カーチスの野郎

少しでも面白いと思っていただければ幸いです

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ヒーローと悪者がファミレスで打ち上げしてるだけの話

・ ・ ・ 「うぃーす」 「ぉーす」 「注文まだ?」 「まだ。何する」 「いや、その前に言う事あるやろ」 「え?」 「昼間のアレ! ぜってー加減ミスったろ! あのパンチ! めっちゃキツかったんやけど!」 「あー、ごめん。確かにやりすぎた」 「お前なー、こちとらアームドスーツの下は生身の人間なんやぞ」 「なんか今日いつもより頑丈だったからちょい力んだ」 「あーまあそれはあるな。改良したから」 「だからちょっと強くした。ごめん」 「まーえーけどよ。あ、俺これにするわ。海老グラタ

    • Not E.

      「逆噴射だ!」  艦長の命に従い、総舵手がスラスターを起こした。  404基の炎筒が、火を吹いて闇を裂き、ハイパーウェーブが巻き起こる。  だが、KSエンジンのパワーをもってしても、強大な引力を引き剥がせなかった。  I・E(インフィニット・エクスペリエンス)号は、暗黒の海に浮かぶとある惑星へと引き込まれてゆく。  ――……  墜落から一週間が経った。  あくまで我々の基準時換算で、だが。  私達は、高度な文明を築いていた原住生物達と友好的な関係を結ぶことに成功

      • JUSTICE or EVIL

         ダニーは腰を上げた。襟を正し、息を吐く。  若き弁護士が特例として囚人に代わり、仮釈放を訴えかける。 「皆さんはこう思っているでしょう。なぜこの男は、邪悪な宇宙人の肩なんか持つのだろうと。なぜなら、私は彼が悪人ではないと信じているからです。確かに彼は、60万の地球人を虐殺しました。しかしそれは300年も昔の話です。なによりあれは事故だった。彼にとっての軽い挨拶が、不運にも多くの人間を熱滅させてしまった……それを深く後悔しているからこそ、彼は終身刑三回分の期間、服役したので

        • トライアングルドリーマー あらすじ

          ~あらすじ~ 大都市〈ラウンドシティ〉の平和を守る正義の味方シャインレックスは、世界征服を企む邪悪な破壊者マスタージェノサイダー(MG)との戦いで、人質とされた平凡な女子高生アヤに一目惚れしてしまう。MGを退けたシャインはアヤに告白し、キッパリと断られるも、決して諦めない心で猛アタックを仕掛ける。シャインに、アヤはげんなりしていた。 そんな中、再びMGに攫われたアヤは衝撃の事実を知る。MGの正体はシャインに想いを寄せる女性だったのだ。恋のライバルであるアヤに嫉妬するMGだっ

        ヒーローと悪者がファミレスで打ち上げしてるだけの話

          トライアングルドリーマー         第三話「世界で一番あの人が好き」

          「マスタージェノサイダーに攫われてたあ!? 二日連チャンでえ!?」  MGから解放されたアヤが学校に戻ったのは、既に放課後だった。  学校から駅までの帰り道。いつもはリカと笑い話をしたり、週末の予定を組んだりするのが日課だったが、今日は違う。 「同じ人間に二日連続で誘拐されるってどーなのよ。アヤシイ宗教の勧誘でももうちょっと間を置くだろうに。それで、大丈夫なの? 頭にチップ埋め込まれたとか、バッタ人間に改造されたとかされてない?」  アヤは俯き加減でリカに話す。 「私は大丈

          トライアングルドリーマー         第三話「世界で一番あの人が好き」

          トライアングルドリーマー         第二話「世界で一番アイツが好き」

           街の工業地帯にある廃れた自動車工場。悪党の隠れ家はその地下にあった。  薄暗い施設内に“終末からの使者”が誇る超ハイテク技術の数々が所狭しと並べられている。どれもこれもが強力無比な破壊兵器ばかりだ。  そんな秘密ラボの片隅に、恐怖に震える少女――アヤと、この基地の主――MG(マスタージェノサイダー)の姿があった。 「光栄に思え。ここに足を踏み入れたのは貴様が初めてだ。清掃業者すら入れたことは無い。自分で掃除しなきゃならんのはめんどくさいがな。現在、円盤型自動お掃除メカを

          トライアングルドリーマー         第二話「世界で一番アイツが好き」

          トライアングルドリーマー  第一話「世界で一番キミが好き」

           円形の大きな湖を中心に栄えた、人口約二千万の都市〈ラウンドシティ〉。商業と観光業に力を入れた、目下経済成長中の賑やかな街である。  しかし、この街の平和と安寧が、今まさに破壊されようとしていた……。 「キャー! 大変よー!」 「逃げろー! この街は終わりだー!」  絵に描いたような叫び声を上げて逃げ惑う市民。  ラウンドシティの中心街〈セントラルスクエア〉に突如として現れた悪の人型機械兵器(ドロイド)軍団が、破壊と恐怖をばらまき、混沌と絶望で街を包み込もうとしていた。  

          トライアングルドリーマー  第一話「世界で一番キミが好き」

          眠れる淑女じゃいられない

           ――第五次世界大戦から500年の月日が流れた……  かつて“地球”と呼ばれた惑星は度重なる戦争によって荒れ果て、その繁栄は見る影も無くなってしまった。  大地は割れ、海は干上がり、今にも落ちてきそうな空の下で、多くの生物は死に絶えてしまったが――  ――人類は滅んでいなかった。 「うわああ~~~!」   「待たんかいコラァ! 逃げれる思てるんかワレ!」  戦争を繰り返した人類の総数は最盛期の6.16%まで減少していた。  惑星全土が廃墟と化した中、それでも人類は残

          眠れる淑女じゃいられない

          拙著短編作品削除について

          私がnoteに登録したキッカケの短編作品「ユグドラシルの空の下」の公開を取り下げる為、当該記事を削除いたしました。 拙い拙作にスキ等のリアクションをつけてくださった方々、ありがとうございました。そして申し訳ありません なぜ削除したのかと言うと、決してネガティブな理由ではありません この作品は元々、むつぎはじめさんhttps://note.com/mh_fkが企画した「サイエンス・ファンタジー ワンシーンカットアップ大賞」に応募する用に執筆した作品でした 企画を受けて一夜で

          拙著短編作品削除について

          セカイがオワルまでは #パルプアドベントカレンダー2022

           ――20XX年、6月のある日……俺達は衝撃の事実を告げられた。  “12月31日の24時、この世界が終わる”  そんな突拍子もない話、誰も信じる筈がない。今までだってそんな話は何度もあった。話題性を集めたい人間ってのはいつの時代もいるもんだ。  だが、今回ばかりは本当らしい。今年を最後に“この世界”が終わるのだと、みんなが信じた。信じざるを得ない理由があった。  俺達一人一人のところへ……いわゆる“天の使い”が、世界の終わりを直接告げてきたのだ。  “この世界”を管

          セカイがオワルまでは #パルプアドベントカレンダー2022