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【感想・考察】最新作ジュラシックワールドが70点/100点だった理由(ネタバレ注意)

観たぞ!ジュラシック新三部作のラスト。。!!
『ジュラシックワールド 新たなる支配者』だよ!

誰もが、忘れられない自分の中のエポックメイキングのような映画はひとつやふたつあるだろう。私にとってそれがジュラシックパークの第一作目だ。あの衝撃は今も忘れない。
画面の中に本当に生きた恐竜がいると信じたあの子どもは、今じゃ34歳になっていた。

私は今、環境系エンターテイナーWoWキツネザルとして活動している。
環境問題や生物多様性の重要性を、わかりやすくワクワク学べるコンテンツを作っている。

そんな私がジュラシックシリーズを観るというのは、昔のようにただ恐竜が好きで観るのではなく、これまで培った様々な知識と照らし合わせることで映画に奥行きが生まれ、物語の世界観により深く浸ったり、ストーリーや脚本に込められたメッセージを汲み取り、自分の活動にどう活かせるかという視点で学ぶことになる。

まあ子供のように純粋に楽しむわけではなくなる。
それはそれで残念だが新たな発見もあって楽しい。

環境系エンターテイナーとして、『ジュラシックワールド 新たなる支配者』がどう写ったか。ただそれをつらつらと書いていこうと思う。が、断っておくが私は生物学や古生物学の専門家ではない。それを踏まえた上で生暖かく読んでもらえると嬉しい。あと酒飲みながら書いてる。明日の朝に見直すのが怖い。つまりは私の自己満の感想と考察が、「そういう見方もあるのか」という新たな視点になればいいな。と思っている。
以下ジュラシックパークはJP、ジュラシックワールドはJWと表記する。

最新作は100点中70点だった。

これは完全なる個人の見解だし、何回も見直すことで覆るかもしれない。
だが、30年近くJP・JWと歩んできて、はちきれんばかりの期待に胸を膨らませた男が、映画を観た直後にこのnoteを書いている。その私が「点数をつけるとしたら?」と聞かれると、「70点かなあ」と答えてしまう。

70点は正直低い。基本的に私は派手でわかりやすい映画であれば90点を出すような、基本何でも楽しめるタイプの人間だ。
もちろん期待値が高すぎたのは否めない。だがそれでも、観終わったあと「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん」と首をかしげてしまったのだ。

言いたいことはわかる。でも。。

JP・JWシリーズは作品ごとに核となるメッセージや見どころが用意されている。一貫したメッセージは「どんな優れた科学力を持っていたとしても、扱う人間が欲に溺れたり幼稚だと、しっぺ返しを喰らう」というものだ。

言ってしまえば、ドラえもんでのび太くんがどんな便利な道具を使っても、こち亀で両さんがどんなに素晴らしいアイディアで金儲けしても、最後はうまくいかないというプロットと同じだ。

初代JPでは、シリーズの核となるメッセージ『人間が生命を道具のように扱えてしまう行き過ぎた科学力とそれを制御できると自負する慢心、さらには麻痺してしまった生命倫理への警鐘』をモンスター・パニックという映画ジャンルに盛り込むことで、奥行きが生まれた。すごい。天才。

見どころはというと、スクリーンにまるで生きているかのように見える恐竜を登場させ、愚鈍な巨大なトカゲというイメージから、知能が高く人間を凌駕する身体能力や知能を持つ新しい恐竜像を一般化させたところだ。
リアルな演出もよかった。息を吐くラプトルや病気になったトリケラトプスのリアルな演出は、有機的で本当に太古に存在していた生物だとオーディエンスは強く認識しただろう。

第二作目ロストワールドの見どころは、Tレックスが雄と雌の2頭登場し子育てをし、そしてアメリカ本土サンディエゴで暴れまわるところだろう。サイトBという新しいエリアで、独自に繁殖していた恐竜たちの生命力。それはマルコム博士の『生命は道を探し出す』の伏線回収にもなっている。そしてラプトルが草むらから襲ってくる演出も素晴らしい。

JP3は、Tレックスを超える強さを誇る水陸両用の巨大な新恐竜スピノサウルスと翼竜プテラノドンによる空からの襲撃という、新たなフィールドで生態を活かした演出。そしてヴェロキラプトルたちが互いにコミュニケーションを取り合い、さらには卵を奪い返すという母性など、ラプトルたちの新たな一面が描かれる。そして天文学者と宇宙飛行士の対比のセリフ。

新シリーズJWの一作目。正直、初代に次ぐ素晴らしい完成度だと思う。映画館で叫びそうになるのを必死に抑え込んだのを覚えている。
誰もが夢見た、行きたいと願ったあのアミューズメントパークがスクリーンのなかに存在していたのだ。いきてえええええええええ。

ここでシリーズ最大のテーマである『生命の冒涜』がなにを引き起こすかが改めて描かれる。遺伝子工学の粋を極めたインドミナスレックス。動物福祉的にも生命倫理的にも最悪で、社会性も外界も知らない超能力恐竜が暴走。
ヴェロキラプトルの調教と軍事利用。他にも新恐竜たちが大量に登場した。そして、初代JPで死闘を繰り広げたTレックスとヴェロキラプトルの共闘。デウスエクスマキナ的な最強の海の皇帝モササウルスによる幕引き。

