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「夏休みで、一番楽しかったのは何だった?」と息子に聞いてみた話。

夏休みの最終日、8月31日。
夕食を食べながらふと思いついて、「夏休みで一番楽しかったのは何だった?」と息子に聞いてみた。

今年の夏休み、息子はそれなりにイベントをこなしたはずである。世間的な標準と比較して、多いか少ないかは分からないが。
ざっと並べると、こんな感じだ。


・一泊二日旅行/那須高原りんどう湖ファミリー牧場(母)
・流れるプール(私)
・海水浴(母)
・商業施設の恐竜展(夫)
・映画鑑賞『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(夫)
自治体主催、体育館への落書きイベント(私)
・自宅の庭での手持ち花火(夫)


( )内は付き添った大人である。
こうして見ると、意外と各大人それぞれがバランス良く、息子と何処かに出かけていたようだ。
家族そろってのイベントが存在しないのは客観的に見ると少々アレなのだが、そこは息子も特にコメントしたことがないので、気にしていないのだろう……と思いたい。

さて、息子にとって一番印象が強い「楽しかった思い出」はどれだろう。
来年の夏の参考にしよう、そう考えていた私に、息子は元気よく回答した。

「○○のババ(=義母)んちに行ったことぽよ!!」

そこかーーーーーーー!!!

息子が一番楽しかったとする「義母宅訪問イベント」に対する私の感想は、上記の記事の通りである。一言で言えば「苦行」の二文字しかなかった。

「そ、、、、そうか、良かったねぇ。お兄ちゃんたちに遊んでもらったから?」

「そうぽよ!みんないて、楽しかったぽよ!!」

私が義母のブルドーザー型マシンガントークに必死に応戦していた間、息子は義弟の子供たち、つまり年上の従兄弟のお兄ちゃんたちに遊んでもらい、くすぐられて大爆笑していた。それが息子にはとても楽しかった……という事らしい。
夕飯の牛丼を食べながらニコニコと断言する息子には、私の引きつった顔はバレなかったようだ。よ、よかった。

ついでに2位を聞いてみると「パパと映画に行ったこと」、3位は「ユーチューブ!」であった。な、なるほど、そうか。

目から鱗というか、心底びっくりな事実だったが、まぁ息子の事だ、7月だった「那須への一泊旅行」あたりは既に、記憶から消えている可能性もある。
ただ何にせよ、私にとって「この夏一番しんどかったランキング」ぶっちぎり1位だったお盆の義母宅訪問イベントが、息子にとってかなり楽しい思い出になったのは間違いないらしい。

親の心、子知らず。
そんな文句が頭に浮かんだが、多分使い方が違う気がする。
どうあれ、大人から見て「これなら楽しんでくれるだろう」と勝手に予想する事柄と、子供本人が「楽しかった」と思える事柄にはこれだけの差があるのだと突き付けられてしまった。

そうかー。そんなに楽しいのかアレ。
じゃあまた正月にも行かなきゃ駄目か……。

私の気苦労が報われたと思うと嬉しいような、また次も行かねばならないと思うとウンザリするような、ただどうせ行かずに済ませる事も難しいのだし、ならば息子が楽しいなら耐える意味はあると割り切るべきか……。
実に微妙な心境になったが、息子の子供時代の「楽しい思い出」が多いに越したことはない。

私は子供の頃から親戚宅に行くのが苦手だったが、それは帰宅途中や帰宅後に母の機嫌が悪くなり、酷く叱られ続けたからだ。逆に言えば、息子が今「ババんちに行ったのが楽しかった」と思えているという事は、私が自分にかかったストレスを、息子に垂れ流さずに済んでいるという事でもある。
確かに私は、noteに散々愚痴を書いたし、友人にも聞いてもらったけれど、息子には「遊んでもらって良かったねぇ」以外の感想を漏らしていないし、夫とはそもそもその件を話してもいない。疲弊し過ぎて、話す気にもなれなかったというのが正直な所だが。
ただきっと、少なくとも息子にはそれで良かったのだ。うん、きっとそうだ。

「明日から学校だけど、どうかな?楽しみかな、残念かな?」と聞いてみると、「楽しみー!給食も美味しそうなんだぽよ!ハンバーガーっぽいんだぽよ!」と即答する息子は、実に幼い。あと数年で思春期や反抗期がちゃんと来るのかどうか、心配になるほど幼い。

でも、夏休みを楽しみ、二学期の始まりも楽しめるのは、息子の生まれ持った才能であり、喜ばしいことだと思う。
というか、幼い頃の私と比較すると単純に凄い。正直、尊敬に値する。

息子の、どこまでも純粋なその「楽しみ」を壊さないように。大人になれば自然と弱まってしまうはずのそれを、なるべく長い期間、息子が持ち続けられるように。
やがて息子が自然と卒業するまで、「幼く」「純粋に楽しんで」いられるようにしたい――と思うのは、私のエゴでもあるけれど。

とにかく正月明けにはまた、「義母宅訪問イベント」に立ち向かう必要がありそうだ。
息子の楽しい思い出になるなら、私が耐える甲斐もある。精一杯腹をくくって、備えておこうと思う。

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