山鹿 たつ

会社を辞めて個人投資家をやっています。長野県の田舎に住んでいます。おもに読書の感想を書…

山鹿 たつ

会社を辞めて個人投資家をやっています。長野県の田舎に住んでいます。おもに読書の感想を書いています。読書の範囲は哲学が多いです。考えることが好きで、いつも考えていることを書けたらいいと思っています。

記事一覧

感想と残るもの

綾野つづみさんの記事を読んで思っていることを書きたくなったので書いてみます。 ひろゆきの有名な言葉にそれってあなたの感想ですよね。そういう言葉があります。論破す…

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楽天 kobo libra COLOUR を買ってみての感想

私は本を読むときだいたい電子書籍で読みます。kindleも持っますが、楽天koboで読むことが多いです。Kobo Elipsaも持ってます。高かったのです。毎日使っていたのでもとは…

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創作 勇者と魔王

「超熱魔法を使う」 魔法使いのアガイベタは叫んだ。すぐにポーションをあおると空瓶を床に叩きつけた。空瓶は粉々にくだけ、ガラスの破片になる。アガイベタは一歩前に右…

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波を見、波を聞きながら 宮本輝「幻の光」 を思う

4月11日に伊良湖岬に行って海を見てきました。春先の海はうねって波を立てていました。サーファーや、釣りびとが見えます。ザーという波の音を聞きながら宮本輝の小説「幻…

山鹿 たつ
11日前
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ゆっくりと反復する。

私は映画を見るのが好きです。しかし、映画に対する不満があります。それは劇的な時間を演出してしまうということです。劇的な時間とは決定的な台詞によって登場人物が変わ…

山鹿 たつ
2週間前
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旅行感想文 伊良湖岬に行ってきたよ

 4月11日に伊良湖岬まで旅行に行ってきました。地元は桜が満開で朝寒いくらいの出発でした。出発すると南下して、飯田を抜け、県境の根羽村を抜け、静岡県に入っていきま…

山鹿 たつ
4週間前
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脆弱性について 人間て弱いなとつくづく思う。そこから出発したいとも思う。

脆弱性について書いてみたいと思う。脆弱性って難しそうな言葉だ。言葉を変えれば弱さということのような気がする。でも少し違う気もする。僕が考える脆弱性と言って浮かぶ…

山鹿 たつ
1か月前
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仕事のコツ とりあえずやってみる

 仕事のコツについて書いてみる。私は会社で働いているわけではない。でも毎日のルーチンとしていることはある。例えば朝のニュースのチェックとか、株価のチャートを見る…

山鹿 たつ
1か月前
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映画感想文 「ノクターナル・アニマルズ」をみて

映画「ノクターナル・アニマルズ」を見たので感想を書きたい。概要をwikiから引用する。 スーザンはアートギャラリーのオーナー。夫とともに経済的には恵まれながらも心は…

山鹿 たつ
1か月前
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映画感想文 「籠の中の乙女」 を見て

映画「籠の中の乙女」のを見たので感想を書きたい。紹介文を並べて概略を示すと ギリシャの郊外にある裕福な家庭。一見普通にみえるこの家には秘密があった。両親が子ども…

山鹿 たつ
1か月前
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映画感想文 バブル について 虚構の中の重力

 映画の「バブル」について書いてみたい。バブルは近未来の話で水没した東京が舞台になっている。水没した東京で若者がパルクールを使った競技をして暮らしている。パルク…

山鹿 たつ
1か月前
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映画感想文 「TAR」 を見て

浅い眠りから目を覚ました。隣でシャロンが睡眠薬を飲んで寝ている。なにか音がする。不快だ。音とはコントロールされて意味を持つ、コントロールのされない音など不快に過…

山鹿 たつ
2か月前
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映画感想文 冬の旅 をみて

映画「冬の旅」を見た。監督アニエス・ヴァルダの作品。1985年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞を受賞している。フランスではかなりヒットしたようだ。地味な作品であ…

山鹿 たつ
2か月前
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創作 帰り道の風景

見ろよ。病院が見えてきたぜ。夜になっても明かりが点いてるからよく分かる。ここらへんでは一番大きな施設だから。入院してる病人がわんさかいる。もう夕飯は終わった頃か…

山鹿 たつ
2か月前
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今年も福寿草が咲いた

今年も福寿草が咲いた。地面にニョキッと黄色い花が咲いた。福寿草は元日草とも言われるが、毎年2月頃、まだまだ寒い時期に咲く花だ。例えば 雪間より顔出すほどや福寿草 …

山鹿 たつ
2か月前
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映画感想文 「アリスとテレスのまぼろし工場」 変化するのとは別の仕方で

このアニメは見伏(みふせと読む)という架空の町が舞台だ。鉄鋼を製鉄所の高炉が街の中心だ。いわゆる企業城下町だ。夷さんの下の記事を参考にした。 合併再編された今の…

