観的な視点が持てるので、オススメです。(参考:収入の国際比較は、このサイトも面白いです。Global Wage Calculator)

ローカル社員のメリットとは?

私がローカル社員になって、待遇面以外で大きく変わった点の一つとしては、同僚の私への接し方です。

赴任初日に、私が「彼は本社から来ていますが、スパイでは無いので、安心するように」と紹介されたところ、爆笑が起きるわけでもなく、職場の仲間が、強張った笑顔を私に向けていたのが印象的です。ちょうどこの頃、企業の買収・合併が完了した時で社員が動揺していたこともあるとはいえ、本社からの駐在員というのは、ローカル社員から見ると、数年間だけ一緒に働くお客様になりがちであり、仲間、というよりは、気を使う相手と言う存在という場合も多いと思います。それが、本社を辞めて、ローカル社員として、同僚と同じ雇用状況にな った途端、同僚たちの私への態度がフランクになり、私はお客様から仲間と認識され、わだかまっていた壁は なくなったように思います。

ローカル社員のその他のメリットとしては、駐在員が本社のルールに縛られて勤務時間や休暇日数が制限されるところを、ローカル社員であれば、カナダでのルールに従うのでフレキシブルである、ということと、前述の通り、給料面については、本社の昇給ルールに従う必要は無いので、日本とは違う給料相場での給料となりますし、昇給スピードや給料の上限も交渉次第で青天井となります。

駐在員になれたら

日系企業で駐在員、そして、ローカル社員の両方の立場で働いた経験を書かせて頂きましたが、実際問題、海外就労の実績や労働ビザが無い限り、外国でローカル社員として働くことは難易度が高いと思いますので、現在、海外支社があるような日系企業に勤めている方は、まずは駐在員として働く可能性を探った方が良いでしょう。そして、駐在員として赴任できたら、赴任期間中は肩書きが2〜3段階アップし、つたない英語でもローカル社員は熱心に聞いてくれ、お客様のように接してくれると思いますが、それに甘んじることなく、本社にではなく、ローカルの人材マーケットでも十分にアピールできるような実績作りに注力しましょう。

駐在員になりたいなら、今すぐ、行動!

私の友人は、「駐在員は絶滅危惧種」と言っている人もいるぐらいです。特に、海外現地で、日本企業を相手にすることだけが担当になっているような駐在員は、その駐在員から産み出される利益では、コストをカバーできず、帰任してしまうと、その後任は無し、という事実上の駐在員ポジションのリストラが起きています。企業によって状況は異なるとは思いますが、「本社社員じゃなくではダメ」、「日本人じゃなくてはダメ」という状況が徐々に減っていることは間違いありません。駐在員を目指すなら、今です。

次回は、カナダで駐在員、そしてローカル社員としての勤務経験を経た私が、海外勤務に興味がある方への私なりのアドバイスを書かせて頂きたいと思います。

それでは、どうぞ、皆様、ご自分の気持ちと行動をアンロックして素敵な年末年始をお過ごし下さい。




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