JW2では、ついに人類の禁忌は次のフェーズに進む。メイジーという人間のクローンの登場だ。生命倫理の問題をこうも直接オーディエンスに叩きつけるか!といった演出だ。他にも、インドラプトルによる初代JPを彷彿とさせるインドアホラーのような迫りくる恐怖の描き方。そして最後はアメリカ本土に恐竜たちが放たれ、初代JPから創設者ハモンド氏に痛烈に批判をかましてきたマルコム博士のセリフ「ようこそ、ジュラシックワールドへ」(初代JPで創設者ハモンドによるグラント博士たちがイスラ・ヌブラル島へ降り立った時のセリフのオマージュ)マルコム博士はこうなることを知っていた。こうなってしまったのなら仕方がない。受け入れろと言うのだ。果たしてあの世界の住民の何人がこの言葉を理解できたのだろうか。

長くなったが、このようにシリーズすべての作品にはテーマと見どころが明確に用意されていた。では今作はどうだろうか。

今作のテーマはズバリ『恐竜との共存は可能なのか』ということだと思う。
もっと噛み砕くと、人間によって変わってしまった自然環境との付き合い方について、恐竜をメタファーにして描いているわけだ。

注意したいのはJP・JWの恐竜たちは太古から蘇った本物の恐竜ではない。
遺伝子工学で生み出された人造生命体だ。本作のCG技術やアニマトロニクス技術がすごすぎて忘れてしまうが、本物の恐竜ではない。そこは間違えないでほしい。なので映画での恐竜たちは、人間によって引き起こされる気候変動や海洋プラスチックなどの環境問題のメタファーなのだとわかる。

重ねて言うがあの世界の恐竜は、『人間が生み出した恐竜に限りなく近い人工の生命体』なのだ。だが、もともとの設計図であるゲノムは恐竜がいた中生代の琥珀から抽出した恐竜のDNAだ。なので生態や習性は限りなく恐竜に近いものだと考えられる。
その恐竜たちがアメリカ本土から、国境を超え生息域を広げていく。偽りとはいえ1億年以上前の生き物と、進化や品種改良を経た生き物や自然を、いきなり同じ環境に置くとそりゃあでっかいハレーションが起きる。人や家畜を襲うし、ビルに巣を作ったりする。古生物と現代の生物による生存競争が必然と起きる。
さて、共存の道はあるのか。それとも人類は絶滅するのか。という選択が、恐竜を生み出し過ちを繰り返してきた人類たちに最悪の形で突きつけられるわけである。

結論からいうと、JW3で描かれた『恐竜と共存できるのか』の問に対する答えはこうだ。

『人類が生み出した恐竜でさえ、生態系に組み込まれた。人類も変わることができれば持続可能なサイクルに組み込めるはずだ。そのために必要なのは、恐竜を産み出すほどの技術革新ではなく、意識を変えるということの他にないのだ』

理想論に聞こえるかもしれないが、環境系エンターテイナーとして気候変動を代表とする様々な社会課題を解決する方法として、奇しくも私が行き着いた答えと同じメッセージだった。
『意識改革こそが最後のチャンス』だと。

SDGsという言葉が広く浸透し、ネコも杓子もSDGs、SDGsと叫ぶ。
本来の意味より、企業が利用する体のいいイメージ戦略となり始めている。
SDGsが手段から目的に変わり、やったつもり・やったふりの温床になり、世界を持続可能にするのではなく、個人や団体の経済活動の免罪符に成り下がろうとしている。
そういった現状へのアンチテーゼとも言える素晴らしいメッセージだと思った。近年のSDGsを取り巻く環境に、強い疑問を持っていた私は、JW3のこのメッセージに強い親近感を抱き、同意せざるを得なかった。

だが。だが!だが!!!!
その素晴らしいメッセージが伝わりにくい演出だったのだ。

WoWキツネザル的ダメ出し

偉そうなこととを言うのは重々承知だよ!!おこがましいよね!
それでも伝えたい。愛してやまないシリーズだから!!!

一言でいうと、詰め込みすぎ!

怪獣大戦争にしたいのか。本来のシリーズのメッセージである人類への警鐘を鳴らす作品にしたかったのか。よくわからんかった。

恐竜好きなら嬉しいかもしれんが、恐竜が出てきすぎ。
演出・ストーリー的に必要か?と思う古生物が多すぎだ。
そりゃたくさん出したほうが盛り上がるだろうけども!!やりすぎ!

地上最大の肉食恐竜ギガノトサウルス。
Tレックスより強く描かれていたが、その演出!JP3で観たのよ!!
スピノサウルスがもうやってるから!!

そしてリベンジマッチでTレックスの体当たりでギガノトサウルスがよろめいて、テリジノサウルスの爪に刺さって死ぬ演出。

えええええええええええええええええええ

ずっこけたよ。そりゃないぜ。惨めすぎるよ。
JP3でうんちの匂い嗅いで逃げたケラトサウルスくらい、なんそれ!!と思ったよ。内なるZAZZYが言ってたよ!!
それにTレックスと他の恐竜の共闘はJW1のブルーとやったやん。あれを超える演出じゃなきゃ、完結編でやる意味ないよ!!

