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「辞める人・ぶら下がる人・つぶれる人」さて、どうする?の読書忘備録

「辞める人・ぶら下がる人・つぶれる人」さて、どうする?(上村紀夫著)を読んだのでその忘備録

この本は経営者や部門長などマネジメント層に向けて組織運営について書かれている。組織運営に悩まれている方は一読する価値があると思います。

序章
組織が病んでいく原因は「マイナス感情」である。
人はプラス感情にはすぐに慣れて当たり前になってしまうが、マイナス感情は組織への不満につながっていく。
病んだ組織への対応は誰に向けて(WHO)、どの課題に対して(WHAT)が重要で手段(HOW)だけを追い求めると失敗する。

第1章
まず大切なのは社員のための施策を行うのではなく、社員のマイナス感情と向き合うこと。
マイナス感情の原因は社員の求めるものと会社が与えるもので差である。
社員が求める労働価値は多種多様であり時代によっても変化する。また同じ人でも環境の変化により大きく変わる。
まず第一に採用の時点で会社が与えられる労働価値と価値観の会う人を採用しないければいけない。そのためには「成長できる」、「残業が少ない」、「ワーママ多い」など矛盾した玉虫色のスローガンを掲げるのは危険。
ダイバーシティは「労働価値の違い」と「スキル・経験・思考法の違い」の2軸で考える必要がある。本来のダイバーシティは前者は小さく、強者は大きいこと。ここを間違うと大きくマイナス感情が発生する。
今いる社員にはビジョンやパーパスといった道しるべが必要。全員参加型で作ることで腹落ちできる。これがないと行動指針につながらない。

第2章
マイナス感情は①心身のコンディション、②働きやすさ、③働きがいの3つのカテゴリーで考える必要があり、これを個人活性と呼ぶ。
個人活性はピラミッド構造になっており①が土台、②が2段目、③が頂上に位置する。このバランスが大事でありどこかが崩れれるとほかにも影響を与えていく。このどこに課題があるのか見極め対処をしていく必要がある。
個人活性が関係する離職には3つの分類があり
 ・積極的離職:夢をかなえるため
 ・消極的離職:逃げるため
 ・離脱:心身の健康悪化のため
がある。
離職の中で消極的離職と離脱を見逃してはいけない。

第3章
マイナス感情による個人活性の低下は組織内で伝染していく。
離職より大きな問題として消極的定着(ぶら下がり)がある。これはテレワークやフレックス等働きやすさに焦点を当てた施策が多いと顕著となる。
働きがいに対する施策が必要。

第4章
組織活性を上げるためには誰に向けて(WHO)、何の課題を優先的に取り組むか(WHAT)、どのようなアプローチで(HWO)が重要。
ターゲッティングを用いた離職対策を行う。まず社員を優秀(10%)、ハイポテンシャル(10%)、立ち上がり(10~20%)、普通(50~60%)、ぶら下がり(0~10%)に分類する。
この中で離職対策は下記の優先順位で行う。
  ①ハイポテンシャル
  ②立ち上がり
  ③優秀
  ④普通
  ⑤ぶら下がり
①ハイポテンシャル人材への対策
 離脱:疲労/メンタルヘルスのフォロー
 消極的離職:業務集中・評価への不満からアプローチ
 積極的離職:働きがいを上げる機会創造
②立ち上がり人材への対策
 離脱:採用時のストレス耐性、価値観合わせ
 消極的離職:業務負荷軽減、人間関係整理
 積極的離職:見本となるハイポテンシャル人材を作る

第5章
従業員意識調査を調査のための調査にしない。大事なことは従業員の労働価値と組織が提供できる労働価値に差がないかを調べること。
そして従業員満足度(ES)が高ければ組織活性が高いというわけではない。ESは働きやすさに依存しがち。ただ第2章で述べた通り、心身コンディションと働きがいとのバランスが大事。
意識調査は専門家の分析が必要。もし調査が業務に活きてこない場合は分析ができてない可能性が高い。

終章
社員の幸福度を上げることで組織活性が良くなることは間違いないが、組織の抱える問題がなくなるわけでない。まずはマイナス感情を取り除かないと効果が続かない上、ぶら下がり社員を増やす原因となる。
組織にとって最もよくないのは「無関心」と「想像力の欠如」。
社員の心にマネジメント層が関心を持たないとマイナス感情が蓄積し、的外れな施策に終始する負のループに陥る。

組織を定着スコアとESの高低で4つに分類する。
 ①パラダイス:高定着、高ES
 ②荒野:低定着、低ES
 ③ステップ:低定着、高ES
 ④ぶら下がり:高定着、低ES
パラダイスやステップの状態でマイナス感情が溜まると、優秀/ハイパフォーマンス人材が離職し荒野となる。残った人は離職せず(できず)ぶら下がり組織となる。
ぶら下がり組織が最も悪い状態。
ぶら下がりはまず荒野を目指す。そのためにはまず明確な評価基準を作り、貢献してる人を評価し、そうでない人の評価を下げる。そうすることでぶら下がりを続けたい人にとって居心地が悪い組織にし荒野にする。
荒野となった組織のマイナス感情の処置を行うことでステップを目指す。
ステップからパラダイスに移行することは必ずしもベストではない。
ステップを極めるというのも一つの答え。
パラダイスとなるべきは品質管理やコンプライアンスを重要視する組織と人員確保が難しい組織。時代に応じて変化が求められる組織はステップを選ぶ選択肢もある。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

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