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組織をクリエイティブにする管理会計【エッセンス】

「管理会計」は一見なじみがうすいかもしれませんが、「数字=データ」です。Googleが「データ思考」であることは有名ですが、管理会計、すなわち数字を活用していくことも「データ思考」であり、組織をクリエイティブにしていくことだと考えます。

これまでのnoteで、「共通の数字」によるコミュニケーションの大切さ、そして数字によって現状をとらえることの大切さをお伝えしてきました。

今回は、管理会計に取り組むことは、組織に「データ思考」を導入することでもあり、それは組織をクリエイティブにしていくことに繋がる、ということをお伝えしたいと思います。

組織づくりは「共通の目的」をつくることから

有名な話として、「集団と組織の違い」をチェスターバーナードは下記のように述べました。

組織がもつ3要素
・共通の目的をもっていること(組織目的)
・お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
・円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)

まずは「共通の目的」が必要です。そして、この目標には定性面と定量面があると思います。

共通の目的の2側面
・定性面:ビジョン,コンセプト etc.
・定量面:売上・利益・人員・時価総額 etc.

たとえば、近年日本で注目を集めるメルカリさんであれば、定性面はミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」などが該当するでしょう。定量面は、業績予想であったり、ユーザー数などのKPIであったりするでしょう。

しかし、定性面については組織内で共有されていても、定量面までしっかりと共有されているでしょうか。

たとえば、定性面は企業トップの挨拶やリリース情報など、多くの情報が飛び交っていると思います。
しかし定量面、たとえば会社全体の売上目標は知っていたとしても、部署別の売上目標やKPIなどは、共有されているでしょうか。それも、リーダー層だけでなくメンバー全員に。

多くの組織で、予算管理はリーダー層などの一部の人々が行っており、開示されていたとしても部分的ではないかと思います。


情報を共有し、「スマートクリエイティブ」を解き放つ

話は少し変わりますが、「HOW GOOGLE WORKS」という書籍のなかで、「スマートクリエイティブ」という言葉が紹介されています。

簡単に言えば、高度な専門知識と経験をもっており、実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプをつくる人、ということだそうです。分析力やビジネス感覚、競争心なども持ち合わせています。そのような優れた人々が、Googleには集まっているようです。

書籍のなかで、そのようなスマートクリエイティブを惹きつけるには、まず企業文化が重要だと述べられています。

そこでGoogleで重視されていることの1つが「データ思考」です。
たとえば書籍のなかで「インターネットの世紀がもたらした最も重大な変化の一つは、事業のほとんどの側面を定量的に把握できるようになったこと」だと述べられており、「従来の意思決定は主観的意見や事例にもとづいていたが、いまでは主にデータが判断材料となった」と述べられています。

もちろん、ここでは財務指標だけを指しているわけではありませんが、意思決定をする上で、財務指標も重要なデータであると考えます。
ただし、すべてを事細かにみる、というよりは、情報をオープンにした上で、そのときそのときで重要な項目に焦点を絞る、ということが望ましいと考えます。(この点については、別の機会があれば書きたいと思います)

さらに書籍のなかでは「こんにち最も成功を収めている経営者は、情報を囲い込んだりしない。共有する」と述べられています。

変化がめまぐるしい現代では、誰かに情報を集約してクローズにし、指示命令系統を整えて…ということでは、たちまち競合に負けてしまうか、顧客に見放されてしまうでしょう。

そうではなく、Googleが実践しているように、情報をオープンにし、スマートクリエイティブであるメンバーが十分に活躍できる状況を作り出すことが大切です。

共有される情報には、KPIはもちろんのこと、管理会計が提供する指標も重要だと考えます。

企業が永続していくためには、売上が必要であり、利益が必要です。近視眼的な思考に陥ってはいけませんが、しかし足元の状況をきちんととらえることが大切です。

私が以前関わっていた「アメーバ経営」においても、オープンであることは重要視されており、「ガラス張りの経営」と表現されていました。

経営学の大家でいらっしゃる野中郁次郎先生も、アメーバ経営を題材にしながら「全員経営」という書籍を書いていらっしゃいました。

インターネットの世紀である現代は、Googleが「スマートクリエイティブ」という言葉で表現したように、一人ひとりが輝ける時代です。そのために、どんどん情報がオープンになり、管理会計の活用も進むことを期待しています。


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