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映画が苦手な24歳、映画館で役所広司の「パーフェクトデイズ」を観てきたの巻。(個人的にはやっぱり好きじゃなかった…)


まえおき

この映画を観た日(2024/01/30、火曜日)は熊本の友達の家を出て、福岡で一泊して、バンコクに飛び立つ前日だった。

東京で一緒に飲んでいた友達に、パーフェクトデイズという映画を絶対に見て欲しいとオススメされた。「映画が苦手だから楽しめない気がしてなんか気乗りしない」と言った。

そしたら「言葉も少なくて、映像がキレイな映画だから、やすも気楽に楽しめるかもよ?!」と言ってくれた。

だから、食わず嫌いはよくないと思って、絶対に観てやろうと思った。そして、実際に観た。東南アジア旅直前、滑り込みセーフ。

kino cinéma天神 
「パーフェクトデイズ」 19:05〜21:20 1500円

あらすじ

パーフェクトデイズ

東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。

東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したベンダースが、東京、渋谷の街、そして同プロジェクトで改修された公共トイレを舞台に描いた。

共演に新人・中野有紗のほか、田中泯、柄本時生、石川さゆり、三浦友和ら。カンヌ国際映画祭では男優賞とあわせ、キリスト教関連の団体から、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞。また、第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされた。


感想

不思議な感覚。あれが自分の人生じゃなくて良かった、と思う。映画館でライトがついた瞬間の安堵感。

周りの客が、ずっと立ち上がるその瞬間、何を考えているんだろう?みんなが帰る先には誰か待っている人がいるんだろうか?すごく不安を煽られた。

※僕は最近、組織に属していないし、仲のいい友達がみんな遠くにいるからなのか、孤独感とか不安を感じる瞬間が割とある。

友達と一緒じゃ無いと見たくない。感想を共有するのがきっと楽しいんだろうなと。んー、フワフワと地に足がつかない感覚。毎日、色々あるよね。みんな何考えてるかわかんないよね。

道を歩いてたらそこにいた、立ってるお姉さんとかも、すれ違う人も何考えてるんだろね。登場キャラクターはみんな、全然意味わかんない。

あの女の子のことずっと考えてる、お金もらって途中で仕事辞めたやつ。障がい者の男の子と仲良しなのは微笑ましいけど、ほんとにわからん。あの女の子が平山にキスしたのもわからん。

あんだけ口数が少ないのも本当にわからん。お互いわかり合えるのが幸せなんじゃないのか?でも、それは俺だけかも?

やっぱり情報量過多。疲れた。

東京の景色は綺麗だった。別に小さな家でも、古臭い家でも、程々に幸せを噛み締めながら生きていける。

毎日何があるかわからない。でも、決まった行き先がある。植物への水やり、歯磨き、自販機のコーヒー、高速道路、トイレ、銭湯、飲み屋さん(「はい、おつかれさん!」の声がけ。いつもの同じ注文内容)、スナック(ママとの近しい関係性)フィルム屋さん、自宅での読書。

女性へのハグ。にこちゃんとの自転車での「今度は今度、今は今」

にこちゃんとは話すのね?と思った。前半は本当に静かだった。でも後半は少しは人間らしくなってきた。ただ、あんなに話さない人間が存在するのか?

※夕飯を食べるタイミングを逃していて、お腹が空いていたので、一旦麺屋に入った、まだ書く。

でも、タバコを一本くれと言って横に来たおっさんと喋って影踏みしながら遊んだり。コミュニケーション取らないわけじゃないけど、頭の中に色々な思考を抱えながら生きているのか。それとも、あんまり何も考えないで生きてるのか。

そんなはずない。あの男の子が、ちゃんと働いていなかった時とか、目で訴えてたやん。でも、怒りというよりは、人は人、自分は自分。目の前の清掃に正面から向き合う。そこにプライドを持っている。そんな感じかな。毎日の自分の生活に誇りを持てるかどうかなのかも。

朝、家を出てすぐに空を仰ぎ、昼食休憩でも「木漏れ日」を眺め、車の中からの景色も、カセットテープの音楽と共に噛み締める。寝る前の本の時間。起きてからは、昨日読んでたページが消えてないよな?って確認する。目をつぶってから、本当に眠りにつくまでの間は、回想録。色々な人生の場面がフラッシュバックしていた。

自分も毎日たくさんの情景がフラッシュバックしている。人間って無限に思考が湧いてくる。最近よく思うけど、没入してるとか、考える暇もないってのが、幸せのコツかも?色々考え過ぎちゃうとしんどいじゃん?

映画の後の空虚な気持ちから、人とは会話する気分じゃなかったけど、人がいるラーメン店で美味しいご飯を食べるとちょっとは気分がマシになった。あ、自分も社会の一員だ。みたいな。なんでだろうね?

