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『実体験と憧れを結び付け、時流に合わせて選択する』オイシックス・ラ・大地(株) サービス進化室 Purple Carrot Japanセクション 企画開発担当 尾花美咲さん

憧れや些細な気付きをもとに、少しずつ方向転換しながら、年々軽やかに生きている。
そんな印象が色濃く残ったのは、オイシックス・ラ・大地(株)のヴィーガンミールキットブランドPurple Carrot Japan企画開発を担当されている尾花美咲さん。

幼い頃から一貫して変わらない“食”への興味関心を起点に、常に先を見据えて、自分と向き合いながら、自分を生かす選択肢を見出してきた尾花さん。その間、どのような経験をされてきたのか、存分に迫りました。

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尾花美咲さん(写真4段目右):群馬出身、大妻女子大学進学を機に上京。食物学科で、栄養士資格を取得。大学卒業後、新卒で食品メーカーに就職。4年間勤続後、2019年4月にオイシックス・ラ・大地(株)に転職し、EC事業部で売り場全体の企画を担当。2020年5月からサービス進化室に異動し、ヴィーガンミールキットブランドPurple Carrot Japan企画開発担当に。

『食領域で働くことへの強い憧れ』

WI大山:高校卒業後に地元群馬を離れ、大学では栄養学を勉強されていたとのご経歴を拝見しました。進路選択を意識し始めたタイミングと、栄養学を勉強しようと思ったきっかけを教えて下さい。

尾花さん:
幼稚園や小学校の卒業文章に、女子で1人「コックさんになりたい」と書いていて (笑)。幼い頃から台所のちょっとしたお手伝いをさせてもらっていて、お母さんやおばあちゃんと料理するのが好きで、当時から食の道に進みたいと思っていました。
ただ、いざ進路選択を前にすると、選択肢を絞って専門学校に行くほどの勇気がなく…。食に関われる道を考えてみたところ、「栄養士の資格を取得できたら、色々活かせるかも」と考え、栄養士の資格が取れる食物学科で、かつ東京の大学を選びました。

高1の頃は、思春期で毎日生きることに精一杯。未来を見据えておらず、フワフワしていました。高2になると周りが進路を考え始め、のめり込むように夢中になれる趣味や特技を持っている友人と比べて、「自分がこれといった深い趣味も特技もないこと」がコンプレックスで…。そこで自分の好きを考え続けた結果、「幼い頃から食が好き」と気付き、進路選択に繋がりました。

WI大山:ご両親や先生など、近くにいらっしゃったどなたかからアドバイスを頂いたことで、進みたい道がクリアになっていったのでしょうか。

尾花さん:
いつも自分の選択を応援して背中を押してくれる両親なので、何か特別なアドバイスを受けたことはなくて。「食に携わりたい」と意志がはっきりしていて、迷いなく一直線に進んでいる印象を持って頂けるのかもしれません(笑)。大学を卒業して今年で7年経つので、仕事する中で当時選択した意図に気付いたり、時間が経ったからこそ意味付けでき、今お話しできている部分もあると思います。

WI座間:学生時代に経験した部活動やサークルでのエピソードで、今に活きていることがあれば伺いたいです。

尾花さん:
勉強量が多い女子大に進学したので、キラキラした青春が描かれているドラマ『オレンジデイズ』に憧れ、他大のインカレサークルに加入しました。みんなが楽しそうにしている場所にいたいと思って、選んだものの、コミュニティの雰囲気が合わず、辞めました。その後は、自分自身が置きたい場所に身を置くことが幸せに繋がることを学びました(笑)。

WI座間:「自分が置きたい場所に身を置く」と仰っていましたが、大学時代アルバイト先を選ぶ上で基準や決め手はありましたか。

尾花さん:
最初は基準がありませんでした。フワッとした気持ちで、2つの飲食店でアルバイトしていたんです。そんな時、近所にあるアイスクリーム店で楽しそうに働かれているスタッフと笑顔なお客様に出会って。それからは、一緒に働く仲間の雰囲気やブランドに好感を持てるかを重視し、自分にとって心地よい環境を基準に選ぶようになりました。

『自分の好き×興味関心で選んだ就職先』

WI小田:学生時代、様々な経験を積み重ねられてきた尾花さんが、新卒で食品メーカーに就職しようと思った最大の決め手を教えて下さい。

尾花さん:食領域に進みたいと思っていたのですが、とはいえ、その分野内で自分は何をしたいのか分かりませんでした。幼い頃はコックさんになりたかったとお話ししたのですが、保育士になりたかった時期もあり、「食と小さい子ども、両方と関われること」で検索をかけ、「食育」に辿り着いたんです。
さらに「食育×食品メーカー」で調べ、新卒から4年間勤めていた食品メーカーを見つけました。その会社は、さつまいもの洋・和菓子の製造販売をしており、スカイツリーの畑や色んな場所で、小さい子どもたちと一緒に、春に苗を植え、秋になると自分の名前が書いてある苗を収穫するイベントを開催していました。それが楽しそうで、私も小さい子どもたちに食育する企画をしたいという理由で、入社を決めました。

