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ニジェールのドクター・タニ 外科医 谷垣雄三物語

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谷垣Dr.の同期生(信州大学ワンダーフォーゲル部)川本Mr.が谷垣Dr.の関係者(協力者、友人、知人そして家族)のお話を伺い、冊子にまとめた「ニジェールのドクター・タニ 外科医 … もっと読む
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外科医 谷垣雄三物語

外科医 谷垣雄三物語

ニジェールのドクター・タニ
『外科医 谷垣雄三物語』 が いよいよ書店やアマゾンで購入できます。
是非とも書店・アマゾンでご購入願います。

発売は2020年4月末からですが、書店での購入は若干の遅れがあると思われます。
Amazonでの購入は既に予約販売が可能です。
下記を参考願います。

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出版社からの販売に伴い、当サイトでの同一内容の掲載はできな

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外科医 谷垣雄三物語

外科医 谷垣雄三物語

信州大学のワンダーフォーゲル部で谷垣Dr.の同期生、川本Mr.が谷垣Dr.の関係者(協力者、友人、知人そしてご家族)のお話を伺い、冊子にまとめてくれた「ニジェールの外科医 谷垣雄三君」。谷垣Dr.の生きた道を経年的にたどることができ、時間と場所が異なりながらも各々の出来事のつながりも見出すことができます。約80ページの長編です。

文中の氏名や写真については、承諾を得た方を除いて、A Mr. ,

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第二部 信州大学時代

第二部 信州大学時代

信濃の国のWV(ワンダーフォーゲル)
新入生を迎える4月、松本平の西方に連なる北アルプスの連山は、春の声をよそに雪化粧して輝いている。
しかし、東方の美ケ原の王が鼻、王が頭の雪化粧は薄れ、そこを源流に信州大文理学部の南側を流れる薄川の雪溶け水は勢いを増す。
ワンダーフォーゲル(WV)部の新人歓迎山行(さんこう)がその頃、美ケ原をめざして行われる。パーティーを編成して扉温泉や三城牧場などを経由して登

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第三部 病院勤務時代と山

第三部 病院勤務時代と山

勤務病院でウデ磨く試験会場に行きながら、信大受験生うちただ1人、1968年6月の旧制度による医師国家試験をボイコットした谷垣雄三君。安田講堂事件のあった翌年の1970年(昭和45)、受験して医師の資格を得た。登録番号から同期生がそう断定する。通算3回、ボイコットしたことになる。ところが、そのあとの谷垣君の足跡は1970年暮れ、小川赤十字病院(埼玉県小川町)に姿を見せるまでの約1年余の足跡ははっきり

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第四部 西アフリカ・ニジェール

第四部 西アフリカ・ニジェール

砂漠の嘱託医に応募医師向けの「医事新報」という定期刊行物がある。医療に関する記事や論文、医師の求人などの情報が掲載されている。その中にアフリカ・ニジェールのウラン探査活動の嘱託医を求めている広告が掲載されていた。
「広大なアフリカで活動しませんか、と夢を誘うかのような内容だった」と、広告を出したNPO「アジア・アフリカにおける医学教育支援機構」の理事長の熊谷義也さんは話す。
慶応大医学部を卒業した

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第五部  終    章

第五部  終    章


「泰兄 ありがとう」
 谷垣泰三 兄様
寒さも遠のき、少し暖い頃と思います。
如何お過しでしょうか
泰兄いっぱい、いっぱいして下さいましたが、私は体を動かすのが苦しくなってしまいました
泰兄に少しでもお礼を申し上げることなく悲しく思っています。
泰兄どうかお元気で
ありがとうございました。
2017・2・5
谷垣雄三
×     ×
「泰兄」とは京都府福知山市に住む谷垣君とは11歳年上の兄、谷

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番外編 その1(後日談)

番外編 その1(後日談)


谷垣雄三君の死の悲しみは、畏敬の念と共にニジェール全土に広がった。
ニジェール保健省は「テッサワ・パイロットセンター」を改修して県病院として開院させ、病院名に「ドクター・ユウゾウ タニガキ」の名を刻んだ新たな看板を正面に掲げた。また、近くの自宅も改修し、「保健センター」として同時にオープンさせた。産科施設を併設し、「マダム・シズコ」の名を看板に入れた。谷垣君が亡くなって2年後の2019年3月15

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番外編 その2(写真とスケッチの帰還)

番外編 その2(写真とスケッチの帰還)

一時帰国の山形氏持参長野県松本市での展示会を終えて間もない8月末、「谷垣雄三・静子夫妻のたくさんのアルバム写真が見つかりました」という知らせが、JICA(国際協力機構)ニジェール前支所長・山形茂生さんから舞い込んだ。
テッサワの自宅で遺品整理をしていたところ、見つけたという。「静子夫人が生前、整理したようです。10月、日本に一時帰国した際に持参します」とあった。
山形さんは連絡通りに、持参して一時

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番外編 その3(信州大学医学部創立75周年記念事業・記念講演)

アフリカの大地に人生を捧げた日本人医師の物語信州大学医学部卒業生 故谷垣雄三医師の奇跡(要旨)

JICAニジェール前支所長 山形茂生氏

信大医学部と同窓会「松医会は」2019年9月8日、松本市のホテル・ブエナビスタ・グランデで医学部創立75周年記念事業として講演会を開催し、山形茂生氏(正面)が「谷垣雄三医師の奇跡」と題して映像を使い約1時間、講演した

はじめに信州大学医学部、松医会、ご来場の

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あとがき

あとがき

「谷垣先生の歩んだ道幅は0・3㍉だった」。松本市の「あがたの森文化会館」で開いた谷垣夫妻の企画展を訪れた青年海外協力隊員だった男性はこう言った。この本の「はじめ」で谷垣君の人生は「定規で1本の線を引き、その上を外れることなく進んでいく」と書いたところ、その道幅はボールペンで言えば、極細だというのだ。
一直線の向こうの「住民負担による地方の外科の確立」に向かって治療に専念し、医療制度をめぐって世界機

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