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生鮮売場は必需ではなくなった【八百屋から見た“食”no.37】

近年、都内スーパーでは、リニューアルのたびに惣菜売場&冷凍食品売場が拡張し生鮮売場(とくに青果と鮮魚)は縮小しています。買い物される皆さんは実感あるのではないでしょうか。生鮮の売場面積が小さくなったため、選ぶ楽しみも選択肢もどんどん減っています。

すでに“料理する前提”で生鮮品が売場に並ぶ時代は過ぎました。常備ではなく、使うか使わないか/気に入った商品か否か/料理するかしないか、世帯ごとに判断が分かれる食材になりました。特に単身世帯。

生鮮品を高い安いで騒ぐ時代も過ぎています。家計で生鮮品購入が占める割合はわずか。高い安いとメディアが騒ぐ以上に、生鮮品への関心が薄れてしばらく経ちます。生鮮品購入は“料理するかしないか”なので素材を使う/料理するなら買う、使わないなら買わない。高くても必要なら買う、でいいのです。

他方、売場に並ばなくても買える状況になったとも言えます。生協をはじめ、産直通販・スーパーの配達注文サイトが台頭。通販最大手も生鮮品を扱います。
「売場に出向き、並ぶ野菜をカゴに入れてレジで購入する」
「不特定多数(地域に住む・買い物に来る人)を対象に長時間営業する」といったこれまでの食料品店の大前提が、スーパーの運営上&お客さんの購買行動上どちらから見ても非効率になりつつあります。

生鮮売場の縮小は、スーパーマーケットの収益最大化(今後の営業維持)に避けて通れない事情。今後もさらに縮小します。焼き立てパン・できたて惣菜の販売はマスト。カット野菜・冷凍食品も拡充。その分だけ生鮮は縮小します。店に入って1歩目が惣菜売場に切り替わった店も多く見かけるようになりました。

誰が買うかわからないまま“仕入れて並べて売る・並ぶものを買う”時代は、終わりを迎えたのかもしれません。本や服がそうであるように。

逆説的ですが、“特色ある生鮮売場”が高いレベルで維持できたら…店の特色になり得るかもしれません。従来の方法論のままでは鮮度管理&在庫回転(ロス管理)&売上開拓が難しすぎますが。。

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↓過去投稿:もう“高い安い”でも“常にある”でもない

↓ 「食の安心」とは、ご本人で養うもの

↓簡単にSDGs とか フードロス とか言うのは“売りたい”人達。

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