記事一覧
いま、ブロッコリーが高い理由【八百屋から見た“食”no.49】
今、ご家庭で最も食べられている(当社比)であろう野菜、ブロッコリー。
栄養価高く&量も食べれて彩りもよい。指定産地野菜の仲間入り(2026年度)でさらなる安定供給が望まれています。
ところが、今年4月~5月初めにかけての店頭価格はちっちゃーい1個298円~標準1個400円前後。つぼみもフカフカで今にも花開きそう。出荷農協も売場もベストを尽くしていますが、高いし小さいし美味しくなさそうです。なぜで
ITとヒトとの関わり方・バランス・距離感・適正化【八百屋から見た“食”no.48】
近所にあるファミレスで目にする光景。
人手不足編でも書いたように、働くヒトが減っています。
アルバイトはひと昔前のような規模では採用できず、大手個人といった経営規模にかかわらず、常時配置が難しくなっています。
注文取りのパネル化・QRコード化は一般に普及しましたね。
さらに一歩進み、飲食産業では配膳(運搬)・会計を非対面方式にシフト。
猫型ロボット(←ん?)が出来上がった料理を運びます。
こ
美味しい野菜を食べるという推し活【八百屋から見た“食”no.47】
GWです。
私の地元埼玉(とはとても言えない)秘境も例年になく大賑わい。
美味しい水と特産品・鮮やかな新緑・青空・川の流れ・鳥のさえずり・早朝の雲海・夜空の星。温泉・神社・絶景ポイント・体験農園・直売所・地ビールに有名ウイスキーと日帰りでも一泊でも楽しめます。
全国各地にある「道の駅」は行楽の楽しみのひとつ。
道の駅に限らずですが、農園直売所でも土産物エリアでも帰り途中のサービスエリアでもいいで
続・つづけたいなら休もう【八百屋から見た“食”no.46】
※これまでの経緯※
序章:2019〜コロナ禍〜2022年の経緯を書きました。
前回:人手不足という次元を超え、働き手が年100万人ずつ消えている現在(2024)を書きました。
前回お伝えした人手不足の状況と弊害について
もう少し細かく、より運営に準じた話を書きます。
これまでの食品小売業界、ファーストフード・惣菜販売・スーパー・コンビニ・デパ地下・飲食店・パン屋八百屋etc.専門店といったあ
人手不足を言語化する【八百屋からみた“食”no.45】
人口動態の統計で明らかな通り、日本人の年齢別人口が最も多いのは75歳前後の各年代。近年毎年200万人の日本人が高齢者&後期高齢者となり正社員やアルバイトといった労働市場から消えています。
かたや就職やアルバイトで労働市場に新たに参入する日本人は毎年85-90万人。
ざっくりとした計算ですが1年進むたび、差引100万人以上の日本人働き手が居なくなっています。実際の人口減以上に働き手が急速にいなく
あなたの食生活が日本の「食の変遷」であり「未来」になる【八百屋から見た“食”no.44】
「りんごが減ったのはなんで?美味しいのに。」という会話をちょくちょく聞きます。
霜害の不作や台風の落果。凍結・降雹・異常開花。
2018年長野千曲川氾濫・2022年青森岩木川氾濫による埋没や流出。
表年裏年等、生産者(供給側)の状況は店でもこれまでしてきました。
今回は、逆の視点から。
つまり消費者(需要側)の状況説明により、よりリアルに考察します。
=====
皆さんに質問です(._.)