WI小田:意志を持ってスムーズに、大学卒業後の進路を決定された印象を受けたのですが、進路が決まっていく過程で、悩んだことはありましたか。

尾花さん:
自分が楽しいと感じられることは、食を通じて人に教えることだと思い、進む方向を決めたことには悩みはありませんでした。ただ社内でどんな人たちが働いていて、どんな業務をしているのか、その先どうなるのか見えないから、不安で…。例えば、会社が謳っているあるプロジェクトに自分が魅力を感じていても、会社は大きいから「自分は、そのプロジェクトに携われるのかな」、「営業に配属されたらどうしよう」と思っていました。

『大学時代の飲食店バイト経験が活きた社会人初期』

WI遠西:入社後は、具体的にどんな業務を担当されていましたか。

尾花さん:新卒3ヶ月間は研修で1ヶ月ずつ部署を回った後に、テストとプレゼン選考があり、配属先が決まります。
私は営業、ブランドディレクション本部、店舗を試し、1番自分に合うと感じたブランドディレクション本部に配属して頂きました。そこに3年在籍し、年間キャンペーン(ハロウィン、バレンタイン)のコンセプトから商品開発まで考え、社長に提案して。パッケージやポスターを外部のデザイナーさんに発注するディレクション業務の他、リブランディングを担当していました。
4年目は、会社が運営している2ブランドの店舗の広報としてSNS更新、プレスリリース執筆・配信をしながら、社長秘書を兼務し、全て1人でこなしていました。

仕事内容が自分に合っていて、自分が考えたラフがパッケージやリーフレットなどが実際に形になり、お客様から「今年のパッケージが好きで、買っちゃった」「リーフレットを見て、らぽっぽが好きになりました」など見聞きする機会が多くありました。また、直属の上司がとにかくいい人で、色々な局面で助けて頂いた4年間でした。

WI遠西:忙しなくお仕事されていた中で、意識されていたことはありますか。

尾花さん:
ラーメン屋からアイスクリーム店まで、学生時代に様々な飲食店でバイトしていたので、現場の目線を取り入れた企画を考えることが出来ました。特に、企画側と店舗側のギャップが生まれないようにすることを意識し、その場しのぎの企画ではなく、現場の苦労を想像して、試行錯誤しながら「現場を知る」重要性を感じました。

『時流を掴んで選択した転職』

WI板倉:今も勤められているオイシックス・ラ・大地(株)に、2019年4月に中途入社したとのご経歴を拝見しました。転職のきっかけとタイミングをお聞きしたいです。

尾花さん:新卒で入社した食品メーカーは、リアル店舗を主力にしている会社。リアル店舗を持っている会社のことは何となく分かったものの、これからの時代伸びていくであろうネットやウェブで活躍している会社に興味が湧き、転職を決めました。

WI大山:転職して3年目になると思うのですが、どんな時にやりがいを感じますか。

尾花さん:
EC事業部に所属していた頃、MD(バイヤーさん)に提案して実現したGW企画があり、自分が提案した企画や商品にお客様から喜びのお声を頂けて、それがすごく嬉しかったです。やっぱり食にダイレクトに関われるのが好きだなと感じます。

もう1つ、自分の成長実感が得られる瞬間に、やり甲斐を感じます。最近、別プロジェクトの社員さんから「あの提案だったら世の中に流行らせられそうだよ」と客観的に企画内容を評価して頂き、「確実に昔の自分より成長している」と思えて。そんな瞬間も大きなやり甲斐だと感じられます。

『本業で得意を磨き、副業で好きを極めたい』

WI船田:大学時代から食の領域に拘っている印象があるのですが、長らく働かれてきた中で、どんな学びがありましたか。今後の展望とともに、伺いたいです。

尾花さん:
食品メーカーは、おいしく作って頂いた商品をいかにおいしそうに売るかに特化する企画、おいしい商品をいかに美味しく作るかに注力する開発、おいしい商品を作るために良い食材を調達するMD(バイヤー)を始め、細かく業務が分かれています。その中で、自分がどんな業務が好きかある程度見えてきた実感があるので、今後は、自分が特化していける場所をどこなのか見つけていけるといいのかなと考えています。

