利用して利用されて、それでいいんだよ

こんにちは。

私の姉はおそらくアスペルガーでADHDです。

発達障害は遺伝します。

両親も発達障害な上にねじ曲がった性格で所謂毒親です。3姉妹のなかでも1番優しい彼女を、両親は利用し続けました。

私は末っ子の三女。次女のKはアスペルガーの傾向がとても強く、他人と上手くコミュニケーションが取れません。

自分が思ってる事と、口に出す事が違ってしまうのです。脳の伝達が上手くいってないからです。

イメージでものを喋るので、単語の羅列になったり、彼女の中のイメージの連想された先の事を突然喋り出すので、周りの人は何の事を話しているのか到底理解出来ないのです。

私はその事に気づくのにおおよそ30年近くかかりました。

 そして、ADHDなので、マルチタスクできません。ワーキングメモリないので言われたことすぐ忘れます。

だから昔から両親に、

『お前はそんなこともできないのか、ドジでグズで泣いてばかり、しょうもないやつだな』

と言われ続けて生きてきたのです。実家を出るまで35年近くも。

そして、幼い私は父親がそういう風に言ったり、

『あいつはよく嘘をつく。妄想癖があり、被害妄想が激しいから、いつも大げさに痛いとか苦しいとか言って、演技くさい。滑稽だ』

と、私に話していたのです。

私はその当時、まさか親が普通の両親と違うとか、人でなしな人達だと気付いてなかったので、親の言うことは当然正しいのだと思い、信じてしまいました。そして、Kを見下し始めたのです。

私たち家族はKを利用し続けました。それも35年近く。私は7年前に抑鬱になり、その時始めてKの気持ちが少しわかりました。しかし、まだ発達障害については知識がなかったので、まだほんの少ししか理解出来ていませんでした。

KはKで、両親には、親孝行しなければならない、家族には尽くさねばならないという思い込みがあったので、家族のために身をこなして働きました。

幸い、アスペルガーにお得意の、プログラマーとして就職でき、1年間はクソみたいなブラック企業にいましたが、そこで配属されていた部署がユニット毎独立し、チーフが社長となり今の会社を立ち上げたのでホワイト企業に移ることができました。そこでの勤務条件は、忙しくない時期であればフレックスタイムや午前休午後休、自宅作業などを選択でき、発達障害やうつ病の人にも最適な環境だったので、20年近く勤務できています。給料も、田舎にしてはそこそこで安定しています。

しかし、Kの給料のほとんどやボーナスは家族の為に全て消えて行きました。親孝行のために生活費のほとんどを出し、親の車代も病院代も家電代も借家返済も私へ仕送りも、全部家族たちにむしり取られていました。

私もKを利用していました。20代前半に東京に帰ってきた時に、ようやく自分が何をして来たのか、少しずつ気づき始めていましたが、姉のあり方さを見に沁みて感じたのは、うつ病になった時でした。

本当に有り難かったし、生活費を稼ぐことご出来ないので、お金を貸してくれました。

『あげてもいいくらいだけど、それじゃあ、キリエちゃんのためにならないかもしれないから、一応貸しにしておくね。働けるようになったら返して欲しいから、死なないで』

実際にはこんな気持ちのいいセリフは言っていませんが、彼女の言いたい事をまとめるとこんな感じでした。

彼女は昨夜ある事を言いました。

一緒に暮らしている叔父に『おはよう。朝だよ』

皆さん、何を言っているかわかりますか?時刻は夜の10時です。普通の人は、彼女が突然嘘をついたと思いますよね。

でも彼女の理屈はこうでした。

『だっておじさん今起きたなら、起きた時が朝でしょ?』

アスペルガーもADHDも思い込みが激しいのです。おじさんは寝てなかったかもしれないけれど、彼女のなかでは"おじさんは寝ていて今起きてきた"という事実が思い込みにより出来上がっていたのです。

普通の人とコミュニケーションが難しいのはこういう事です。彼女の中の認知が普通の人の捉え方と違ってしまうこと、頭で考えている事と口に出す事が違ってしまう事があり、また空気を読む力が無いので、言葉通りの意味しか理解できません。

彼女自身とても困っているし苦しんでいる障害です。でも彼女が悪いわけではありません。脳の伝達物質が阻害されてうまく運ばれないのです。それが発達障害なのです。

だけど私もADHDな上、攻撃性が強いタイプなのでついキツイ言葉を言ってしまう衝動性が抑えられません。

『何嘘ついてんの?』と言ってしまいました。すると彼女は先程の説明をしてくれました。

私はイライラして、昔父親が私に言い聞かせた言葉を言ってしまいました。

『あいつはよく嘘をつく。妄想癖があり、被害妄想が激しいから、いつも大げさに痛いとか苦しいとか言って、演技くさい。滑稽だ』

『だから、Kちゃんがいつも辛くて助けてって言っても、あのひとたち(両親や長女)は大げさだと思って「ほっとけほっとけ」って笑ってたんだと思う。私もそう思ってた』と正直に言ってしまいました。

実はこういう話は今まで何十回もしています。しかし、彼女はいつも感情的になるので、話したことを忘れてしまうのかもしれません。

彼女は心が乱れて、怖い顔になりました。

『そうか、じゃあみんな私を利用していただけなんだね!』

彼女のなかでは、彼女が家族に対して色々なにかをしてあげるのは、家族が喜ぶと思い込んで、自分にも同じように優しくしてくれるはずだとばかり思い込んで行動して来ていたのです。

ですが、実際はそうではありませんでした。昔の私を含め、家族はKを利用していただけでした。

『もう何もしない方がいいの?キリエちゃんにも、もう何もしてあげない方がいい?私を利用してるだけなの?』

考えが極端になるのも発達障害あるあるなんです。

私は一言言いました。

『して欲しいって思ってるよ』

本心でした。利用していないかといえば嘘になる。私は今体調不良で十分に働けないから、また生活費を姉に借りなければならない。しかし、有り難いと心から思っている。

だから、結局何が言いたいかというと、

利用しても利用されてもいい、そこに『ありがとう』って気持ちさえあれば!!


そう思うのです。

利用価値も何もない人間より、例え利用されても必要とされる人間の方が嬉しい。それは私の価値観だけれど、それがいつか彼女に伝わるといいな。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。