山鹿 たつ
2か月前
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感想と残るもの

綾野つづみさんの記事を読んで思っていることを書きたくなったので書いてみます。 ひろゆきの有名な言葉にそれってあなたの感想ですよね。そういう言葉があります。論破するときに事実がないことをいっていると指摘する言葉です。でも感想以外に大事なことというのは果たしてあるのでしょうか。 作品は残るが感想は残らないという言葉もあります。文章であれ、漫画であれ、映画であれ、作品というのは残されてときに大事にされて後世に残っていきます。でもその作品に触れて何かを思う。その感想は残らず消えて

楽天 kobo libra COLOUR を買ってみての感想

私は本を読むときだいたい電子書籍で読みます。kindleも持っますが、楽天koboで読むことが多いです。Kobo Elipsaも持ってます。高かったのです。毎日使っていたのでもとは取ったと思います。確認するとkoboで買った電子書籍は300冊くらいです。300冊がいつでも読めるのは便利です。 Kobo Elipsaは10インチの電子書籍で大画面でとても読みやすく、処理速度も早いです。ハイライトをするときなどもやりやすいです。電子書籍でハイライトをしておくと後でまとめて見える

創作 勇者と魔王

「超熱魔法を使う」 魔法使いのアガイベタは叫んだ。すぐにポーションをあおると空瓶を床に叩きつけた。空瓶は粉々にくだけ、ガラスの破片になる。アガイベタは一歩前に右足を出すとガラスの破片がジャリと嫌な音を立てた。 勇者ウルフガレンダはすぐに詠唱を始める。防御の魔法だ。超熱魔法は精霊イフリートが使う灼熱のブレスに次ぐ超高温を発生させる。範囲は狭いが高温のため、あらゆるものが融解する。それとともに高温になった中心から衝撃波が発生し周りのものをなぎ倒していく。衝撃波からパーティーを守

波を見、波を聞きながら 宮本輝「幻の光」 を思う

4月11日に伊良湖岬に行って海を見てきました。春先の海はうねって波を立てていました。サーファーや、釣りびとが見えます。ザーという波の音を聞きながら宮本輝の小説「幻の光」を思い出していました。 小説「幻の光」の概要は、宮本輝の『幻の光』は、12歳のときに祖母が失踪した過去を持つ女性・ゆみ子が、夫の自殺後、奥能登の小さな村に住む男性と再婚し、過去の悔いと向き合っていく物語です。 ゆみ子はなぜ夫が自殺したのかという問いに悩まされます。死んでしまった以上問いただすことはできません

ゆっくりと反復する。

私は映画を見るのが好きです。しかし、映画に対する不満があります。それは劇的な時間を演出してしまうということです。劇的な時間とは決定的な台詞によって登場人物が変わるとか、そういう瞬間を演出することです。 でも人が変化するとはゆっくりと変わるものです。少しずつ変わりながら、変わったときには、変わったんだなと気がつくそういうものです。映画でゆっくりした時間を見せると退屈と思われる映画になりがちです。みんなせっかちなので待てないのです。待つことができずに、すぐに何かを期待してしまい

旅行感想文 伊良湖岬に行ってきたよ

 4月11日に伊良湖岬まで旅行に行ってきました。地元は桜が満開で朝寒いくらいの出発でした。出発すると南下して、飯田を抜け、県境の根羽村を抜け、静岡県に入っていきます。googleのナビゲーションを使いながら軽自動車は軽快に山と山の間の川沿いを走っていきます。道路は途中一車線になるところもありますが、比較的にいい道です。 途中に腹がすくと、朝作ったサンドイッチを助手席でほうばりながら進んでいきました。途中でのどが渇いてはコンビニで飲み物を調達しながら走ります。google先生

脆弱性について 人間て弱いなとつくづく思う。そこから出発したいとも思う。

脆弱性について書いてみたいと思う。脆弱性って難しそうな言葉だ。言葉を変えれば弱さということのような気がする。でも少し違う気もする。僕が考える脆弱性と言って浮かぶのは、弱さ、愚かさ、知らなさ、言葉にならなさ、傷つきやすさ、忘却力のなさ、依存しやすさ、そんなことだ。 忘却力というのは忘れる力のこと。知らなさと矛盾するようだけど、忘れられるというのは大きな力だ。例えば、仕事で失敗したとき怒られてしまう。いつまでも引きずらずに、気を取り直してまた頑張ろうと思える、そんな力だ。 依

仕事のコツ とりあえずやってみる

 仕事のコツについて書いてみる。私は会社で働いているわけではない。でも毎日のルーチンとしていることはある。例えば朝のニュースのチェックとか、株価のチャートを見るとかはある。ただ毎日やっていくだけ。その中から見えてくるものがある。コツと呼べるものはなく、あるとすれば毎日続けることだけ。 先日近所を集金して回る必要があった。期限があって26軒の家を回って集金しなければならなかった。なかなか大変だった。最終的には1軒どうしても集金できずに、25軒集金して終わらせた。こういうことは

