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アリのように生きて、本当に幸せですか?

6/29付けの北海道新聞に載りました!今日掲載紙が送られてきました。

生活面の「くらし探り隊番外編」の特集として、見開きでかなり大きな扱いです。写真はなんか…「ちょっと待ってくださいよ~」と言ってる芸人みたいですが…www

そもそも、なんでわざわざ北海道新聞から取材の話が来たのかは謎です。GWにプぺル展で札幌に行ったからでしょうか?

なんにしても、ありがたいことです。

北海道にお住まいで、北海道新聞購読している方は、ぜひ先週の新聞引っ張り出してご覧ください。

割と良い事云っていると思います。


せっかくなので、内容の一部について書きます。

メインは「ソロで生きる力」について語っています。だからこそ「人とつながる力」が大切だ、と。

それ以外に、『アリとキリギリス』というイソップ寓話についてしゃべりました。

そもそも『アリとキリギリス』の本当のお話って、ご存知ですか?

夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとする。アリは「私は、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリです。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのですよ」とキリギリスに告げた上で、食べ物を恵んでくれる。それを機にキリギリスは心を入れ替えて働くようになった。めでたしめでたし…。

だと思っていませんか?

とんでもない。

これは、ディズニーによる改変です。

本当のお話はこうです。

夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとする【ここまでは一緒】。だが、アリは食べ物を分けることを拒否する。そして、その上でキリギリスにこう言い放つ。「お前さ…夏は歌っていたんだろ?冬は踊ったらどうだい?」と。キリギリスは絶望の中、飢え死んでしまう。


なんて酷い仕打ちでしょうか?

ですが、このアリの仕打ちって、現代の社会を映す鏡だと思いませんか?

そうです、自己責任ってやつです。


「俺たちは暑い夏の間一生懸命せっせと働いていたんだ。だから冬を越すことができる。それがどうだ?お前は夏の間ずっと遊び呆けていたじゃないか!自己責任だ。自業自得だ。死ね!」

と言っているんですよ、アリは。

自分たちさえよければそれでいい。自分たちの家族さえよければそれでいい。例えば、「保育園落ちた、死ね」と言った親とか、「子どもの声がうるさいから、公園に保育園つくるな」と言った老人とか、「マンション内では挨拶禁止にしましよう」と言いだした母親とか、みんな自分のことだけ。自分さえよければ知ったことじゃない。

どうです?アリに似てるでしょ?

加えて、アリは集団での規律を守り、がむしゃらに文句言わず働いていました。かつての社会ではそれが美徳とされていました。逆にいえば、それは組織に従わない「ハミダシ者」は許さないとう規範を生みます。

キリギリスを見殺しにしたアリの行為は、協調性のない、同調しない奴をつまはじき者にする「いじめの構図」と一緒です。

どうです?ますます現代社会に似ているでしょ?


集団行動こそが正義、ルールを守ることが正義、みんなと一緒に我慢することが正義。働くことが正義。

でもよくよく考えたら、これって…

つべこべ言わずに働けや!ってこと。働かねえと死ぬぞ!と脅しているのに等しい。

要するに資本主義の奴隷的な扱いなんですよ。


農業や工業という産業の中で、人間が集団となってまとまって働く必要があった時代なにらともかく、未来もこれが続くでしょうか?

そもそもキリギリスの生き方は否定されるべき悪いことなんでしょうか?

今まで同様冬が来ると決まっているんでしょうか?


冬が来るからアリはせっせと食糧をため込んでいたわけです。だけど、テクノロジーの発達でそもそも冬なんてリスクはなくなるかもしれない。だったら、夏の間過労死しそうなほど働く必要もない。

いや、そもそもこの「貯め込む」ってやつ。今の高齢者がリスクを考えすぎたあげく、タンス貯金で貯め込んでいる状況とも似てます


ソリッド社会からリキッド・モダニティへと社会は変わりました。安心・安定していたかつての共同体(地域・職場・家族)は消えつつあります。しかし、一方で、AIやテクノロジーの進歩は、いままでの延長線上ではない想定外の未来を実現するかもしれません。

いってしまえば、未来では、アリのような仕事はAIやロボットに取って代わられるでしょう。むしろ、キリギリスのように人生を心豊かに楽しみながらすごす生き方の方が重要なんです。

いやいや仕事を我慢してやる必要はないし、そういう時間拘束の対価でしか報酬を得られないアリのようなタイプの方が職を失うリスクが高い。キリギリスには、音楽を奏でるという腕があるし、その音楽はみんなを楽しくさせる力だってある。何より自分自身が楽しんでいる。

そっちの方がよっぽど幸せです。


アリはどうですか?

食うためだけに(金のためだけに)いろんなことを犠牲にして、長時間働いて、自分が働いているのに遊んでいる奴等のことを嫉妬して、そいつらが失敗したら一斉に「ざまあwww」と叩く。

それって幸せですか?

そんな不寛容な生き方って楽しいですか?


真面目にこつこつ努力することが善なんだからうるせえよ、と言いたいお年寄りもいるでしょうねえ。でもそれこそが、長時間労働によるブラック企業を生み出し、いじめによる自殺者を生み出し、「人はこうあるべし」という規範によってかえって人を苦しめていることに気付いたほうがいいです。


本当の『アリとキリギリス』の教訓はこうです。

富豪というものは、餓死寸前のものにさえ手を差し伸べないほど冷酷で、独善的なけちである。だから、そういった者に助けを求めてもムダだ。というもの。

物語が生まれた時代背景を表しているとはいえ、まあ救いのない話です。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。