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物語

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僕らはみんな生きている、そして、それぞれの物語がある。
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「新世代の認知行動療法」熊野宏昭(1)

「新世代の認知行動療法」熊野宏昭(1)

マインドフルネスとは、今の瞬間の現実につねに気づきを向け、その現実をあるがままに知覚して、それに対する思考や感情に囚われないでいる心のもち方や存在のありようを意味する言葉であり、2600年前にブッダが人生の苦悩から解放されるための要として提唱したものである。(p.25)

早稲田大学人間科学学術院の教授もなさっている熊野先生の著書(2012年)である、日本では低迷していた認知行動療法の第一世代

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マックの物語(17)完

マックの物語(17)完

結局マックは、二度と僕の教室の扉を開けることはなかった。
2007年、7月、8月、9月・・・
マックは過ぎて行く時間と闘っていたかもしれない。

僕の教室には、
4か月は通ったろうか・・・
気分はいつでも乱高下していたに違いない、
頑張って数ヶ月通い続けてくれたんだね。

時々、
教室のビルの下でお腹が痛くなるのを、
我慢しながら通い続けたのです。

しかし、
同時に読書はマックに勇気をあたえ、

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マックの物語(16)

マックの物語(16)

「7月は1ヶ月休みます」
という連絡を受けて1ヶ月が過ぎた。

先週末、
マックのお母さんからお手紙をいただきました。

マックはその後、完璧に不登校に逆戻りしていしまい
7月は1日も登校できなかったようです。

それでも
読書教室のことは気になるらしく、
時々お母さんにも「8月からは行こうと思う・・・」
というようなニュアンスのことを
時々、言ったりしていたそうです。

そんな
7月の終わりに通

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マックの物語(15)

マックの物語(15)

しばらくマックの物語が書けませんでした・・・
これで最後になるかもしれません。

マックは今休んでいます。

14回でお話した後、
マックは元気に回復していった。

約束した歴史シリーズを順調に終了。
「織田信長」
「武田信玄」
「坂本竜馬」
「徳川家康」
のはずだった・・・

話も明るく力強くなった、
マックは、実は麻雀が大好きで
昔はよく家族で楽しんだこともあると
話してくれた。

僕も麻雀は

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マックの物語(14)

マックの物語(14)

マックはひどく疲れていた。
「俺はもう世界一の無気力星人一号だ」光線を
体全体から発している。

髪も伸びてしまい
眼鏡を覆っている。

初めて会った時のマックだ・・・

「お~久しぶり~
元気だったか~」
必要以上に明るい僕、

「・・・」
二ヶ月前に逆戻りか・・・

「ゴールデンウィークは何やってたの?」
少し元気に聞きすぎた?

「ええ、まあ・・・」

「何、どこか行ったの?」

「外には絶

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マックの物語(13)

マックの物語(13)

5月13日(日)ゴールデンウィーク明けは
子どもたちが土産や土産話をたくさん
持ってくる。

だから結構忙しい。

雅(まさ)はお父さんと富士山に登った、
「あんなにゴミが多いから世界遺産に登録されない
んだよ!!」と怒りをこめて僕に伝えた。

僕も以前テレビで見たことがある、
平気でゴミを捨ててゆく人が相当数いる。
その大半が日本人だという、恥ずかしいというか
悲しい。雅の言うとおり世界遺産どこ

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マックの物語(12)

マックの物語(12)

4月29日(日)、5月6日(日)マックは両日欠席した。
理由は腹痛、お母さんの話だとほとんど毎日家の中で
ゴロゴロしているようだ。

学校という唯一の外部とのつながりが
途切れ、毎日の生活のリズムもなくなり、
心地よく逃げ込める自分の部屋に戻って行ってしまった。

読書教室にだけは来て欲しかったが、
マックはまだ、そこまで
力が回復していなかった。

その後もお母さんから何度か
電話をもらった。

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マックの物語(11)

マックの物語(11)

マックは坂本竜馬の前半を読んで
色々な感想を僕に嬉しそうに話した。

読んだ本について
こういう風に一生懸命話すのは初めてだ。

竜馬が要求した賠償額の正確な金額や
修行した道場の名前などを正確に記憶していたのには
少し驚いた。

「おい、すごいじゃないか!
ふつうは正確な金額まで覚えられないぞ。
もう、読書の方法が分かったんだな!」
正直驚いた、

「ええ・・・まあ・・・、数学的なことや
ゲーム

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マックの物語(10)

マックの物語(10)

4月22日(日)(*この物語は2007年の実話です)

マックの読書記録

本のタイトル:坂本竜馬
作者:砂田弘
ページ:8-96ページ
倍速:2→2.5→3.0
感想:人は変わるもんだと思った。

マックはマンガ本すら読むのが
おっくうな人間だった、

だから文字だけの本などは
親からすすめられても
1ページを読み終わらないうちに
眠くなったという。

マックの書いた感想、
「人は変わるもんだと

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マックの物語(9)

マックの物語(9)

いつもご愛読いただき
本当にありがとうございます。

私のつたない文章にお付き合いいただき
ありがたく御礼申し上げます、嬉しいです。

最初はマックのことを5回くらいの
完結で紹介しようと思ったのですが、
毎回予想外に多くの皆様にご愛読いただいているのを
いいことに調子にのって

少し長く連載を続けてしまいました。

マックは毎週着実に変化をとげています、
私自身彼がどうなるのか?分かりません。

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マックの物語(8)

マックの物語(8)

ひー子の涙は解決。
読書を終えたひー子はいつもの彼女に戻っていた。

「さよ~なら~」僕の肩をたたき、
マックにも手を振り「さようなら」と声をかける。
マックの優しさがひー子にも伝わったのかな?

声をかけられたマックは・・・
直立不動、直角に深々とおじぎ、
「ど・・・どうも・・・」
おい、おい名門の野球部じゃないんだからさ、

でも、そういうマックが

僕は嫌いじゃない。

さて、マックの読書だ

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マックの物語(7)

マックの物語(7)

4月15日(日)また、また快晴。

日曜日はマックの他にも個性的な子どもたちが
たくさんやってくる。(と言うか子どもたちは本来、皆
独特の強い個性を持っているのだが、回りの大人が
ワクにはめこんでその個性をそぎ落としているのでは
ないだろうか?と、最近は思う。)

竜のシャツを着た、ちょいワル美士は先週マックとご対面、
翔一は「人生なんてそんなもんですから、
僕にはどうせ無理ですよ・・・」が口癖の

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マックの物語(6)

マックの物語(6)

この読書教室は学習教室、環境教育、
NPO活動も兼ねている。
だから色々な人が出入りしている、
子どもは小学二年生の公立小学校の女の子から
有名女子私立小学校、公立の中高生、来年有名私大を目指す
受験生などなど様々だ。

そして、大人は講師とかサポーターとか
近所のカメラマンとかギターリストとか
色々です。

今日は昔パプアニューギニアで現地の子どもたちに
英語を教えていた金(かね)さんが指導に来

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マックの物語(5)

マックの物語(5)

マックには兄、と弟がいる。3人兄弟の真ん中、
私には姉と弟がいる、3人兄弟の真ん中ということでは
マックと私には共通点がある。

3人兄弟の真ん中って
いい意味でも悪い意味でも、個性的な人物が
多いと言われる。(私は悪くでたな 笑)

マックのお母さんの話では
兄弟がマックのことを「ゴミ」だとか「カス」
だとか言うらしい。

聞いた瞬間飛んでいって、
ジャンピングニーパットをお見舞いして、
エルボ

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