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稲藁をもらいに行って『わらしべ長者』の「しべ」の価値が気になった日

いつも稲刈りは突然

「今年も年末に、しめ縄作りのワークショップしはるやろ?
私らもな、ムシロ編み機を修理してな、ムシロ編みたいねん。
藁をな、確保しといてくれんやろか??」
半年前から、地元老人会を取りまとめる先生からお願いされていました。
「藁そろそろやろ?たのむでなぁ」
と、月曜日に出会った時にも念を押され、そろそろ稲刈りかなあと心構えしていましたが、今年も突然でした。
お願いしていた方から夜に、
「明日な、稲刈りすんねん。何時ごろ来れる?」
というわけで・・・。
夜遅くになり、YOBISHIメンバーLINEに「明日お手伝いいただけるひと急募」お知らせしました。滋賀県多賀町土田にある田んぼに午前11時集合、1時間で束ねて持ち帰る予定!と。

しめ縄にするのは、もち米の藁

午前11時、すでにコンバインで刈り採られている!あぜ道に近い外回りからぐるりと真ん中を残すように。
「しめ縄にすんのは、背丈が長うてしなりのあるもち藁が一番ええんや」と教えてもらったのは3年前。右も左もわからんまま縄ない出来る藁をください!っと闇雲にお願いしたのが始まりでした。

もち藁は背丈が高い!
そして、鈴鹿山系が見渡せるところで稲刈り。

縄ない?縄ぬい?

いろんな方に「縄ない」教えてください!と聞くたび、帰ってくる言葉が「縄ぬい」か?と。縄を綯う「なう」ではなくて、「ぬう」なんです。

8種類もお米をつくている!

このあたりの稲刈りは8月20日過ぎから始まっています。周りはすでに刈りとられて青い稲が再び伸びてきた「穭田(ひつじだ)」ばかり・・・。早生(わせ)の品種と晩稲(おくて)の品種がどうやらあるらしいとは思っていました。栽培されているのは、もち米以外に、日常いただくうるち米も作っているはずと思い、軽い気持ちでどのくらいお米を作っているのか農家さんにお話を伺ったら、なんと8種類もお米を作っておられる!!
早生品種の「みずかがみ」から始まり、「コシヒカリ」「キヌヒカリ」「ミルキークイーン」「にこまる」「秋の詩」そして今年はじめて栽培した新品種、低い背丈が特徴の「きらみずき」。そして、今回藁ワークショップ用に束ねたもち米の「滋賀羽二重糯」。計8種!

何種類お米を作っているのか、指を折って数えています

稲藁を束ねます

コンバインでかなり速いスピードで刈っていますが、刈りとりと同時に藁も粉砕されて土の上にばらまかれています。
藁のまま残したい時は、お米だけコンバインで刈りとって、藁が綺麗に田んぼに並んで倒されます。
それを慣れない手つきで束ねて運びやすいように、また、干しやすいように束ねます。
両手でひとつかみ分取り、とんとんと地面に打ち付けて根元を揃えます。もうひとつかみ取り同じように根元を揃えて、根本の方でクロスさせて、二束一緒に束ねます。クロスさせることでハサガケがしやすくなります。
2~3本の稲藁を紐にしてねじって止めます。手袋を付けたままだと、手袋の指までねじって巻きこんでしまい、なかなか慣れるまで難しいです。
一列100mほどを束ねるのに5人で小一時間かかりました。あっという間にお昼12時。9月末なのに30度越えの湿度高め・・・。午前中でぐったりバテてしまいました。

一列に刈った後の稲が並びます。それを束ねます
とんとんと地面に打ち付け根元を揃えます
背景の白い花畑は多賀そばです。
トラックに運び積みます
一列100mほど束ねるのに5人で小一時間
運動不足で足腰がつらい作業
昔の人はすごい

昼休憩後、午後からも黙々と束ねます。
田んぼん中まで軽トラで入って回収したら早いで!と・・・。
午後からも1時間ほど作業。

満開の多賀そば畑の横を通り持ち帰りました。
さあ、次はハサガケ作業が待っています。

ハサガケします。
昨年は稲に残ったお米を取りに、お猿さんが何度もやってきて、
たくさん藁を持ち逃げされました・・・。

わらしべ長者

稲わらを束ねながら、「わらしべ長者」の話をひとり思い出していました。
縄ぬいをするときに、しべ取りをまず最初にします。丁寧な作業工程にびっくりします。
縄になる部分は、稲の茎で、葉の部分が「しべ」です。
「しべ」は取り除いてきれいにします。藁草履を作る時、この「しべ」のかたまりで縄の表面をこすって柔らかく磨くのに使っていました。
「しべ」のことを、このあたりのひとは「すべ」と言っています。
はじめ、「すべをとらんならんで」と言われて、何のことかちんぷんかんぷんでした。
縄にもできない、捨ててしまう部分「わらしべ」をこの時はじめて知ってしまいました。
かまどなどの焚きつけにして、藁灰にして肥料に使ったか、はたまた、土壁の混ぜ物に?「しべ」の使い道と価値を頭の中でグルグル問答し続けていました。
しべから物々交換してお金持ちに・・・究極の循環とSDGs?
このわらしべの価値を子どもたちはどう見るんだろう・・・と
黙々と藁を束ね続けた1日でした。

しべを取った後の藁がNさんの左奥に束ねられています
縄を磨くのに「すべ」を使う

さて・・・。
老人クラブの藁の使い道は、ムシロ作り。
ムシロを作って春になったら桜の下に敷いてお花見するんですって!
素敵!


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