私は前職から企画やマーケティングを担当させて頂く機会が多く、向いていると実感しているのですが、元々はやりたいと思っていた仕事は、商品開発で、その分野を突き詰めていきたいと思っていました。

ただ開発のプロって本当に凄くて、あの調味料を加えたらグッと良くなるとか、左脳的要素が必要。特に食品メーカーの開発は、原料に何%加えると味が良くなるか、量をパーセント単位で調整しながら仕上げていくので、日々とにかく実験。お皿の上で1品仕上げる料理家さんや、工場でおいしいものをブレなくレシピを作る人と、開発する場所によって変わると思うのですが、前職で少し開発に携わらせて頂き、「ひらめきの右脳タイプの私には、合わないかも」とすぐに察しました。そこで初めて、やりたい仕事と向いている仕事が一致しない場合もあると学びました。

昨年5月から担当させて頂いているPurple Carrot Japan(オイシックスのヴィーガンブランド)では、今ないマーケットを作るためにどうしたらいいのか常に考えています。本業では今まだないマーケットを作れるプロになりたいと思っていて、高校時代から夢見ていた料理教室を、いつか副業で開きたいです。

『やりたい仕事と向いている仕事の取捨選択法』

WI船田:やりたい仕事より、向いている仕事を選んで良かったなと感じていますか。それとも、やりたい仕事をやってみたかったな…と思われていますか。

尾花さん:多分両方思っているから、副業を視野に入れていて。企画やマーケティングも好きなのですが、私が憧れる方は料理家さんや手に職をもって極めている方や、自分に出来ないことを出来る方々。やりたいことをチャレンジせずに人生終わるのも…と思うので、会社では自分の得意なことでパフォーマンスを発揮できるようにスキルを磨き、自分がやりたいことをプライベートで叶えたい。今の時代、いくらでもやり方があって、私にとってはそういうバランスの取り方が適していると思っていて。どっちもやりたい、欲張りタイプです(笑)。

社会人初期の頃は何になれるか分からないけれど、私は何者かになりたいという気持ちがすごくあって。だけどある程度続けていったら「これがいいんじゃない」と自分に合うチャンスをぽんっと思わぬところで頂ける機会があったので、皆さんもそれを大切にするといいのかなと思います。

『身の回りの選択基準は、家族や周囲を大事にできるかどうか』

WI柳瀬:昨年8月に幼馴染とご結婚されて、お2人で出演されているテレビ東京の番組「My Fresh Life 2020年に見つけた、気持ちのいい暮らし方。」を拝見し、結婚の決め手が気になりました(笑)!

尾花さん:
今、近くに彼が座っているので、ちょっと恥ずかしいけど(笑)。高3から付き合い始めて2、3年くらい経ったあたりから、「ずっと一緒にいるんだろうな」と感じていました。特に何か決め手があったというより、付き合って10年記念日だから結婚しようという流れで、結婚しました。

相手が穏やかなので、私の仕事が大変で、気持ちがジェットコースターのようになっている時もずっと安定して支えてくれました。私の心の平穏を保つために、ずっと変わらずいてくれることが心地良いなと思って(笑)。

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尾花美咲さん(写真3段目右端)

WI柳瀬:お隣にいらっしゃる中、お伺いするのは少し申し訳ないのですが(笑)。結婚などで生じる環境の変化に不安はありましたか?

尾花さん:不安は、全くありませんでした。ただ家族が1人増えることで、今までは自分だけが頑張って働いて良かったものの、最低限のことは大切にしたいという想いが強くなりました。朝急いでコーヒーを1杯だけ飲んで、夜も遅く帰ってくるのは私が描いていた理想の結婚生活ではないと思うようになり、一緒にご飯を食べる時間を含めて大事にしたいことが増えました。

前職は全国に店舗があり出張なども多く、家を空けることも多かったので、もっと家にいる時間を増やすためにも、仕事とプライベートなら仕事の方を変えた方がいいと思い、結婚なども見据えて仕事を変えました。

WI柳瀬:仕事中心に考える方もいらっしゃると思うのですが、プライベートに合わせて仕事を変えるという選択肢、素敵ですね。

尾花さん:
幼い頃から今も変わらず、家族や自分の近くにいる人が1番大事という気持ちが強くて。一緒にいる時間が減って自分が大事にしたいことがブレると、自分自身元気がなくなってしまうんです。大切にするにはどうしたら良いのか考えて、身の周りの選択をしていくことが私に合っていると感じているので、今後もそうしていきたいと思っています。

『理想のライフスタイルに気付かせてくれる、憧れの女性たち』

WI石橋:相手のスタンスや性格を尊重し、自分と相手との心地よい距離感を探し出すのが得意な印象を抱いたのですが、何か意識していることはありますか。

尾花さん:あまり自分では意識していなかったのですが、そう言ってもらえるのは、ありがたいなと。自分がされたら嫌だなって思うことをせず、逆に自分が嬉しいと感じることをするという考えがいつも頭にあり、両親からの影響だと思います。周りの浮き沈みによって、自分のパフォーマンスを落としてしまうタイプなので、あまり浮き沈みを出さないようになどは常に考えているかな。

WI磯崎:取材中も明るくて笑顔の絶えない尾花さんですが、生き方の指針としているロールモデルはいらっしゃいますか?

