日本が先進国から脱落する前に、昭和を引きずる日本人を変える処方箋として著名経済学者のロジックを使おう。当たり前な内容の『リモート経済の衝撃』が衝撃だったら、あなたもヤバいよ。
新刊が出ると必ずチェックしているのは佐藤優と野口悠紀雄の著作です。
タイムリーなタイトルの本書も発売日に購入しました。
いつもながらの明晰な分析、わかりやすい説明の本ですが、スタートアップスタジオの代表として、新規事業を常に考えている立場で言わせてもらうと、「何も衝撃は無い」が読後感です。ただ、非常に有益な使い方がある本だと思いました。それは、ノスタルジーと怠慢さが原因で、昭和の高度成長期の仕組みをそのままにしようとしている人たちを論破する素材として抜群ということです。
著者は、東大工学部卒で大蔵省入省、米エール大学で経済博士号を取得しているエリート経済学者です。『超整理法』などのベストセラー持つ作家でもあります。しかも1940年生まれなので、おっさんたちが「そう言っても、年齢をとるとなかなかさ、、、」という言い訳も封じることもできるでしょう。
本書で語られていることは、デジタル化によって生じている構造変化であり、コロナ禍で隠せなくなったことでもあります。目次はこのようになっています。
著者は自作を発売前にnoteに全文公開するというイマドキ有効な手法をやっています。僕もいつもnoteで発売を知ってAmazonで購入ボタンを押しています。まずはnoteで概要をチェックするのもよいでしょう。野口さんの真似で僕も過去著作の全文公開をやりました。次の新刊を出す機会には、同じようにやろうと思っています。
遠隔医療やオンライン教育の重要性。国際競争力という観点での日本の遅れの危険性など、本書の趣旨にどれもこれも全面的に賛成です。この本を読むと、ロシア制裁でSWIFT停止とか言っていますが、国際送金の後進性も感じられ、デジタル通貨登場の人類史的な必然が理解できるはずです。
印鑑制度についても一刀両断です。
全くもって、その通りで、デジタル庁に一番早くやってほしいことですね。実は僕は最近、登記所に手続きに行くと頭痛がしたりして体調が悪くなります。自分が生まれ育った国が滅びていくことを目の当たりにして、身体に拒否反応が起こすのだと思っています。
是非、皆さん本書をチェックしてみてください(noteで無料で読むことも可能です)。周りにいる上司や取引先や、高度成長期にできあがり、そのまま惰性で変えられずにいる仕組みにしがみつく人に、そっと渡してあげましょう。あなた言葉には意地になって従わない人も、高名な大蔵省出身経済学者兼ベストセラー作家の言葉なら耳を傾けるかもしれません、しかも野口悠紀雄は80代です。年齢も言い訳になりません。日本を国際市場の負け組に落とそうとしている頭の固い人を少しでもほぐす道具にさせてもらいましょう。
この本を読んで、頭の整理にはなっても、何も衝撃を受けないのが「普通」だと僕は思います。もし、知らないことや釈然としないことがあったら、あなたは年齢関係なく時代遅れの危険信号が灯っています。落ち着いて自分について振り返り、自省することをオススメします。
激オススメした上で、少しだけ違う視点から補足すると、今のところ、ネットワーク形成効果(平たく言うと他人と仲良くなること)と、serendipity(予期しない出逢いなど幸運への遭遇)については、バーチャルよりもリアルのほうが明らかに優れていると個人的には思っています。それらがVR空間でも可能になるのがメタバースなのかもしれませんが、まだもう少し時間が必要ですね。
日本の危機という観点に関心のある方には、同じ著者の『日本が先進国から脱落する日』をオススメします。後世になっても、日本人の価値が保たれるように、日本が尊敬される国であるように、今の仕組みは悲惨な状態であるという危機感をみなさんと共有したいです。
製造業や先端技術で負け組になりつつある日本にとって、歴史と文化の蓄積、多様性が日本に残された優位性だなとしみじみ思います。広義のエンターテインメント、文化的コンテンツをいかに有効に活用して、日本の国力を上げることにつなげるのか、エンターテックエバンジェリストを名乗るものとして日々、真剣に考えています。n次創作の仕組みだったり、インバウンド/越境EC/オンライン配信などにチャンスはたくさん眠っています。そして、そこには起業家の力が必要なのです。
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モチベーションあがります(^_-)