ヨシ子ママ日記。『人工透析・延命と生きる意欲のバランス』

治療をやめて終わりを選択するのか
できる限りの延命を希望するのか
そこに潜む人間心理について考えてみたい


永眠という最期

人工透析に限らず
病や怪我によって
生活が大きく変化してしまうことは
誰にでも起こり得ること

それが何年後なのか
何日後なのか
それとも明日なのか、、、
誰にもわからない


誰にでもやってくる
自身の体との別れの時
永眠という最期は
全世界・全生命体に平等に与えられる
役目を終えた生命体に与えられる
許しではないか


地球とまた一体化することが
許される瞬間であり
循環
そして再生
地球の成分に戻ってゆく。。
浄化作業の始まりなのではないか


皆平等にたった一つの体を与えられ
この地球の中の一つの生命体として
『誰かに喜びを与えたい』という
想いを持って生まれてくる生き物

赤ちゃんは笑う
周りの人間が笑顔になるほど
可愛らしい姿をしてこちらを見る
だからつい笑顔にさせられる
そして笑顔の大人を見て
赤ちゃんはまた、嬉しい気持ちをコピーして
笑顔になる
まさに人間の幸せの根本原理


他者の喜びを自身の喜びとする
幸福の循環
それは仕事
誰かを笑顔にする
誰かの力になれる仕事
そして『役割』


役割を見つけた人間は
そこに『意欲』が生まれる

しかし、なぜだかそれが
『自分自身を笑顔にしたい』
『自分自身だけが笑顔になれたらラッキー』
と、自分にしか興味がない人間に
なってしまうことがある


するとその日から
物や人、事、そしてお金の所有にこだわり
権利を主張し始めるようになる
そして、いつしか訪れる
』という当たり前の事実すらも
失いたくない権利であり
命を所有することに依存し始める


そうなれば
もはや最後の自身の体との別れは
ただの『恐怖』に変わってしまうのかもしれない


『ロボット人間の修理=延命』生きる権利を守る医師


仕事をして疲れたら
娯楽で意欲を充電して
またなんとなく仕事をしにいく
ロボット人間生活


その体が完全に動かなくなるその日まで
病院で修理を重ねれば
使い物になるロボットのように
選択肢はなく、延命され続けるのが
今の法律


誰かに笑顔の種をまける能力を万と備えた
素晴らしい可能性を秘めた人間
『誰かに喜びを与えたい』という
そんな意欲がもてない生き方や
強引な延命治療の方法では
あまりにも不幸な延命なのかもしれない


医者という仕事は

患者が存在意義を疑いながらも
しぶしぶ延命治療を受けさせることが
医者の仕事だとするならば
それは『私を喜ばせたい』の延長にある
医者の欲望なのかもしれない
もしくは、法律がそうさせるのかもしれない


私はこんなにも命を生き長らえさせられる技術をもち、それでこんなにも長く患者を生き長らえさせられた!すごい人間なのだ!私の手にかかれば、命は必ずしも生きながらえさせなければならないものなのであり、その患者が修理できる限り、修理して動かしたい。。。周りの人間がそう望んでいるのだから。。。医者なのだから。。。修理しなくては。。。命を無駄にしてはいけないのだから。。。


いや、やはりこれは
法律がそうさせているのだろうか


しかし、もしも医者に
『患者に喜びを与えたい』という
思いがあれば


延命治療をする患者に意欲を与え
その患者の『役割』を探す手伝いを
するかもしれない


そして、役目を終えたと感じた患者には
延命拒否を『許す』ことができるのかもしれない
周りの人間にもその人間の死を
『許す』意味を伝えられるのかもしれない

医者だけではない
周りの人間も
他者の死の選択を
許すことができないのであれば

その人間が
『役割』を見つけること
手助けをしなくては
命と生きる意欲のバランスが
保てないのではないか


死ぬ権利の基準

死の選択肢を与えられる者
その基準はどこにあるのか
これは他人が決められることでは
ないのかもしれない
一つの権利の誕生が
すぐそこまで来ているのかもしれない


ヨシ子との約束

命はね、誰かのために大切にするものなんだよ
いなくなると淋しいと思う人
悲しませたくない人がいるなら
大切に守り続けるんだよ

決して自分が不要な存在だと思っても
ママはいつもあなたを想っているからね
苦しむ姿を見ている方が辛いほど
ひどい病にかかったときは
ママはあなたの死の選択を
許します
人生が長いから価値があるとか
短いから価値がないとか
そんなことではない

十分に役目を果たしたならば
もう地球の一部に戻りなさい
新たな生命の源の一部に戻ることを
許します


だからその最後の1日には
あなたの大好きな人たちと
あなたの好きな音楽と
あなたの好きな洋服と
あなたの好きなごちそうで
パーティーをしましょう
お別れのパーティーをしましょう


死ぬ権利を求める患者と日本の法律の
未来はどう変化していくのだろう


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