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第24回 便器内に溜まっている水の跳ね出しは、汚水逆流の兆候

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新する災害時トイレの連載です。

2022年9月1日に東京都と共催で、防災トイレフォーラムを開催しました。

阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震に関して、そのときトイレで何が起きていたのか、被災者はどのように困ったのか、それに対して行政はどのように取り組んだのかについて、それぞれの現場で指揮を執った方、取材された方に話していただきました。
また、東京都には、首都直下地震の被害想定から見えてくるトイレ問題について発表いただきました。
参加もしくは視聴くださったみなさま、ありがとうございました。

フォーラムの発表から改めて分かったことは、備えがなければ確実にトイレパニックがおきるということです。
以下の記事に、前半部分のまとめがレポートさていますので、参考にしてください。

さて、今回のテーマは「便器内に溜まっている水の跳ね出しは、汚水逆流の兆候」です。

記事の結論は、表題そのものですが、便器内の水がボコボコと跳ね出す場合は、汚水逆流の可能性がありますよ、ということです。

水洗トイレの便器の底には、水が溜まっています。
ふだん使っているので、何となくわかりますよね。

あの水のことを専門的には「封水」といいます。

字のとおり、水で封をしているのです。
まずは、この水の役割を説明します。

封水はとても重要な役割を担っており、
その一つとして、便器から汚水が流れていく排水管から先の悪臭や衛生害虫がトイレ室内に侵入してこないように防ぐという役割があります。
つまり、水で蓋をして悪臭等を遮断しているのです。

この封水が跳ね出す、ということは何が起きているのでしょうか?

便器の汚水を流す排水管は下水道や浄化槽とつながっていて、汚水は自然流下で高いところから低いところへと流れていきます。
ポンプの圧力で押し出しているわけではありません。

そのため、排水管のどこかに詰まりや管の勾配が逆になるなどの異常があると汚水がスムーズに流れていかず、溜まってしまうことがあります。

このような状態にもかかわらず、上階から汚水を流すと、排水管内の汚水がどんどん溜まっていくことになります。
そして、行き場を失ってどこかから溢れることになるのです。

溢れる兆候として分かりやすいのが「便器の封水の跳ね出し」です。

まずは排水管内の空気が逆流し、ポコポコと封水内から空気があがってきます。
それがひどくなると封水が跳ね出すことになります。
大雨で地域が浸水し、下水道や排水横主管が満水になっている場合に、水洗トイレを流そうとすると同じようなことが起きる可能性があります。

閉めてあった便器の蓋の内側が汚水で汚れているようであれば、それは汚水逆流の兆候かもしれませんね。

とにかく、封水の跳ねだしはトラブルの兆候ですので、気をつけてくださいね。

参考
9月1日に「アーカイブ 災害時のトイレ事情」を公開しました。
これまでの災害におけるトイレ問題とは、いったいどのようなものだったのかをご理解いただくために、被災地のトイレの写真を公開しております。
トイレが不衛生になると、感染症や関連死のリスクが高まります。
ぜひ、備えにつなげて頂きたいと思います。

出典:災害用トイレガイド https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/example/


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