映画感想文 「ノクターナル・アニマルズ」をみて

映画「ノクターナル・アニマルズ」を見たので感想を書きたい。概要をwikiから引用する。 スーザンはアートギャラリーのオーナー。夫とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワードから、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会

映画感想文 「籠の中の乙女」 を見て

映画「籠の中の乙女」のを見たので感想を書きたい。紹介文を並べて概略を示すと ギリシャの郊外にある裕福な家庭。一見普通にみえるこの家には秘密があった。両親が子どもたちを外の世界の汚らわしい影響から守るために、ずっと家の中だけで育ててきたのだ。 以上のようになる。男一人と女二人の兄弟が家の中で育っているという設定だ。子供といっても、たぶん20歳以上で大人といえる。小さい子供をイメージすると裏切られる。演技は抑制的でセリフ棒読みのようにも感じられる。そういう演出は、私は好きなの

映画感想文 バブル について 虚構の中の重力

 映画の「バブル」について書いてみたい。バブルは近未来の話で水没した東京が舞台になっている。水没した東京で若者がパルクールを使った競技をして暮らしている。パルクールでは走る・跳ぶ・登るといった動作をもとに、様々な体の動かし方をする。高所から飛び降りたり、のぼっていったりする。身体とはこんなこともできるのかと驚かされる。 この映画ではパルクールをメインにし、映像表現がされる。見ていると目が回るような映像の連続だ。思わず見ている側の体も動いていしまう。アクション映画は語ることが

映画感想文 「TAR」 を見て

浅い眠りから目を覚ました。隣でシャロンが睡眠薬を飲んで寝ている。なにか音がする。不快だ。音とはコントロールされて意味を持つ、コントロールのされない音など不快に過ぎない。この前はメトロノームが動いていた。カチカチとリズムを刻む音が耳障りだった。今度はジーという低い音が、ずっと聞こえる。耳鳴りのようでもある。私はシャロンを起こさないように静かにベットから起き上がると、音のする方に、電気もつけずに歩いていく。音がするのは台所のようだった。暗い中を気をつけなが歩いていく。冷蔵庫の前に

映画感想文 冬の旅 をみて

映画「冬の旅」を見た。監督アニエス・ヴァルダの作品。1985年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞を受賞している。フランスではかなりヒットしたようだ。地味な作品であり、これが今の日本でヒットするとは考えづらい。公式ホームページは下にリンクを張っておく。 大体の筋を書いておくと、主人公のモナはホームレスで冬の寒い中を歩いている。冒頭からモナは畑の溝で死亡していて、死亡する前までのことが描かれている。 モナは放浪者でフランスの田舎を歩いていく、どこまでも。どうして放浪を始めた

創作 帰り道の風景

見ろよ。病院が見えてきたぜ。夜になっても明かりが点いてるからよく分かる。ここらへんでは一番大きな施設だから。入院してる病人がわんさかいる。もう夕飯は終わった頃かな。きっと一段落付いた感じ。あー腹減ってきたな。わかってるよ。急ごう。 慣れた手つきでハンドルを操作し、夜の闇に表れてきた信号を左に曲がる。速度は巡航速度で早くもなく遅くもなく、軽口をたたくらいの余裕があった。信号は夕方から夜になる時間で、赤と青のランプがあざやかに光って見える。歩いている人は昼間もいないが、夜になれ

今年も福寿草が咲いた

今年も福寿草が咲いた。地面にニョキッと黄色い花が咲いた。福寿草は元日草とも言われるが、毎年2月頃、まだまだ寒い時期に咲く花だ。例えば 雪間より顔出すほどや福寿草  服部嵐雪 福寿草咲きぬ雪間の石の上  小林一茶 こんな句があるように雪と同居しながら黄色い花が咲く。俳句では元日の季語となっている。しかし実際に咲くのは少しずれて2月から3月の花だ。今年もついこないだ雪が降り、雪かきをしたばかりだった。雪が溶けるともう株全体が育ち、花が咲きだした。 隣町の沢底という地名のと

映画感想文 「アリスとテレスのまぼろし工場」 変化するのとは別の仕方で

このアニメは見伏(みふせと読む)という架空の町が舞台だ。鉄鋼を製鉄所の高炉が街の中心だ。いわゆる企業城下町だ。夷さんの下の記事を参考にした。 合併再編された今の日本製鉄の釜石市を参考にしているらしい。映画の中の町並みが作り出されていていい感じだ。この町の中にいたいとそう感じさせる。商店街のアーケードの感じも面白い。 1990年以降製鉄業界は再編されていくことになる。構造的な問題点を上げるなら、バブル経済崩壊後の長期的な国内需要の低迷、海外からの安価な鋼材輸入の増加、国際競