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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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#詩

●In-sect【短歌連作】【詩】

●In-sect【短歌連作】【詩】

これから何になるの、と聞かれて明日seaになるかもと言う

切符の欠けを手が気にしていて、気にするたびに汽車は出ていく

写真こぞうがあざみを撮るリズムのなかわたしたち無人駅の駅内に居る

それは前景と言えるようだった初夏風の音 君の汗 その馴れ初め

似合わないシャツを着てどこかへ出向く美しいは心の内にある

英語をみんな片仮名に変えて行く心地季節のなかでもう羽化をする

(insect)

T

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春へ、SOSをさようならで聴く

1,銀色

宇宙船の母体へSOSのラベリングが貼られていく

S、O、Sの種を撒くしつけのある動物として水を撒き続けていた

無垢な遊びをひがなしていて風邪をひくように体温を分つ

きれいに靴を揃えて来る兄弟は、楽器のような音で主張をする


男の子って理解できない 今日はヴァイオリンがこだまする部屋

酔っ払いの会場で単色になる夜みな顔ばかりほてらせる罪

細い指、サンドイッチを手掴みするとき

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《短歌》秋のしらなみ

両の手を塞いでしまえば愛のこと考えざるを得ない大きさ

のぞきこむその人が二卵性になる夜なら月が浮かぶだけの歌

ゆるくたつ逆さまにゆめのとりがくるしらなみ僕らがゼリーと呼んで

砂の上書いたものからさらわれて残照とあつい信頼を見る

したいだけの燃えているだけの蝋燭もその静寂の白い粘りけ

いくつかの種を真綿に並べ置きひと粒がミルク紅茶に沈む

みずうみの映しを期待とふれ回りその二度ともを澄み渡

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(短歌)ねむらない樹vol.1読みました

ねむらない樹、口語短歌、現代短歌に興味があるものとしてとてもおもしろかったため、感想を書きたいと思います。

まず、巻頭の現代短歌100という特集より。伊舎堂仁さん、大森静佳さん、小島なおさん、寺井龍哉さんが引いた現代短歌100首。そこで気になったのを取り出してみます。
感想も書かせていただきました。

あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の(千草創一)

書いてあるのは海の動画を見

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(短歌)村木道彦歌集を読む&「論ずる」についての葛藤

遅々として進まない短歌勉強ですが、わたしはようやく村木道彦さんまで行き当たりました。

何か色々ごちゃごちゃと書いてしまいたくなるんですが、気になったのを取り出して書く…という形式にしてみました。
(といいつつところどころで呟いてます。)

ひだりてからみぎてににもつもちかえてまたあるきだすときの優しさ

きみはきみばかりを愛しぼくはぼくばかりのおもいに逢う星の夜

川沿いをひとりくるときくさはら

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(短歌)ひらがな、口語のこと

いま、読んでいる歌集に「ひらがな表記」が多く見られて、それがとてもいい。

漢字、それから熟語は、意味が強過ぎるのであまり目に優しくないと思うことがある。万葉集などに出てくるのを、わたしは目にやさしい読みやすい、こころに入り込みやすい歌として読んでいるけれど、あれは漢字であっても、無生物、自然、だったりするからそれほど意味がこもらない。むしろ、それはいい意味で対象物を一目で浮き上がらせる働きがある

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未来九月号

訳もなくグリーンピース缶屠る悪天しばし口内に置く

燻されて燃える花の香飲み込みし一つ目巨人の故郷を思う

愛らしさ詰め込みしものに白い下着履かせ懐かせ女というもの

蓋付きの水槽の中閉じ込めた炎未だ山を海を見つめる

シックスティーン未満しっぽがふたつある馬駆け抜ける校舎、ひかりの

動物の香りの満ちる口内を真水で濯ぎ花々で満たす

生活も戦争であると聞こえしかクサカゲロウは葉に食い下がる

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