映画内の世界に自分はいないし、関係ないのに、それをあまりにも深く覗き込むと、比較し始めてしまう?心がそわそわする。

自分の人生と全然関係ない画面の中だけの人間の生活を2時間ぶっ続けで観させられた感じ。1500円…時間…返してほしいとすら思ってしまった。

位が違う暮らし。運転手付きなのか、チャリンコなのか。畳の部屋なのか、綺麗なフローリングなのか。どっちでも良いけど、自分は後者がいいなと思った。足るを知るも大事だけど、出来る贅沢をしない人生は選ばなくて良い。青天井だから、程々が大事なのは承知。金持ちになっても、庶民的な暮らしの良さを忘れたくない。

記録することについても考えさせられた。フィルムカメラに撮った写真を、現像しては、お気に入り以外を全て破って処分する。この主人公の時間の使い方には疑問あとから振り返るのが記録の本質。でも、「あとから見て幸せに感じるもの」だけを残すのか?

康弘の日記よりそのまま。

気になったポイント

雨の中チャリを漕ぐ様子。もうベチャベチャ。せっかく銭湯行ってきたのに。1日清掃をした後のユニフォームを部屋にそのまま吊り下げて、また翌朝同じのを着るのを何度も繰り返していた。

んんん生まれ育った環境によるの一言で片付いてしまうけど、俺にはしんどかったな。といいながら、旅するときはドミトリー派だから、意外と中流階級の暮らしじゃないと受け付けない訳でもない。笑

彼の給与はどうなっているんだろう?毎日缶コーヒー、高速道路代、ガソリン代、昼のコンビニサンドイッチ代、銭湯代、飲み屋代、フィルムカメラの現像代、そして家賃。収入とのバランスがどうなっているんだか、全くわからない。

同じく、康弘の日記より。以下も。

東京の景色は綺麗だった。トイレ巡り、浅草の地下巡りがしてみたいと思った。フィルムカメラもやりたいと思った。お楽しみ。そして、編集する時間がかからないで、ただただ、成功失敗で切り分けられるのもデジタルやってる俺からすると新感覚かもね。

でも、普段から俺って、この主人公並みに日常の景色の美しさを感じながら、丁寧に毎日を生きているよなって思って。

毎朝の陽の光、木漏れ日、缶コーヒーの味、全部全部、すごくありがたい。これは俺の人生においてこれからも続けていこうと思えた内容。


レビューの抜粋

受け止める

彼は決して世捨て人ではない。無心になって仕事をこなし、瞳には優しさと温かさが宿り、彼なりのやり方で物事を無駄なく楽しみ・・・そうやって築かれた最小限の日常で、すべてを大切に受け止め、決して悔いを残さない。こんな暮らしに少なからず憧憬の思いが込み上げるのは、我々が何事も過多な現代社会で多くのものを取りこぼし、後悔を感じて生きているからだろう。

昨日と今日、そして明日もだいたい同じ一日が繰り返される。

毎朝、木造アパートの一室に敷いた布団から起き上がり、植木に水をやり、自販機でコーヒーを買って飲み、トイレ清掃に向かう男。平山というその男性の日々のルーティンが、関わる人々とのやり取りによって微妙に揺れ、それでも基本型はキープしたまま進んでいく。

孤独と自由

役所広司が演じる平山は寡黙な男であり、規則正しく、ルーティンをこなす。毎朝植木に水をやり、仕事を終えると銭湯に行き、居酒屋で酒を飲み、部屋では古本を読みながら寝落ちするのもその一つ。極力他人と関わらないことで“孤独”であることを忘れようとしているのかもしれませんが、“孤独”=自由を享受しているようにも見えます。

悟りの境地

50歳をゆうに過ぎているであろう男が、なぜアパートで一人暮らしをして、清掃員の仕事を黙々としているのでしょうか。その研ぎ澄まされたような姿は悟りに至った僧侶のようにも見えます。でも、そんな彼が見ている世界、ふとした時に向ける視線の先には木々や光が溢れているのです。朝日、木漏れ日、夕日、街並みや公園、トイレ、運転中の車のフロントガラスなどの光の屈折や反射。

観る人をかなり選ぶ作品。退屈に感じてしまっても無理もありません。でも、その退屈で変わらない日常の中に、平山が時折見せる感情にとてつもなく心が揺さぶられます。言葉、表情、涙。

平山はガラケーを使いカセットテープで音楽を聴いていてSpotifyは知らない。古本屋で100円で買った本を読んで、古いフィルムカメラで決まった場所で写真を撮り、安酒場で酒を飲む。他人には分からないレベルで自分の好きな事を深く味わっているのだ。情報が溢れ、忙しく大量の情報を摂取している現代人に向けて、「自分の本当に好きな事を解像度を高く味わっていますか?」と、聞かれた気がした。