展示会でゆっくり考えてみた【八百屋から見た”食”no.43】
先日、和食展に行ってきました。
東京農大出身なので大根画像を撮ってみました。
深い内容は専門家にお任せするとして、
【展示を見る】自体久々で、展示見ながら考えに耽る・想いを馳せる時間は動画SNS全盛の今、かえって貴重だな贅沢だなと感じました。
食を囲む時間がコミュニケートの中心だった古代〜昭和中期。何かに急かされるように栄養摂取する現在との比較に違和感と合理の両面を感じています。そしてとても
40代以上は気をつけよう【八百屋から見た“食”no.42】
目の前にあるモノ・場・人・状況から連想することでヒトの判断力は育ちます。
スマホ(web)・テレビ・雑誌といったメディアを閲覧して情報を“仕入れ”たところで、誰かが発した悪い意味での「伝言ゲーム」には参加したくないし、参加するメリットがありません。
10代20代30代の皆さんは、物心ついたころからWebやスマホとの付き合い方に慣れていて、エンタメとして(≒情報の距離を置いて)閲覧できても、40
個人商店は特定のお客さんに喜んでもらう仕事。全員に認められなくてもいい【八百屋から見た“食”no.41】
昨年より闘ってまで言いたいことが減っています。
ある種の承認欲求が落ち着いたのかもしれないし、自分の出力(≒マンパワー)が落ち気味なのかも。あるいはヨノナカの全員に受け入れられはしないという諦観なのかもしれません。
「こんなことやってます」アピールよりも、日々のサービスレベルを落とさずそつなく終え、店を利用してくださる方々に応えたいという意識が強くなっています。個人商店にとっては(全員でなく)フ
ヒト&胃袋の縮減と無関心の大波。〜2024年の抱負〜【八百屋から見た“食”no.40】
2024年も美味しい普段遣いを念頭に仕事します。
いつのまにかフォロワー100名超えてました。ありがとうございます。
2023年の抱負は継続しつつ、2024年になった今思うことを列記します。
◇経営の最適化(≒個人労働/行動範囲の最適化)
◇(働く)ヒトがいなくなる中の運営
◇食資源が減りづづける中の運営
◇〃→それでも野菜&コメは余っちゃう問題
◇労働のスコア化(単価&軽作業化)
◇食事のス
八百屋は簡単に事業展開できると思っている人達へ【八百屋からみた“食”no.39】
「八百屋なんて簡単」
いや~ひさびさに聞いたんで所感を。
異端の八百屋を紆余曲折21年ほど続けています。本当にいろんな方に支えられてきたし、正直運もあります。仕事にばかり運使ってどうすんだという御声は置いといて。
個人的には【八百屋は個人運営で最も難しい商い】と常に思っています。継続できる収益性を常に生み出しにくい職種。だから他人に全く勧めないし、ベンチャー企業&しくみ作って多店舗展開とかマニ
インボイス苦闘【八百屋から見た“食”-番外編-】
※当方は法人経営です※
とある農家Aさんとのやりとり(インボイス登録ナシ・消費税はオマケしていると思っている方)を残してみました。
↓インボイス、個人的にはこんなふうに思っています(・ω・).。o○。
と、雑念たっぷりに思ってますが、ルールはルールなので現状理解につとめ、インボイス登録されてない方には極力登録をお願いしています。美味しいモノ作って出荷してくださる農家とこんなしょーもないやりと
美味しいくだものは生産者から直接買おう【八百屋からみた“食”no.38】
果樹(≒樹木で実るくだもの)の今後は本当に厳しいです。
◆異常気象(暖冬の開花異常・遅霜の枝花凍結・台風の風水塩害・夏秋の高温多湿&病害)
◆流行病・ウイルスによる伐採。高温耐性&耐病品種への植え替え
◆生産者高齢化による労働力不足&廃業(継いでも未来が見込めない)
◆大幅な需要減(贈答文化の消滅+今まで食べていたご年配層が噛めなく剥かなくなる+元々美味しいくだもの食べたことない層)
◆生産資材
生鮮売場は必需ではなくなった【八百屋から見た“食”no.37】
近年、都内スーパーでは、リニューアルのたびに惣菜売場&冷凍食品売場が拡張し生鮮売場(とくに青果と鮮魚)は縮小しています。買い物される皆さんは実感あるのではないでしょうか。生鮮の売場面積が小さくなったため、選ぶ楽しみも選択肢もどんどん減っています。
すでに“料理する前提”で生鮮品が売場に並ぶ時代は過ぎました。常備ではなく、使うか使わないか/気に入った商品か否か/料理するかしないか、世帯ごとに判断が
9月10月のトマトが高い理由【八百屋から見た“食”no.36】
「びっっっっっっくりするくらいトマト・ミニトマトが高い」とのニュースが駆け巡っています。
戦争/肥料/輸入危機といろいろ理由をつけたがる人がいますが、現在のトマト高騰については単純な理由。
9月・10月は、1年で最もトマトが流通しない(栽培リスクが高く流通量が少ない)期間。簡単に言えば元から季節外れ・旬外れだからです。
今年ならではの理由もあります。
①7・8・9月の全国的な猛暑で、1カ月早
オーガニック⇔慣行農業は対立しない。比較・優劣・区別する人達は時代遅れ【八百屋から見た“食”no.35】
いわゆる“オーガニック農業/農産物”を10項目にまとめます
(慣行農業と比べ)
①石油資材&動力使用は減らない。地球環境に優しいとはいえない。
②生態系に優しいが、生育中の植物に対して悪さもする。
③栽培条件(生育適期/地域/地質/水/温度/日照≒旬)に合う品目品種がメイン。
④栽培条件に合わない品目品種の栽培は困難。技術力と天候と運。
⑤栽培条件&品種特性&技術投入に対し、出来&味が素直。良く