新恐竜たちの描き方が突然登場するし、ただのモンスターのようになっているのも、納得いかない。
羽毛の生えた恐竜 ピロラプトルは、泳いでオーウェンたちに襲いかかる。テリジノサウルスという爪の長い恐竜はクレアに興味津々。私が子供の頃に新発見された恐竜でまだまだ謎が多い。

恐竜好きとしてはもっと丁寧にその恐竜たちの生態を描いてほしかった・・
ディテールが雑に感じてしまったんだよね。残念。

特に許せないシーン

演出の中で、なにが一番許せないかというと、
野生動物に餌を与えるシーンを当たり前に描くな!ってこと。

クローン少女のメイジーはヴェロキラプトルのブルーの子供ベータにジャムの付いた食パンを与えるし、グラント博士とサトラー博士が裁判所へ出向くシーンでも、後ろで子供が小型の恐竜に餌を与えている。

いやいや、ダメですやん。

ロストワールドで冒頭のシーン。少女キャシーがコンプソグナトゥスにパンを与えてしまい、集団のコンプソグナトゥスに襲われてしまったのを忘れたのか!!

野生動物に餌付けをすることがどれだけ危険かというのを、『恐竜と共存できるか』というテーマで映画を制作したスタッフが何故描かないのか不思議でしょうがなかった。

実際に日本でも、野生動物への餌付けは問題になっている。
北海道では、観光客がキタキツネに餌を与えてしまい、結果餌をもらえると学習したキタキツネは交通量の多い道路に近づき事故死したり、人間の食べ物を口にすることで病気になったり、あるいは人獣共通感染症であるエキノコックスを人間に感染させるリスクが高まっている。

登山客が餌付けやゴミをそのままにすることで、クマやサル、イノシシがそれを捕食し人間を恐れなくなってしまい、衝突を引き起こしたり感染症を媒介してしまうことにつながってしまう。
そして餌付けによって、本来の生息域よりも生き物の生息広範囲を広げてしまうことも問題になっていて、他の野生動物への悪影響になる。
登山客の餌付けやポイ捨てを目当てにしたサルやイタチ、テンが本来生息しない高度まで生息域を広げ、絶滅危惧種のライチョウを襲っているのだ。

野生動物への餌付けをしてしまう人の多くは、野生動物と愛玩動物との違いを理解していないように思う。

最近、福井県の海水浴場で、人がイルカに噛まれたとニュースになった。
野生のイルカと近づくことは、実は危険でもある。肉食だしね。

品種改良されて、人と暮らすことに特化した生き物(ペットや家畜)と、野生の生き物とでは全く違う生き物だということが周知されていない。にもかかわらず、影響力が強いシリーズで野生動物への餌付けをサラッと描くなんて!!だめーーーー(内なるトム・ブラウンの布川さん)

扱う題材はリアルな社会課題


だが、うまい!と膝を叩いたのが、生態系サービスの描き方だ。
生態系サービスというのは、ざっくりいうと人類の存続に役立つ生物資源のことだ。生き物が原料になる資源というと、食料や衣服の原料はイメージしやすいだろう。

JW3では、バイオシンという企業が世界中に散った恐竜たちの後始末を買って出る。社会貢献に見えるが、もちろん企業として生態系サービスを活用できるとみた算段だった。

ここでいうバイオシンの生態系サービスの美味しい理由は、「恐竜たちのDNA」だ。

古生物の遺伝情報には、まだ解明されていない癌の特効薬や不治の病を直す遺伝情報があるかもしれない。つまり、市場を席巻できる可能性がある資源が恐竜たちのDNAにあるかもしれないのだ。

これはフィクションではなく実際にある話で、珊瑚や熱帯雨林にはこういった生物資源が多く眠っているといわれる。もしかすると不治の病や認知症の改善に繋がる薬の原料があるかもしれないのだ。
自然破壊によって多様な種が絶滅してしまうと、人類が抱える課題を解決する手立てを失ってしまうかもしれないんだ。

あ、そろそろ体力の限界。もっとここ話したいけど無理。追記する。
寝る。

まとめると

ジュラシックシリーズとしては、最高に派手なラストを描いてくれたと思う。だが、コアメッセージを伝える演出なり脚本なりがおろそかになってしまっていたと思う。

生物多様性の重要性や、人類の経済活動による環境破壊が引き起こす気候変動の知識がない人にも、恐竜というキャッチーなファクターを通してもっと丁寧に伝えてほしかったなと思った。

だがもしも映画でそこをわざと描かないことで、その足りない情報を伝える役目を私のようなコミュニケーターやインフルエンサーに委ねたとしたら、、、、

まんまと引っかかってやろうじゃないか!!

Tレックスのレクシィのように、この不安定な世界を変える咆哮を!!
がおおおおおおおおおおお!!!

中途半端ですが、体力の限界なのでここまで。
またちゃんとまとめます。

おやすみ。

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