起きて仕事をして、食事をして寝て。仕事の日と休みの日のルーティン。家の中でのルーティン。日々、少しの人と関わり、小さな良いこと、小さな嫌なこと、嫌なことかと思ったらそうでもないことに変化したり。同じことの繰り返しのようで、同じではない毎日を感じます。日本のトイレは世界一綺麗とよく言われますが、いつも綺麗にしてくれる人のおかげで綺麗なのです。

タカシは「どうせ汚れるんですよ」と揶揄する。しかしながら、平山は幸せそうだ。節目節目でハンドルを握る平山さんの顔面が大写しになるが、私はほぼそこに多幸感を読み取った。彼は間違いなくperfect daysを過ごしている。平山さんは決して変化のなさに安住しているわけではない。むしろ彼は、「全く同じ日が巡ってくるはずはない」という意味のことを作中で何度も口にしており、「ループ」を拒絶している。

与えること

「与える」ことができていることだろう。クズ男・タカシに女と遊ぶ金を貸してやる。家出してきた姪っ子に豊かな時間といちご牛乳と本を提供してやる。交わることのない異世界に住まう妹を抱きすくめる。末期がんの男に、缶のハイボールを分け、影踏みを提案してやる。決して「持てる者」でないのに、なんと確かな恵みを与えていることか。

もう一つは、彼が音楽を愛し、読書に耽る人間だからなのだろう。彼が車のカセットデッキで聴く音楽も、寝る前に開く本も、トイレ清掃員という仕事の割に異様なハイセンスが覗く。部屋の本棚・カセット棚のラインナップは、それぞれの筋の人が見れば「ほほう」と唸るものだろう。

突然変異的なインテリ労働者というのは現実世界にもそれなりに観測されるものだが、こんな平山の属性の所以は、ストーリー後半でほんのり説明される。「人生を豊かにするのは金ではないですよ」とストレートにいってしまえば実につまらないところ、こうして具体的な人間の姿を通してメッセージできることが映像作品の強み。

カンヌ映画祭で主演男優賞を獲得したと聞いていたので、予想通り、エンターテインメントな物語ではなく、正直、125分は淡々と過ぎた。たぶん自宅で録画を観ていたら、寝るか、途中で止めて、最後までは観なかっただろう。この映画、世間の評価はすこぶる高い。観客もそこそこ入っていた。ただ残念ながら、私の心にはそんなに響く作品ではなかった。トイレの掃除夫さんの日常。本当の日常ではありえないような、綺麗すぎる公衆トイレ…

毎日、面白いし美しい

トイレ清掃員の平山は、人生訳ありぽくて、世間と距離をとりながら、淡々と毎日を過ごしている。それでも、他人の人生と、木に茂る木の葉のように風がそよげば、重なったり、離れたりする…。

平山の前に現れた姪っ子、迷惑をかけ通しなうえ突然仕事ををやめる後輩、平山の音楽の趣味に好感をもつ若い女、死期が迫る飲み屋のママの元ダンナ…。

同じように日々を過ごそうとしても、突然、木漏れ日が差したり、葉が重なって影が濃くなったりするように日常は変化してゆく…。人生、みんなこうだよね。単調に思える日々の中に、ささやかな楽しみや、予測できなかった出来事が混ざり合う。そうして、人々の人生が織りなす木漏れ日は、風にそよぐたび、こんなに美しいんだよと、この作品に教えられた。たびたび、差し込まれる木漏れ日の映像が象徴的だった。

友人との会話

康弘
平山(清掃員)の毎日もそれはそれで良いんだろうけど、毎日の清掃に意味を見出すのが今の俺には無理だし、将来もそこの価値観とはわかり合えないんだろうなぁと。

友達
なんかあれなんかもな、「小さなこと」に目を向けて幸福をみつけていくみたいな。ある意味野望がないのかもね、「今の人生で満足や、おっけい」みたいな。

さいごに

今回は、少し新しい体裁のnoteになったかなと思います。自分の日記をコピペして、ちょっと読みやすいように改行してみました。

そして、その時読んでいたネットのレビューの中でも心に残ったり、共感できたものを中心にひかえていたので、それも一緒にペタペタ。なんだかコラージュをして遊んでいる感覚で、その日の感情が鮮明に蘇ってきて、楽しい時間でした。

1時間位かけて、また二時間の映画を見た時間と、そのあと1時間位ずっと感想を書いたり、レビューを読んだりしていた時間をゆったりと振り返る。これこそ、スタイルはちょっと違うにしても、「自分なりの人生の味わい方」なのかな、なんて。

映画の一番面白いのは、感想を共有する部分だと思っています。ですが、読んでくださった方はご存知の通り、あんまり映画自体は楽しめませんでした。

映像作品としてはとっても綺麗だったけれど、良い気分にはなれなかった。すくなくとも、僕が娯楽としての映画に求めるものとは違った。残念。そんな感じです。

だからこそ、「映画の一番面白い、感想を共有する部分」で目一杯楽しませてください。コメントでも他のSNSでのメッセージでも電話でも、待ってます笑

最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています👋


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