尾花さん:前職でもオイシックス・ラ・大地でもロールモデルを探していた時期があったのですが、未だに見つかっていません。素敵な人が多い会社なのですが、得意は人それぞれだなと。

幼い頃は、母を尊敬していて、「お母さんみたいなお母さんになりたい」が口癖でした。専業主婦で、空いた時間に働き、家を守ってくれている母みたいになりたいと思っていたのですが、今の私の歳(29歳)までに、母は兄、私、弟3人を出産していて、バリバリ働いている今の私とはまた違う人生。

今の私が「こうなりたい」と思う理想の女性は、自分と少し歳が離れた方が多いですね。女優の石田ゆりこさんのように強いのに、柔らかい感じが好きです。ああいう女性になりたいなとは思うものの、置かれている状況や環境が違うので、完全にそうなりたいというわけではなく。ロールモデルを聞かれると分かりません。みんなは、ロールモデルいるのかな。

WI磯崎:私もいなくて…。ただ、部分的にこの人のこういったところが素敵だから取り入れよう、努力しようと思うことはあります。お母様や石田ゆりこさんの他に、影響を受けた方は、いらっしゃいますか?

尾花さん:高校生の頃から料理家のSHIORIさんのファンで、よくレシピ本を読み、オンラインレッスンも受けています。SHIORIさんは、美味しいメニューを開発するのにストイックで、プロフェッショナルな方。誰かに熱狂してファンになってもらうには、このぐらいの熱量と努力が必要なのだと感じます。

もうお一方、何冊も本を持っていて強く影響を受けているのは、伊藤まさこさん。17時には仕事を切り上げ、おいしくお酒を飲みながら、夜ご飯を食べているそうで、「私もいずれ手に職をつけ、そういう過ごし方をしたいなぁ」と思っています。

『選択のコツは、早い段階で苦手を知り、選択肢を絞る』

WI大山:自分の好きをその都度明確にしながら、そこで努力を積み重ねてこられた尾花さんから、読者の皆さんにメッセージを頂きたいです。

尾花さん:よく「好きを見つけるのが大事」と聞くのですが、苦手を見つけるのも大事だと思っていて。「これは苦手、こういう環境は得意じゃない」を知って、ある程度選択肢を絞って捨てていくのが、近道なんじゃないかなと。

私は良くも悪くも苦手が多くて、工場での作業に入ると、さつまいもの皮剥きを任されても上手く行かず、エラーマークが出てしまったり(笑)。でも苦手が多いからこそ、好きがはっきり分かるようになりました。「できないから」といって投げ捨てられないこともあるけれど、好きや得意で仕事した方がいいと思うので、早いうちに苦手に気付けたら後々選択する上で楽かなと。

WI磯田:私は今高校3年生で、もう間もなく卒業なのですが、尾花さんがもし高校時代に戻れるとしたら、当時の自分にどんな言葉をかけたいですか。

尾花さん:向いている仕事をやった方がいいとお話しさせて頂いたのですが、その場でやってみたいと思うことはやった方がいいなと思っていて。
高校を卒業したら、料理家のアシスタントをやってみたいと考えていたのですが、体力的にハードそうでお給与も考慮した上で、辞めてしまって。

何歳からでもできるとはいうけれど、大人になると、​家族が増えたり環境が変わったりし、身動きが取りづらくなり、飛び込みにくくなってしまうと実感しています。​少しでもやってみたいと思ったら失敗してもいいから、「飛び込める時期だから、慎重になりすぎず、料理家のアシスタントやってみたら?」と言いたいですね。

WI大山:尾花さんの決めたら迷わず突き進む力と、その場所で最大限の努力を積み重ねてこられた姿勢に感化されました。私も尾花さんのように、相手への想像力を忘れず、やりたいことを時に人を巻き込みながら、進めていきたいです。今日は貴重なお話をありがとうございました!

(企画:大山友理、取材・書き起こし:磯田名月子、磯崎颯恵、板倉由茉石橋真帆遠西さくら、大山友理、小田美織座間琴音船田萌柳瀬綺乃、編集:大山友理)


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