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diet ダイエット

日常の食事や飲食物、食習慣、または特定の目的のための食事法のことを英語でdietダイエットと言います。
もともとは古代ギリシャ語で、生き方や住まい、生活様式を表すdiataディエーターという言葉でしたが、それがラテン語やフランス語を経て、11世紀ノルマンディー公ウィリアム1世によって征服されフランス語が公用語とされるようになったイングランドに、「食生活」を表す言葉として入ってきました。
中世のイングランドでは、農民たちは野菜や雑穀中心の栄養バランスのよい質素な食事をしていましたが、貴族たちは豪華な肉料理や白いパンなどを大量に食していたため、ビタミンや食物繊維などが不足し、虫歯や皮膚病、くる病、壊血病などの疾患に悩まされ、肥満も多かったようです。
ダイエットはこのように多種の生活習慣病に悩む裕福で恵まれた人々に対して、考えられ実践されてきた食生活の指針のことだったのです。

それから数世紀後、世界史上最大の領土を誇る「太陽の沈まない国」大英帝国と戦って独立を勝ち取り、2度の世界大戦とソビエト連邦との冷戦を勝ち抜いたアメリカ合衆国が、地球上唯一の超大国として、人類史上空前の繁栄を謳歌することとなりました。
その結果食料供給量も急激に増えていき、アメリカ人一人当たりの摂取可能カロリー数は、約4,000kcalと適正カロリー数の2倍にまで達して、人口の68%が肥満または過体重(2010年BMI25以上)という、とんでもない事態を招いたのです。
年間30万人が肥満要因で死亡し、そのための医療コストは1500億ドル、米国政府が負担する肥満対策コストは750億ドルにも達しています。

このような事情から、アメリカではdietという言葉が専ら “体重減量のための食事法” という意味で使われるようになりました。
1970年代からの50年間、フルーツダイエットやスープダイエット、ローファットダイエット、ローカーボダイエットなど、数百種類もの “痩せる” ための ダイエット法が次々と流行し、米国民の大多数が試みてきましたが、肥満率は上昇の一途を辿るばかりです。
ついには自分たちがダイエットに成功しない原因はファストフード店にあるとして、高校生らがマクドナルドを相手に訴えを起こし、共和党のリック・ケリー下院議員が、”肥満になった原因として食品産業を提訴することを禁じる法案”(通称チーズバーガー法案)を議会に提出するという、なんとも世紀末的な事態にまで至っています。

アメリカの流行を追随することにおいては世界に名だたる日本でも、当然のようにダイエットブームが起こりました。
1967(昭和42)年ミニスカートの女王と呼ばれたファッションモデル、ツイッギーの来日をきっかけに、ミニスカートの大流行と共に激やせブームが巻き起こりました。
薬物や絶食による危険なダイエット法を実践する女性たちが多数現れ社会問題となりましたが、この時以来日本では、“ダイエット”という言葉が “痩せる” という意味として、短絡的に使われるようになったようです。
その後日本では食事による減量法だけでなく、ぶら下がり健康器やルームランナーなどの運動機器や、痩せる石鹸、ダイエットスリッパなどの日用品までが “ダイエット用品” としてブームとなり、カタカナ言葉の “ダイエット” は、dietという英単語の原義とはかけ離れた意味のジャパニーズイングリッシュとして使われるようになりました。

しかしこの健全学のなかでは、ダイエットという言葉の本来の意味を尊重し、「健康を築くための食事法」という意味で使っていきたいと思います。
ダイエットは減量を目的とすることももちろんありますが、疲労回復や体力向上のためにすることも、生活習慣病や不調を克服するためにすることもあり、目的が変われば当然その食事内容も変わってきます。
したがって、「こうすれば全てO K!」という、ユニバーサルなダイエット法は存在しません。

ただし、通り一辺倒には決められなくても、その時その人にとって有効なダイエット法を知る方法なら、いくつかあります。
次回はそれらの方法について、紹介したいと思います。

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