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UXの理解(心理学視点が不可欠)_#2ユーザーの心理を理解するとともにデザインに責任を持つ

PdMについて学習するなかでデザイナーとの関係性が肝であると理解しました。(もちろんユーザー、CEO、エンジニアもですが)

デザイナーと話をするためにUI/UXの最低限の理解が必要だと思い、本を探っていたときに出会ったのが以下の本です。

参考図書

参考

この本はデザイナーが作っているだけあって、本のレイアウトも素晴らしく読みやすし、内容(情報量)も精錬されています。

要するに素晴らしい本です。

全部で12章あるのですが、前回1~6章までまとめて6,000文字を超えてしまったので分けました。

前回も書きましたが、私のnoteの注意点です。
是非興味のある方は、手に取って損のない良書だと思います。

・ただでさえよくまとまった本である
・noteにわざわざ要旨をまとめるまでもない
・分かり易い事例が豊富で、興味のある人は絶対手にとった方がよい
・私のnoteは事例のイラストなどは含まない(丸パクリはよくない!)
・私のnoteは自分の備忘レベル


それでは続きを進めていきます
文字数:約7,800(長いです)

第7章 美的ユーザビリティ効果(Aesthetic-Usability Effect)

■概要

・美的ユーザビリティ効果とは『見た目が美しいデザインは脳のポジションな反応を引き出し、いかにもよく機能しているように見せる』こと
見た目が美しければ、些細なユーザビリティの問題に対してより寛容になる
・見た目が美しいデザインはユーザビリティの問題を覆い隠し、ユーザビリティテスト中の課題発見に影響を及ぼす
→ユーザーの行動により注目し、見た目の美しさ以外に目を向けさせる質問を投げかける

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P84~P92

■自動認知処理

・人は何かを認知したり判断したりするときに、知覚したものに意識を向ける前に無意識に心の中で情報を処理し、経験に基づいた判断をしている
・自動的な思考モードは意識的で遅い思考モードと対象的である
・美的ユーザビリティ効果において、第一印象を形成する自動認知処理が極めて重要と言える
・一般的に人はわずか0.5秒以内に、そのサイトに対して脳内で評価している

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P87~P88

■ユーザビリティにおける効果

・UI/UXを評価するとき、ユーザビリティの感じ方が見た目に左右されることを意識しておく
ユーザーの行動をよく観察し、ユーザーが見た目の美しさ以外にも目を向ける質問を投げかけ、ユーザビリティの問題を明らかにすることが重要

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P91~P92

第8章 フォン・レストルフ効果(von Restorff Effect)

■概要

・デジタルインターフェイスにおいてコントラストの強い要素の方が素早く注意を引き付ける傾向にある
・デザイナーは、ユーザーを目標達成に導くために視線をいかにうまく誘導するかを考える
・視覚的な要素を強調するとき、互いに競合したり、目立ちすぎて広告に思われないように抑制をかける

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P94~P103

■選択的注意、バナーブラインドネス、チェンジブラインドネス

・選択的注意とは、『関連性のない情報を犠牲にして関連する情報に集中すること』
・デジタルプロダクトにおいて、UIは人の注意を適切に導き、ユーザーが困惑したり気が散ったりせずに関連する情報を見つけて作業できるようにしなくてはいけない。そのために短期記憶と注意力という限られたリソースは常に意識しておく

・バナーブラインドネスとは、デジタルUIでよくみられる選択的注意の一例で、広告だと思われるものが無視される傾向のこと
・真っ当なコンテンツでも遠めに見ると広告に似ていたり、広告の近くあると無視されることがある

・チェンジブラインドネスは十分な視覚的な手がかりがなかったり、注意が他の場所に向いていると重要な変化に気づかない傾向のこと
・プロダクトのUIが変更されたことをユーザーに知らせることが重要な場合はユーザーの注意がそこに向くようにした方が良い

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P96~P97

■モデレーションとアクセシビリティ

モデレーションとは極端なものを排除したり、減らしたりすること
・フォン・レストルフ効果をデザインに考慮すべきことは『コントラストをいつどのくらいの頻度で作るべきか?』
・コントラストは多すぎても良くないので、視覚的な要素を強調する際には互いに競合しないようにする
コントラストを多用し過ぎると、広告と間違われてしまう

