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こんな和菓子のお店で働きたい!『和菓子のアン』坂本司


お正月そうそう怪我をしてハビリ。こういうときは、がっくりきているので、ほっこりやさしい小説が読みたいと手に取ったのが、この本。読むとほっこりして、お腹がすくらしいですが、読み終えた感想はただ一言。こんなお店で働きたい! です。

主人公の杏子ちゃんは、ちょっとぽっちゃりの下町商店街育ち。食べるの大好きなお母さんやお兄さんと暮らしています。高校を出たけれど、大学に進学するほど勉強が好きではないし、かといってなにかやりたいことはないし。そんなある日、デパ地下の和菓子屋さんにバイト募集の張り紙を見つけ、働き始めます。

食べるの大好きとはいえ、和菓子には詳しくない杏子ちゃん。安楽椅子探偵並に推理力がある店長(だけどちょっとヘン)や和菓子職人を目指す立花さん(かなり乙女)、元ヤンで大学生の桜井さんの4人に加えて、立花さんの元師匠や、デパ地下のできるお姉様方などなど。デパ地下で働くたのしい人たちに囲まれて、鍛えられていきます。

加えて、お立ち寄りのお客さんたちが、いろいろ訳あり。午前と午後でお客さんたちの顔ぶれも違います。読んでいるだけで、杏子ちゃんと同じように、和菓子の知識が増えていきます。ああ、目に浮かぶおいしそうで、きれいなお菓子。食べたい。

ちょっとした日常ミステリーになっているので、お菓子や旧暦(節句)にかかわる知識、伝統文化も楽しめます。あー、こういういい本を読むと、家族や友だちに勧めてまわりたくなります。少し前の本なので、続編も出ていて、それが『赤毛のアン』のタイトルをオマージュしているのがかわいいです。

続編が手元にあるのですが、まずはなじみのおじさんがやっている和菓子屋で、和菓子を買ってきてから読みたいです。


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