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93歳◇母のプライド

私は93歳の母を素晴らしいと思う。彼女は自分の事は出来るだけ自分でやろうと心がけている

ある日、母が目を細めて針穴に糸を通していた。私は見かねて言った。「お母さん何しよん、それは無理だと思うよ」すると母は「私は意地でも通すんよ、いっつもそうしよるけん」と力強い言葉を返してきた。何でも大切に使う母は靴下のほころびを縫いたいようだった。

緑内障予防の点眼薬を使いながらでもイラストを毎日一生懸命に描く母と重なった。

母のプライドがそうさせていると思った。これまで出来ていたことが出来なくなるのが嫌なのだ。私はそんな母の思いを感じて、遠くから見守る事にした

母はソファーに座って、明るい日差しが入ってくる場所に陣取って、糸通しに悪戦苦闘していた。黙々と針の穴めがけて何度も糸を入れようとしているが中々入らない。しかし母は諦めなかった。

5分くらいして母が大きな声で言った。
「あんた、出来たよ、ほーらやっぱり通った」
その時、母は自信に満ちた表情をしていた。私は凄いと思った

きっと私が手助けすることになるだろうと思っていたが、母は糸と一緒に意地を通したのだ。「あんた諦めたらいかんのよ」母はそう言って、靴下を繕い始めた

そして小さな声で自分に言い聞かせていた。
「何でもやれることはやらんといかん」

私は母のプライドと意志の強さを改めて知ることになった。



 
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