・次に考慮すべきはアクセシビリティで『どのような視覚的な特性を使ってコントラストを作り出しているのか、またそれが様々な人に対してどう影響するか』を認識する
・色の識別が難しい人や、動きに敏感なユーザーが悪影響を受けないようなデザインも慎重に検討しておかなければならない

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P101~P102

第9章 テスラ―の法則(Tesler's Law)

■概要

デザイナーの使命は、プロダクトを利用するユーザーのために複雑性を減らすこと
・どんなプロセスにも、その核となる部分にはデザインの工夫をもってしても取り除くことのできない複雑性を抱えている
・最後に残る固有の複雑性のしわ寄せは、UIかデザイナーかエンジニアの仕事に及ぶ
・シンプルにし過ぎて、インターフェイスが抽象的になり過ぎていないかを意識する

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P106~P113

第10章 ドハティのしきい値(Doherty Threshold)

■概要

・システムの応答時間は優れたユーザー体験を届けるうえで重要な指標
・待ち時間が増えれば増えるほどユーザーは苛立ちを募らせ、実行中のタスクを放棄してしまう
人は0.1~0.3秒の遅延(ドハティのしきい値0.4秒未満)になると目につくようになり、それを超えるとタスク以外のことを考え、ユーザーの生産性低下につながる
・応答時間が早すぎると、ユーザーが「このタスクならこのくらい時間がかかるだろう」という感覚値とずれて認識されない可能性があるので、プロセスによっては敢えて時間をかけることもテクニック

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P116~P124

■ユーザーが待たされていると感じさせないテクニック

①スケルトンスクリーン
・スケルトンスクリーンとは、ページ読み込みが始まるとまずプレースホルダ(文章を表示する領域のテンプレート)を表示し、あたかも読み込みが早いようにしている
・ユーザーはスケルトンスクリーンにより待たされている印象が和らぎ、早さや軽さを感じる

②ブラーアップ
・ウェブでもネイティブアプリでも読み込み時間を長くする元凶である画像に特化した対処法
最初に極小サイズの画像を読み込んでおき、より大きな画像が読み込まれたらそれを置き換えていく手法

③プログレスバー
・アニメーションを活用することでバックグランドで処理が行われている間もユーザーを視覚でつなぎとめることができる
・ユーザーの注意を引き付けておくのは10秒が限界とされるので、10秒を超える場合は、プログレスバーだけでなく完了までの予想時間や進行中の表記を加える

④楽観的UI
処理が完了してから反応するのではなく、処理が進んでいる最中にアクションが成功したという楽観的な反応を提示する手法
・SMS等でメッセージ送信時にメッセージは通常通り表示し、アクションが完了していることを瞬時に知らせ、その後エラーが出れば送信エラーを表示するような例

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P118~P122

第11章 力には責任が伴う(With Power Comes Responsibility)

■概要

・第1章~第10章までは、人の心理をうまく活かせば、人間中心で直感的なプロダクトやUXを作れることを見てきた
デザイナーはテクノロジーに無理やり合わせるデザインでなく、人があるがままであるためのデザインへの導いてくれる心理学由来の重要原則を手にすることが望ましい
・一方で、デザイナーは心理的に行動を形成することの意味と悪影響を理解しておく必要がある
人間の心は悪用され得るものであることを認めて倫理的なデザインの意思決定を行う
・パッピーパスを超えて考え、多様性のあるチームを構築し、プロダクトが人々の生活にどのように影響を与えているかについての質的なフィードバックを得るためのユーザーと対話することで、自分たちの仕事に説明責任を持つことができる

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P126~P138

■テクノロジーが行動を形成する

・人の心がどのようにPersuasive Technology(説得的デザイン:心理学における人の行動変容を取り入れた製品設計技法)に影響を受け、行動がどのように形成されるかを理解することが、デザインの意思決定に責任を負う第一歩
・代表的な研究にB.F.スキナーのオペラント条件付けというプロセスがあり、これは特定の行動と結果が結びつき、行動が学習され修正されていくさまを研究したもの

