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だしを極めたドキュメンタリー映画。『千年の一滴』日本・フランス、2014年


2013年12月に放送したNHKスペシャル『和食』をベースに、柴田昌平監督がパリに行き、フランスやイギリス、アルゼンチンの海外スタッフと仕上げたおいしすぎる作品。

劇場で予告編を見て、すごく楽しみにしていた作品。第1章は「だし 大自然のエッセンス」をテーマに、しょうゆやみりんといった調味料の「うまみ」のもととなる麹カビを特殊な撮影によるミクロ映像で楽しませてくれる。第2章「しょうゆ ミクロの世界との対話」は、長い歴史の中で磨かれてきた日本人の知恵と和食創世のドラマ。

料理のもとになる素材、環境に最大限注目した作品で、料理する人は総仕上げするだけって感じ。料理のドキュメンタリーというよりは、環境ドキュメンタリー。昆布や魚を育む海、それを生み出す豊かな山々の映像が単純にきれいっていうだけじゃなくて、自然と食材がいつもセットで提示されるので、なんだか八百万の神様に感謝したくなる。

京都の職人さんたちの麹造りとか、木造家屋もすばらしくて、食べ物に感謝する禅寺の修行僧とか、料理人さんとか、あちこち全体的に美化しすぎな気もするけど、それでも身近な自然を大事にしなきゃって思う。

だしや微生物の場面では、私が大ファンの農学博士伏木亨先生も出演していらして、おお! と驚いた。そして、まさか映画を見た少し後に、ご本人にお会いできるとは思っていなかったんで大慌て。なんとか「ずっとご著書のファンです。映画も見ました!」って挨拶だけできました(大汗)。

上映時間がちょうど夕方4時から6時だったので、もうお腹が鳴りまくり。
出てくるしょうゆ、かつお節、こんぶ・・・全部食べてみたい。それを見透かしたように、映画館の売店には手頃なサイズで手頃な値段のしょうゆ、かつお節、昆布が売られている。もちろん、作品に登場するブランド。ああ……

題名:千年の一滴 だし しょうゆ(英題:Dashi & Shoyu: Essence of Japan)
監督:柴田昌平
製作:日本、フランス(2015年)100分

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