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「インスリンの働き」初級講座② 血糖値を下げる

「インスリンの働き」初級講座
イントロ+まさかの修了書授与
②血糖値を下げる        ←今回
③ブドウ糖の取り込み
④タンパク質の合成を促す
⑤体脂肪の合成を促す
⑥語る前にセリフを覚えましょう
⑦インスリンが多すぎると困るわけ


インスリンにはたくさんの働きがあります。1つ1つチェックしていきましょう。

まずは皆さんお馴染みの、「血糖値を下げる働き」から。

血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度ですね。

血液中にブドウ糖が増えると、血糖値が上がります。

たとえば、食事から糖分(大半はブドウ糖)を摂ると、血液循環の中にブドウ糖がドサドサ入ってきて血糖値が上がります。

ブドウ糖は人体のメインのエネルギー源の1つ

血糖値が高まり過ぎるのは危険なので、高いまま放っておくことはできません。

血糖値が高まるとなぜ困るのか?
酸化反応糖化反応などの有害な化学反応が起こりやすくなるから。特にダメージを受けやすいのが、目、腎臓、神経組織などの毛細血管。
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、網膜症、腎症、神経障害などの合併症が進行しやすい。

だぶついたブドウ糖は
放置できない。
別の場所に移さないと危険!

そこで、通常は速やかに倉庫に移されます(1時間前後かかります)。

この倉庫役を果たしているのが、骨格筋です。骨格筋は体重の40〜50%を占めていて、人体最大のブドウ糖倉庫です。

食後に血液中に増えたブドウ糖の約8割が骨格筋に取り込まれる

ただし、ブドウ糖は自力で骨格筋の細胞の中に入ることができません。

インスリンのサポートが
必要になります!

今回は、以前に使ったイラストよりも、ちょっとだけリアルなバージョンで解説していきます。

受容体は、細胞膜の内外を貫通している


さて、ここは試験に出るので、必ず覚えてください(笑)。

高まった血糖値を下げる唯一の方法は、まとめて倉庫(骨格筋)に押し込むこと。

インスリンは、血糖値を下げることのできる唯一のホルモン。


では、「血液中のブドウ糖が倉庫(骨格筋)の前までやってきた」
という設定で、インスリンがどのように働くかを見てみましょう。

ブドウ糖は骨格筋の細胞の近くまで来たが、中に入れない

インスリンと受容体は、カギとカギ穴のようにピタッとはまるかたちをしています。インスリンは受容体を見つけると、引き寄せられるように近づいていき……

ステップ1:インスリンが受容体にカチリとはまる
ステップ2:受容体のスイッチが入り、連続した化学反応が起こる。
ステップ3:最終的に活性物質が作られて、細胞の中に放出される。

このあたりに問題が起こると、インスリン抵抗性が高まる

活性物質って初登場ですね。

この活性物質は、細胞の中で何らかのアクションを引き起こします。
活性物質にはたくさんの種類があり、アクションもいろいろあります。

今お話ししている「骨格筋にブドウ糖を入れたい」という状況ですと、受容体から飛び出した活性物質は、GLUT4を活性化させます。

細胞内で休んでいたGLUT4に出動命令が

GLUTは、ブドウ糖を細胞の内外に移動させるタンパク質。グルコーストランスポーターグルコース輸送体とも呼ばれる。現在までに14種類のGLUTが見つかっていて、GLUT4はその内の1つ。

活性化されたGLUT4はすぐさま細胞膜へ移動して、ブドウ糖を取り込むゲートになります。

ブドウ糖がどんどん倉庫に移されることで、血糖値が下がる

細胞内に取り込んだブドウ糖は、すぐに整理しておかないと片付きません。ブドウ糖を一列につなげて、グリコーゲンにしておきます。このプロセスも、インスリンが指示しています。

グリコーゲンは、ブドウ糖を貯蔵しておくかたち


最後にポイントを
整理しておきましょう。

食後に血糖値が高まった時には、すい臓からインスリンが分泌されます。

インスリンの作用によって、血中のブドウ糖は倉庫(骨格筋)へ次々に取り込まれていき、血糖値が下がります。

血糖値が高い時には、血液中にインスリンが増える

血糖値を下げるホルモンは、インスリンしかありません。
もし、必要な時にインスリンが十分に分泌されないと、血糖値は高いままになってしまいます。

極端に「インスリンなし」の状態になったのが糖尿病

初級講座③に続く……


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