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本の棚 #51 『行動経済学』エッセンシャル版

『行動経済学』エッセンシャル版
ミシェル・バデリー

ビジネスマンなら学んでおいたほうがいい

そんな学問ではないだろうか?

経済学が合理性の限界を認めようとしないという

頑固なスタンスなのに対して

行動経済学は合理的意思決定の限界に注目する。

人は何かの判断をするときに

常に合理的には判断できませんよ、というのが

行動経済学的なアプローチらしく

「限定合理性」「環境合理性」など

置かれる状況や環境といった要因において

人の意思決定は一定ではない、というのだ。

行動経済学は様々な実験データをもとに語られる

実はわかりやすく、身近な学問かもしれない。

そしてぼくたちは生活者としていろんな場面で

うまいことこの学問が利用されているのことに

読者は気づくことになるだろう。

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インセンティブとモチベーション

会社組織に属するものとしては

よく聞くワードではないか。

「モチベーションがあがりませ〜ん」なんて

居酒屋さんにいくと何回も耳にするし

インセンティブは人事制度である一定の売上を

達成したらプラス報酬が与えられるというやつだ。

著者はでは上記の2つを「外発的と内発的」に

それぞれ分類している点が興味が深い。

例えばモチベーション側でいうと、

外発的モチベーションは

個人の外部に存在するインセンティブや報酬
(お金、身体的脅威、社会的報酬)

内発的モチベーションは

個人の内なる目標や姿勢から生じる

そしておもしろいのが、

外発的モチベが内発的モチベを駆逐する危険性

というテーマで書かれた章だ。

これはお金などの報酬を人参のように吊ることが

本人が持っている内的モチベーションを

損なう、減退させる要因にもなるということだ。

そんな人参がなくても、いやないほうが

その仕事にまっすぐに取り組めるのに…

といったことを経験したことがぼくにもある。

要は何でもかんでも人参に頼っていては

本当に大切なものを失いますよ、

ということだろうか。


ハーディング現象

他者を模倣し、群れ(ハード)を形成し、行動をともにしようとする人間の社会的性質

他の人の選択に影響される

そんなことはないだろうか?

空いているレストランと混んでいるレストラン

なんとなく混んでいるほうに足が…

これもハーディング現象と呼ばれるもので

集団に加わる安心感であったり

人からどう思われるかを重要視する

そんな心情が行動に影響を与えるらしい。

電車に乗っていて、どっちが出口がわからない

そんなときはとりあえず前の人についていく

そんな行動もこの学問のなかでは

「ヒューリスティクス」

というハーディング現象に対する一つの解釈で

それは迅速な意思決定のための手段なのだ。

ゼロベースからの情報収集は時間がかかるから

すでにある情報を基準にして判断してしまう。

現在バイアス

後から多額の報酬をもらうより、額は減っても今すぐ報酬を受け取るほうを好む

【問①】どっちを選ぶ?
A:今すぐ10万円を受け取る
B:1年後に11万円を受け取る

この場合約80%がAを選択する。これが現在バイアス。しかーし

【問②】どっちを選ぶ?
A:1年後に10万円を受け取る
B:2年後に11万円を受け取る

この場合はどうだろう?ちょっと迷ったのではないだろうか?

ちなみにこの場合はBを選択する人が80%になるそうだ。

時間としては1年間多く待つのは変わらないのに...

そう、これが時間不整合性の現れらしいのだ。

こんな実験データがたくさん紹介されていて

それらがどんなかたちでぼくたちの日常に

落とし込まれているかも少しだけ書かれている。

やっぱり、人間ってすごいなと思った本だった。

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