いなもり やすたき/作曲家

作曲家の稲森安太己です。作品のことや、音楽について考えたこと、演奏会の感想等を気ままに…

いなもり やすたき/作曲家

作曲家の稲森安太己です。作品のことや、音楽について考えたこと、演奏会の感想等を気ままに書いていきます。

マガジン

  • 楽譜のお勉強

    私が楽譜を読みながら音源を聴いて気付いたことを気の赴くままに書いていく無料記事をまとめたマガジンです。

  • さっきょくノォト

    私が作曲した作品の解説を中心とした記事を集めました。

  • ステキな作曲レッスン

    作曲家・稲森安太己が作曲家としてキャリアを詰み始めるにあたって、様々な作曲家から受けてきたレッスンの様子をお話します。

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作曲家いなもりやすたきのnote

初めまして、作曲家の稲森安太己(いなもりやすたき)と申します。11年間ドイツで生活し、作曲したり音楽大学で教えたりしてきました。2020年10月からは日本に活動の拠点を移して作曲活動を続けています。この度、noteにアカウントを開設することにいたしました。ドイツで経験した音楽の話や、自分の作曲の話などを記事にしていこうと思います。よろしくお願いいたします。 作曲のお仕事のご依頼は以下のサイトのコンタクト・フォームからお願いいたします。

    • 楽譜のお勉強【98】ジャン・フランセ『6つのプレリュード』

      本日はフランスの作曲家ジャン・フランセ(Jean Françaix, 1912-1997)の音楽を読んでいきます。フランセは洒脱で闊達、パリジャン風のエスプリ溢れる作風で知られる新古典主義の作曲家です。なかなかの多作家で、200以上の作品を残しました。世界的にとりわけ演奏されているのは、『木管五重奏曲 第1番』でしょう。次いで『木管四重奏曲』や『木管五重奏曲 第2番』も取り上げられる頻度は高いです。フランスでは伝統的に、パリ国立高等音楽院を中心にお洒落な管楽器のための音楽が次

      • 《愛と錬金術と衒学と》歌詞紹介

        さる2024年3月21日、ヴォクスマーナ第51回定期演奏会にて、12声部によるヴォーカル・アンサンブル楽曲《L'amor, l'alchimia e la pedantaria》(《愛と錬金術と衒学と》2022-2023)が初演されました。演奏時間35分の長い曲で、作曲にも苦労しましたが、演奏も大変なもので、時間をかけてじっくり取り組んでいただき、素敵な演奏をしていただきました。 楽曲に使用した歌詞は16世紀のイタリアの修道士・哲学者のジョルダーノ・ブルーノ(Giordan

        • noteの毎週投稿が切れちゃいました。熊本に来てから流石に無理があるなと感じていました。気合いで毎週書いてましたが、やはり切れてしまう日が来ました。2020年6月26日から書いていたので、180週とちょっとの間でした。結構大変だったので、切れたのを機に隔週を目処に更新します。

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        作曲家いなもりやすたきのnote

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        記事

          新曲《トラペゾヘドロン》について

          2024年最初の初演が2月25日に東京都江東区のティアラこうとうで行われます。チューバの橋本晋哉さんの委嘱で作曲したチューバとピアノのデュオ曲《トラペゾヘドロン》(«Trapezohedron» for Tuba and Piano, 2024)です。本日は初演前に少しこの曲についてご紹介いたします。 橋本さんと私の付き合いはそれなりに長くなりました。楽曲を最初に演奏していただいたのは2015年の東京現音計画というグループの演奏会だったと思います。その少し前から日本の現代音

          新曲《トラペゾヘドロン》について

          ドイツの詩1000篇とその解釈

          最近買った本です。《1000 Deutsche Gedichte und ihre Interpretationen》(ドイツの詩1000篇とその解釈)という全10巻の本で、初版は1994年にインゼル社から出ています。ドイツの有名な詩や重要な詩が時代別に1000篇集められていて、さらに色々な研究者がそれぞれの詩に解説を書いている本で、とても読み応えがあります。 一番多くの詩が取り上げられているのはやはりゲーテで、第2巻一冊が丸々ゲーテの本になっています。他の巻は全てオムニバ

          ドイツの詩1000篇とその解釈

          昨日、熊本大学教育学部音楽科の定期(卒業)演奏会がありました。私が卒業研究と論文を担当した学生は作曲1人、ピアノ2人の3人で、3人とも感動的な作品・演奏を披露してくれました。審査に関わる私の感想はここでは書きませんが、卒業後も音楽に真剣に取り組んでいってほしいです。おめでとう。

          昨日、熊本大学教育学部音楽科の定期(卒業)演奏会がありました。私が卒業研究と論文を担当した学生は作曲1人、ピアノ2人の3人で、3人とも感動的な作品・演奏を披露してくれました。審査に関わる私の感想はここでは書きませんが、卒業後も音楽に真剣に取り組んでいってほしいです。おめでとう。

          楽譜のお勉強【97】マルカンドレ・アムラン『パガニーニの主題による変奏曲』

          2024年も「楽譜のお勉強」を続けていきます。今年最初の「楽譜のお勉強」はピアニスト・コンポーザーによるピアノ独奏曲から始めてみます。マルカンドレ・アムラン(マルク=アンドレ・アムランとも、Marc-André Hamelin, b.1961)はカナダのピアニスト、作曲家です。技術自慢の演奏家で、演奏が難しいことで知られるピアニスト・コンポーザーのゴドフスキーやアルカンらの作品を広く世に紹介してきた功績は大きいです。作品はやはりピアノ独奏曲が中心で、華やかなピアノの演奏技巧を