・デジタルプロダクトやサービスには、人の行動を形作ることを目的とした様々な手法が採用されている
・その狙いはユーザーにできるだけ長くサイトを利用してもらったり購入を促したりとすべての行動は適切なタイミングで強化されるように形成されている

<テクノロジーが行動を形成するために活用される方法>
①断続的な変動報酬

・オペラント条件の結果、ころころ変わるランダムな強化こそが最も効果的に行動に影響を与えることを実証した
・身近な例としては、情報を更新するために画面を下に引っ張るPull to Refreshなど

②無限ループ
・無限ループデザインはちょっとした摩擦を減らして滞在時間を最大化するためのデザイン
・例としてはYouTubeの自動再生機能

③社会的肯定感
・いいね!や肯定的なコメントがつくことで、一時的な承認欲求や帰属欲求が満たされドーパミンを生成する
・脳からの生成される化学物質は行動の動機付けにおいて重要な役割を担う

④デフォルト
・ほとんどの人はデフォルト設定から変更しない=意思決定の舵を握っている

⑤摩擦を取り除く
・簡単に快適に実行できればできるほど、その行動は習慣化し易くなる

⑥返報性
他社のふるまいに返礼しようとするその衝動にテクノロジーが付け込み、ユーザーの行動を形作る

⑦ダークパターン
ユーザーに意図しない行動をとらせる(多くの買い物をする、不必要な情報をシェアするなど)ことによって、エンゲージメントを高めたりすること
・例として、購買意欲を高めるために製品在庫が僅少であることを表示するなど

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P126~P134

■倫理を重んじる

人の心は変わらないのに手法は高度化し正確になっており、かつてないほど行動への影響を倫理的に考えることが重要になっている
・デジタルプラットフォームが本来解決しようとしていた人々の課題への視点を見失ってしまうと、人間の弱さが搾取の対象となる
・行動デザインは人をハマらせることができるが、その代償もある
ビジネス上の目標とユーザーの人間的な目標が一致することはほとんどない
・いまこそデザイナーはこの緊張関係に真摯に向き合い、企業とユーザーがウェルビーイングとの整合性を取ったプロダクトや経験を作り出す責任を意識すべき
・デザイナーとしてテクノロジーに対して説明責任を持たなければならない

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P134~P136

■歩みを緩めて、意識を向ける

・本当の意味で『人間中心デザイン』であるためには、次のようなアプローチがある
①ハッピーパスを超えて考える
ハッピーパスとは例外やエラーを考慮しない理想的なシナリオ
・パッピーパスから外れたシナリオを考慮せずに拡大していくテクノロジーは理想化されたシナリオの外に居る人々を置き去りにする
・アプローチとしてMVPの定義を変更して、最も抵抗の少ない道でなく、非理想的なシナリオに最初に焦点を当てること
極端なケースを思考の中心に据えることで、プロダクトのレジリエンスをより確実なものにする

②チームと考え方に多様性を持つ
・同質性の高いチームは、経験していない点を見落としがち
・ターゲットユーザーに対する調査から導き出されたペルソナがMVPにとって重要なセグメントだけに焦点を当てていないかを確認する
多様性のあるターゲットユーザーに向けてデザインすることで、大きな問題になる前に盲点に気づける可能性がある

③データを超えて考える
・定量的なデータから読み解けない『なぜ』につながる洞察を得るために、ユーザーに耳を傾け、それを受け入れることが重要

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P137~P138

第12章 心理学的な原則をデザインに適用する(Applying Psychological Principles in Design)

■概要

・人の空間体験を熟知した建築家がより良い建物を作り出すのと同じように、人の振る舞いをよく理解したデザイナーはより良いデザインを作る
・最後の章では、デザイナーがここまで見てきた心理学的原則を習得し、使いこなし、関連するデザイン原則を基にチームの目標や優先順位を明確にしていく方法を探る

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P140~P148

■意識づける

①視界に入れる
・心理学の原則をポスターとして目に見える場所に貼ることで、人の情報知覚と処理の仕方を思い起こしてくれる
・結果的にチームメンバーが心理学原則を理解し、それを進行中のデザインワークにどう適用するかまで言語化できるようになる

