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結局何が違うの?ビジネス系大学院の種類:MBAとMiMとMSc


0.はじめに

海外の大学院に留学したい!

学部卒業を控えていてまだキャリアがない方、既に学部を卒業していてキャリアが数年ある方、様々な人がいらっしゃるかと思います。

本Noteでは、海外大学院に留学したい皆さんのために、大学院の学位の種類のご紹介いたします。


1.Master 修士号とは?

Master's degree(修士号)とは、学士号を取得した後、さらに専門的な知識やスキルを磨くために取得することができる学位で、一般的に学士号よりも高度な研究や専門知識を必要とします。

日本やアメリカなどは4年をかけて学士を取った後、さらに2年をかけて修士を取りますが、イギリスやオーストラリアなどでは学士を取得するのに必要な年数は3年で、また修士についても1年で取得することができます。

2.Masterの種類は?

実は、masterの種類はかなり多く、専門分野によって枝分かれしていきます。ざっと分野別に10個列挙いたしますが、ビジネスや芸術、エンジニア、法学など各分野によって取得できる修士号が異なってきます。

  1. MBA(Master of Business Administration): ビジネス管理全般にわたる高度な知識やリーダーシップスキルを提供する修士号。

  2. MiM(Master in Management): 初期段階のビジネス管理や経営キャリアを目指す学生向けの基礎的なビジネス教育を提供する修士号。

  3. MSc(Master of Science): 自然科学や工学分野での修士号。例えば、物理学、数学、化学、コンピューターサイエンス、工学などの分野で取得できます。

  4. MA(Master of Arts): 人文科学や芸術分野での修士号。例えば、文学、歴史、哲学、言語学、美術、演劇などの分野で取得できます。

  5. MFA(Master of Fine Arts): 芸術分野での高度な専門教育を提供する修士号。例えば、美術、演劇、映画、音楽などの分野で取得できます。

  6. MSW(Master of Social Work): 社会福祉分野での修士号。社会的な問題に対処し、個人やコミュニティの支援を行うためのスキルを提供します。

  7. MPH(Master of Public Health): 公衆衛生学分野での修士号。健康促進や疾病予防などの公衆衛生に関する専門知識を提供します。

  8. MEng(Master of Engineering): 工学分野での修士号。機械工学、電気工学、土木工学などの分野で取得できます。

  9. LLM(Master of Laws): 法学分野での修士号。法律に関する高度な知識やスキルを提供します。

  10. MEd(Master of Education): 教育分野での修士号。教育の理論や実践に関する高度な知識やスキルを提供します。

もしMBAを含むビジネス関連のmasterに興味がある場合、リサーチしていく中でよく目にするのは上3つでしょう。

それが、MBA、MiM、MScです。
そして、これらは教える授業や内容は重複しますが、教える対象が違っていたり、実際にクライアントとコンサルプロジェクトを組成するプロジェクト型授業の割合が異なっていたりします。

3.MBAとは?

MBA(Master of Business Administration)プログラムは、ビジネス管理全般にわたる知識やスキルを提供することを目的としています。

多くの場合は、既に実務経験を持つプロフェッショナルが進行管理やリーダーシップのスキルを磨くために受講し、戦略的な思考や経営戦略の構築、財務、マーケティング、人事管理などの分野を包括的に学びます。

1年などの短期集中型で詰め込むプログラムもあれば、アメリカのように2年でじっくり学ぶことができるプログラムもあります。
また、各大学の特徴が授業によくあらわれ、Techを多く盛り込んだり、起業家精神(Entrepreneurship)を養うことに注力しているスクールもあります。

また、MBAは授業料が高額であることは皆さんご存じかと思いますが、この授業料の一部はスクールのマーケティングとして使われます。どこも、優秀な学生を取りたいですからね。

そうした、マーケティング活動の結果はMBAのランキングに現れ、世界中の多くの機関やメディアによって定期的に発表されています。

有名どころは、FT、QSです。米国の場合は、bloombergやUS News & World Report Best Business Schools Rankingも有名です。
ただ、厄介なのはそれぞれの格付け機関によって評価項目が異なります。
そのため、同じ大学でもランキング機関によっては、ばらつきがあります。

  1. Financial Times MBA Ranking: 英国の経済紙であるFinancial Timesが発表する世界的なMBAランキングで、学校やプログラムの評価を行います。雇用率、平均給与、国際性、キャリア進展などの要因が考慮されます。

  2. QS Global MBA Rankings: QS World University Rankingsが発表するMBAランキングで、世界中のMBAプログラムを評価します。雇用率、アカデミックリピュテーション、雇用主の満足度などが考慮されます。

ここでは簡単に2024のFT MBAランキングを紹介します。
アメリカのウォートンが堂々の1位、コロンビアビジネススクールが3位、Sloanが7位とかなり米国のスクールが目立っていることが確認できます。

