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FF14 Novel: Paint It, Black

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #1

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #1

1.

「ぎゃっ……!」
 剣の閃きで、人間の喉から血液と同時に言葉にならぬ断末魔が漏れ出た。
 山賊と思しき汚らしい獣皮を纏った男たちが、ろくに手入れもされていないような刃物を振り回して商人たちを殺していく。
 その日、高地ドラヴァニアの空は厚い雲に覆われていた。降雨こそないものの、昼間でも暗く感じられるほどだ。ここは霊峰ソーム・アルの北側であった。そのような荒れ地の付近に集落などもなく、ここに

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #2

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #2

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まとめマガジン:

4.

 █████████████████████████
 ████████アトルム王国█████████████████
 ██████ナイン████████████████████
 █████████五十四年霊四月二十四日

 轟々と魔導機関の立てる、耳障りな音がこだまする。
 鋼鉄の魔導輸送艇の薄暗い室内に詰め込まれ、ひしめき合う兵士たちがいた。彼らは一言も

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #3

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #3

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6.

 翌日の明け方過ぎ。二人はキャリッジが集まる街外周部の一角を訪れていた。
 ナインが何度もあくびを隠せないほどの時間帯だというのに、彼女が想像していたよりもずっと人が多い。深夜から未明にかけての漁で獲れた魚の第一便がアイスシャードとともに詰め込まれているのだ。
 水産業関連の大量輸送用羽車がいくつか検査を受けてから発車していく。この時間帯から動くキャリッジは少ないら

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #4

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #4

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まとめ読み:

8.

「……もう二度と付き合わねえからなこんな作戦……」
「ははは、貴重な経験ができたと思いなよ」
 ロクロが用意した縄には登りやすいように工夫がしてあった。数イルムごとに取っ手というか、出っ張りのようなものが装着されており、単純に縄だけを登るよりはずっと楽に縄を伝って輸送艇の上に辿り着くことができた。
 ただ、それは縄が風に揺れていなければ、の話だ。輸送艇は速度を増して

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #5

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #5

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まとめ読み:

12.

 █████████████████████
 ガレマール帝国属州█████████
 █████████ナイン████████████████████████████
 █████████五十四年星五月二十日

 最もよく覚えているのは自分の号令だ。
「インパヴィダス降下!」
 落下、落下、落下。
 もう何度落下したのか覚えていない。
 落下、落下、落下。
 落

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #6

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #6

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まとめ読み:

14.

 ███████████████████████████
 ███部隊インパヴィダス██████████████████████████████████████████グリュシュカ
 飛空戦艦ミマス████████████
 ████████████ナイン█████████████
 ████████五十四年霊五月二十四日

 まるでコロッセオだ。
 飛空戦艦の窓

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #7

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #7

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16.

 ██████████████████████
 ███部隊インパヴィダス██████████████████████████████████グリュシュカ市内
 市庁舎████████████████████████塔███████
 ████████████████ナイン██████████スリィ██████████████
 ███████五十四年霊五月二十四

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #8

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #8

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まとめよみ:

18.

 ████████████████████
 ██████インパヴィダス野営地████████ナイン███████スリィ████████
 ███████五五年星二月一日

「ナイン、ナイン……」
 誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。微睡みの中から意識を引き上げる、澄み切った水のように美しい声だ。
 ナインは重たい瞼を何とか上へ押し上げて、声の主を探そうとした。ぼんや

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #9

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #9

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まとめ読み:

20.

「――ナイン」
 声が自分を呼んでいる。意識が上へと登ることで、夢から睡眠へと変わり、幻影ではなく暗闇を意識することになる。
 瞼の裏の暗闇だ。
 頑固にくっついて離れない瞼を不断の努力で開くと周囲の様子が目に入る。その大半はぼやけているが。
「おはよう、ナイン」
「ああ……」
 歪んだ視界の中で美しいアウラの女が微笑んだ。洞穴は薄明るくなっているが、外は白い靄が

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #10

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #10

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まとめ読み:

21.

「診断終了。視界システムが損傷、接続解除。任務継続、可能」
 ノイズまみれの声が言う。
 その声は可憐な少女である彼女とは似ても似つかない。
「お前、スリィ、なのか?」
 だがナインは目の前の少女がスリィにしか見えない。
 数年を経ていくらか成長した、かつての戦友にしか見えないのだ。
「作戦行動を再開」
 対して金髪の女はナインの言葉を意に介さない。まるで彼女の言

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #11

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #11

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まとめ読み:

23.

 敵の剣が褐色のヴィエラの元に迫る。
 槍の柄で左に弾き、わずかにぶれた軌道を修正してそのまま前へと突く。槍斧の刃は鎧に覆われていない喉の柔らかな肌を突き抜け、致命傷を与えた。傷口から勢いよく血が吹き出し、他の味方に血を浴びせた。
 血にまみれながら兵士は前へ進む。力任せに剣が振り下ろされるが、考えなしの攻撃はナインにとって無意味だ。喉に突き刺さったままの兵士の死

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #12

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #12

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24.

 二匹の獣が互いの牙をぶつけ合う。
 何度も、何度も、何度も。
 スリィの刃が右から迫る。ナインの槍が振るわれ、ガンブレードが大きく弾かれる。
 槍の勢いを利用して石突がスリィへと迫る。防御は不能と判断して彼女は身をかがめた。柄による攻撃は回避できたが、ナインは軌道を急速に修正。屈んだスリィの頭めがけて石突を振り下ろした。
 スリィのガンブレードが戻り、柄を受け止

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FFXIV Original Novel: Paint It, Black #13 Epilogue

FFXIV Original Novel: Paint It, Black #13 Epilogue

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まとめ読み:

26.エピローグ

 照りつける太陽が頭を焦がす。太陽光への対策に布製の帽子を被っているのに、おそろしいほどの熱を感じている。
 視界の全ては砂色だ。
 粒の細かい砂が、一面に満ち満ちている。一歩進める度に砂が体重を受け止めて沈むため、足元も覚束ない。
 加えてこの空気だ。太陽光に熱された空気は非常に熱を持っており、鼻や口から息を吸う度に、己の内側が燃やされているのではない

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