          楽譜のお勉強【97】マルカンドレ・アムラン『パガニーニの主題による変奏曲』

          熊大フィル第60回定期演奏会を聴いて

          本日2024年1月14日は、熊本大学フィルハーモニーオーケストラの第60回定期演奏会を聴いてきました。指揮には若手で活躍していらっしゃる矢野雄太さんを呼んできていました。自分が熊本大学で受け持っている学生も演奏に参加していたので、嬉しく見ていました。 演奏曲目はモーツァルトの序曲と交響曲を1曲ずつと、シベリウスの交響曲でした。交響曲2曲という硬派なプログラムです。サマーコンサートでフレッシュな演奏を堪能したので、楽しみに聴きにいきました。 今回、全体を通して感心したのは、

          熊大フィル第60回定期演奏会を聴いて

          明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。本年も週一投稿を目指してnoteを続けていきます。読んでいただければ幸いです。

          明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。本年も週一投稿を目指してnoteを続けていきます。読んでいただければ幸いです。

          2023年振り返り

          2023年もいよいよ終わります。例年のごとくあっという間だった印象ですが、思い起こすとものすごくたくさんのことがありました。私にとっては何と言っても川崎から熊本に引っ越し、熊本大学で特任准教授の仕事を始めたことが一番大きな出来事でした。また、2019年に自分が受賞するまで長年羨望の眼差しで見ていた芥川也寸志サントリー作曲賞の選考委員を初めて務めたことも忘れ難い思い出です。作曲もたくさんしました。仕上げた作品は曲集3つです。3つというと少なく感じられる方もいらっしゃるかもしれま

          楽譜のお勉強【番外編】レオシュ・ヤナーチェク『カプリッチョ』(後編)

          先週の投稿に引き続き、ヤナーチェク作曲『カプリッチョ』のベーレンライター全集版の序文を翻訳しました。 全集版楽譜は専門的な研究者が主要な校訂課程に関わって出版されます。そのため、制作にあたって参照される資料も膨大で、内容の信憑性が高いとされています。ヤナーチェクはいくつかとても好きな曲がある作曲家で、いつか記事で取り上げたいと思っていました。作曲家と演奏家、出版社等、音楽を発表する作業にかかる時間や苦労などを追体験できるエピソードを読むことができて、とても考えさせられる内容

          楽譜のお勉強【番外編】レオシュ・ヤナーチェク『カプリッチョ』(後編)

          楽譜のお勉強【番外編】レオシュ・ヤナーチェク『カプリッチョ』(前編)

          本日の「楽譜のお勉強」は番外編です。レオシュ・ヤナーチェクの『カプリッチョ』(«Capriccio» for piano and wind ensemble, 1926)の読んで、いつものように私のシンプルな考察を書いていこうと思い、楽譜をチェックしていました。しかしベーレンライター社のヤナーチェク全集版の前書きが読み物として興味深く、その翻訳をご紹介したいと思い直しました。最後に普及版の楽譜(音源動画に表示されています)と、より原典に忠実な全集版の楽譜の違いなどを少し述べま

          楽譜のお勉強【番外編】レオシュ・ヤナーチェク『カプリッチョ』(前編)

          下江津湖にて

          先日探訪した上江津湖に続いて下江津湖も見てきました。公園が併設されていて、週末は家族連れで賑わっていそう。上江津湖が小さめの湖が川で結ばれて並んだ感じになっているのに対し、下江津湖は雄大な感じで、感動的でした。どちらが良いということもなく、どちらも素晴らしく、気分に合わせてまた訪れたいです。上江津湖はハンバーガーが美味しいカフェがボートハウス脇にあるので、そちらの方に行きがちになってしまいそうですが。家から近いのも上江津の方ですし。ちなみに江津湖は厳密には湖でなく河川だそうな

          楽譜のお勉強【96】ジャチント・シェルシ『虹』

          ジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi, 1905-1988)は、20世紀後半における西洋音楽の一つのムーヴメントとなったスペクトル・ミュージックという音楽を志向する作曲家たちに強い影響を与えた、イタリアの作曲家です。極めて独自の様式を持ち、単音の持つ表情に魅了され、ほとんど音を動かさずに響きを変質させたり、響きに含まれる倍音を聞いたり、音高を微細な音程幅で漸次的に変容させたりする音楽は、「響きの構造」そのものに関心を寄せた作曲家たちを大いに刺激しました。多くの

          楽譜のお勉強【96】ジャチント・シェルシ『虹』

          上江津湖にて

          来年、熊本の自然をテーマにした曲を発表する予定なので今日は江津湖の北部、上江津湖を散策してきました。天草とか阿蘇山かを題材にすれば大スペクタクルの感じの音楽が出来そうなので、作曲開始までには行く予定ですが、まずは熊本市内の近場から見ていくことにしました。江津湖の北部、上江津湖を半日かけて散策しました。 たくさんの水鳥や魚がいて、水の透明度も高く、遠くから水面を眺めても小さい魚を認識できるほどでした。下江津湖はもう少し広い感じなので、また楽しみに行こうと思います。