ヨーロッパのMBAを見てみると、フランスのビジネススクールであるINSEADが2位に来ています。ほとんどの卒業生を戦略コンサルに送り出すことからコンサル輩出スクールとも呼ばれています。
それから、イタリアのボッコーニは4位、スペインのビジネススクールIESEは5位、LBSが8位と名だたるスクールが10位以内を占めています。

https://rankings.ft.com/rankings/2951/mba-2024

つづいて、2024年のQS Global MBA rankingを見てみましょう。
スタンフォードが1位、ウォートンが2位、ハーバードが3位と米国勢が続き、その後にLBS、HEC parisが続いています。

https://www.topuniversities.com/mba-rankings/global?page=0&tab=indicators&sort_by=rank&order_by=asc

実は、ひと昔前までは、MBAというとエリートコースとしてキャリアが確保されていたり、MBBなどの戦略コンサルや外資系投資銀行、PEに転職する上での登竜門として使われてきました。

そういった潮流は今も健在で、INSEADを始めとしたトップスクールにいく人たちの多くはコンサルや投資銀行に進む人が多いです。

今まで全く別のキャリアだったものの、そういった専門職に進むためにMBAを選択したり、また現地就職をするためにコネクションづくりとしてMBA留学をしたり目的は様々ですが、一つ言えるのは、何か変数を変えるためにMBAが機能するということです。

①自分×②住む場所×③職種

この3つの変数を変えるためにMBAが存在し、さらにこの変数がどれほど変動しづらいものだったとしても、それらを自由に変えることができる力をもらうことができる、それがMBA(留学)だと思っています。

費用対効果については、また別の論点にはなりますが笑

4.MiMとは?

MiM(Master in Management): MiMプログラムは、特にビジネス管理や経営の分野における初期段階のキャリアを目指す学生を対象としています。

一般的には、大学を卒業してすぐの学生や少ない実務経験を持つ学生が受講し、ビジネスの基礎的な理論や実践的なスキルを学びつつ、経営の基本的な概念やビジネス環境について理解を深めることを目指しています。

MBAとの違いは、主にビジネスマンとしての成熟度になります。
社会人3年目、4年目以降がMBAの主な対象となる一方、MiMは社会人0~2年が対象となります。

つまり、MBAでは、
職務経験を基に培った自分の専門分野をベースとして、他の分野を学ぶことができる素地があるかどうか、
また、管理者とはいかないまでも、管理者の一歩手前の役割を担ってきたからこその役割別の視座というものも持つ必要があります。

その点、MiMは学部卒業の方でも入りやすく、かつ様々な分野を幅広く学ぶことができます。学費が比較的安いのもプラスですね。

実は、MiMについてもMBAと同様ランキングがあるので、今回はFTのランキングを紹介いたします。MBAのランキングの方と比較をすると面白いことがわかります。

MiMの1位はフランスの名門グランゼコールHECがきており、スイスのSt GallenやLBS、スペインのEsade、ドイツのWHUなどヨーロッパの大学が多いことがわかります。
実はアメリカではMiMは一般的ではなく、MiMは欧州が主流になっています。

https://rankings.ft.com/rankings/2948/masters-in-management-2023

5.MScとは?

それでは、次にMScを紹介します。

MSc(Master of Science)は、自然科学や工学、数学、コンピューターサイエンスなどの分野で提供される修士号です。

一般的には、理論的な学習と研究に焦点を当てており、学術的なスキルや専門知識を深めることを目指しています。

ビジネススクールとかだと、MScでもMBAと似たようなコンサルプロジェクトがあったり、外部のクライアントとの共同プロジェクトがあったりしますが、ケンブリッジ大学やシドニー大学等の総合大学におけるMScは、座学が基本で、しっかり知識を身に着けていく勉強スタイルとなっています。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、主にビジネス系の修士号で見られるMBAとMiM, MScの3つを紹介させていただきました。

・既に3年以上社会人経験があり、比較的アウトプットを重視とした勉強がしたい場合はMBA
・社会人経験が全くないか2年未満で、比較的アウトプットを重視とした勉強がしたい場合はMiM
・特定の専門分野を勉強するために、腰を据えて学校に通いたい人はMSc

こういった建付けになるかと思います。
ただ、正直いうと、MBAやMiMを取っていなくてもコンサルや外資系投資銀行への就職は可能ですし、MBAを取っていなくても現地就職は可能です。
どのMBAを取ったとしても1,500万~3,000万はかかりますから、本当にここまでやる必要があるのか、というのは考えた方が良いかもしれませんね。

MiMも、欧州の学生にはかなり有名で、それこそMBBや投資銀行に入りたい人たちがMiMを取る印象があります。
MiMの中にも MiM specialised in consulting やspecialised in financeなど、専門に特化したコースもあります。
これらについては、別のNoteでまた紹介させてください。


こちらのNoteでは、USCPAの科目まとめノートや、簿記2級のまとめノート、MBBといった戦コンやBIG4の転職体験談、大学院留学・海外生活体験談を紹介しています。





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