②Show and Tell
・チームメンバーが知識を共有し、学びあうための優れたフォーマット
・デザインの新しいテクニックやツールの話から、ユーザビリティ調査での発見やプロジェクトの要約などすべてのことを共有しあう

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P140~P142

■デザイン原則

デザインチームが大きくなるほど、チーム内の『良いデザイン』が揺れ動いてしまい、アウトプットに一貫性が無くなりビジョンの欠如によって必然的に損害を被ることになる
・デザイン原則は、優先順位やゴールを表すガイドラインとして、意思決定の理由付けの根拠となるもの

<チームの価値観とデザイン原則の定義の仕方>
①原則を定義する
A)チームとは誰かを特定する
B)基準に沿って定義する
 +成功の基準を定義する
C)発散する
 +チームメンバーが時間内でできる限り多くのデザイン原則を考える
D)収束する
 +デザイン原則アイデアをテーマに沿ってまとめる
E)整理し適用する
F)広める、擁護する

②ペストプラクティス
・採用されたデザイン原則を確実に役立つものにする方法
A)優れたデザイン原則は分かりきったことは言わない
 +例えば直感的なデザインなど常套句は曖昧で明確なスタンスを欠く
B)優れたデザイン原則は実践上の問いに答える
C)優れたデザイン原則は偏っている
 +選択と集中の感覚が必要。チームがNoと言えるようにする
D)優れたデザイン原則は覚えやすい

③デザイン原則は心理学的な法則と結びつく
・デザイン原則と心理学的な法則に関係性を見出し、プロダクトの文脈において守るべきルールを作る
例)デザイン原則:「わかりやすさは方くな選択肢に勝る」
  心理学法則:ヒックの法則(意思決定にかかる時間は取り得る選択肢の数と複雑さで決める)
  ルール:「選択肢は3つまで」「説明文は必要な時だけ80文字以内で簡潔に」

UXデザインの法則
最高のプロダクトとサービスを支える心理学
ISBN978-4-876311-949-6
P142~P147

<#2ユーザーの心理を理解するとともにデザインに責任を持つ 所感>

#1と #2を通じて10個の心理学的な法則を見てきました。
そのどれを取っても人類共通で「なるほど、確かに」と思う内容ばかりでした。
加えて全章に挿入されていた事例を見て、また「確かに」と思いました。

全体を通じて最も印象深かったのは『第11章 力には責任が伴う』です。

ビジネス目標達成の大きなキーファンクションに心理学を用いて
人の心から操作することで爆発的にKPI達成が近づくかもしれません。
でもその裏に倫理を重んじなければ社会的責任を企業として負うことになります。

ビジネスの起点はいつだって『ユーザーの課題を解決する』のはずなのに、どこかで見失ってしまうのが人間の性です。
これも一つの心理学的な法則に当たると思います。

常に初心を忘れず、ペルソナも”ベストペルソナ”と”アンチペルソナ”を作成し、多様なユーザーストーリーを検討することが重要です。

準備に時間ばかりかけてしまうとスピード感は欠如してしまいますから、

しっかり『ビジネスの目標』『デザイン原則』を文化に組み込むこと

が必須だと感じたことが最も大きな学びでした。

■10の心理学的な法則

01:ヤコブの法則
慣れ親しんだプロダクトと見た目が似ていれば、同じように動くと期待する

02:フィッツの法則
タッチターゲットに至るまでの時間は、ターゲットの大きさと距離で決まる

03:ヒックの法則
意思決定にかかる時間は、とりうる選択肢の数と複雑さで決まる

04:ミラーの法則
小さなチャンクに分けることで、短期記憶リソースへの負荷を軽減する

05:ポステルの法則
出力は厳密に、入力は寛容に

06:ピークエンドの法則
経験の評価は感情のピーク時とプロセスの終了時にどう感じたかで決まる

07:美的ユーザビリティ効果
見た目が美しいデザインはより使いやすいと感じられる

08:フォン・レストルフ効果
重要な情報やアクションはコントラストを適度に使って目立たせる

09:テスラ―の法則
どんなシステムにも減らすことのできない複雑性がある

10:ドハティのしきい値
0.4秒以内に反応し、ユーザーの注意を引き付け、生産性を高める

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