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刑事ドラマは、アニメでやらない方がいい?

今秋のテレビドラマは「VIVANT」にハマってたんだけど、あれ以降にヒットしてるドラマはあるのかな?と思って調べてみると、これがまた全体的にビックリするほどの低視聴率だね。
ほとんどが1桁台じゃないか。
私が子供の頃は20%超えなどザラにあったのに、今では10%を突破するのも至難の様子。
ちなみにだが、今月の通算視聴率で二桁台は大河ドラマと「相棒」のみ。
大河ドラマは分かるとして、「相棒」の根強い人気には驚かされるなぁ。
正直私は数えるほどしか見たことないけど、比較的ありがちな刑事ドラマのバディ物だったと記憶する。

シーズン22って、どんだけ長寿番組なんだよ・・

じゃ、今回は少し刑事ドラマについて書いてみよう。
もともと、このジャンルはテレビドラマ界の花形であり、「太陽にほえろ」や「あぶない刑事」など伝説的作品は数多い。
ひとつターニングポイントになったのは、やはり「踊る大捜査線」だろう。
これの何がターニングポイントになったのかというと、それは犯罪の捜査という刑事ドラマの本分そっちのけで、警察内部の縄張り争いというリアルな組織描写をドラマの主軸にしてしまったことさ。
それまでの視聴者は、正直いって警視庁と所轄の関係性なんて知らなかったし、またキャリアとノンキャリアの違いや、警視庁と警察庁の違いなんかもよく分かってなかったのよ。
で、この「踊る」を契機にして、日本の刑事ドラマは大きく変わったと思う。
「ケイゾク」「アンフェア」「SPEC」など、警察を縦割りの官僚組織として描写することがもはや刑事ドラマの常識となり、かつての「太陽にほえろ」みたく牧歌的なものは絶滅したといっていいだろう。
そのシナリオは警察組織を紐解くことの方がむしろ主眼となり、スポットが当たるのはそれまでの花形だった捜査1課のみならず、2課や3課や4課、もしくは刑事部でなく警備部(公安課や外事課)がメインになるパターンも増えたかと。

原作小説を途中から完全無視し、オリジナルストーリーで暴走しまくった迷作「アンフェア」

ただ、そういうのに「ついていけない・・」と思ってるのが古き良き時代を知る高齢者で、私の母などはそっち系なんだけど、そういう層は割と2時間サスペンスが好きなのよ。
内藤剛志あたりが主役やってるようなやつね。
私もサスペンス・ミステリー物は好きなので結構チェックしてる方だけど、最近はどっちかというと地上波よりWOWOWオリジナルのサスペンスの方が面白い気がする。
あと海外ドラマもチェックしてるが、アメリカのは多くが1話完結物ゆえ、1話45分の中での展開があまりにも早すぎて好きになれない。
同じ海外なら、BBCとかの方がシナリオが丁寧で好きだな。
あと、サスペンスなら韓国ドラマも馬鹿にできない。
そもそも、韓国という舞台そのものが犯罪を描くのに適してるんだよ。
たとえば犯罪者が人を拉致する場面とか、日本なら人目を避けて拉致できる環境そのものが少ないけど、韓国は街灯ひとつない細い路地がやたら多く、拉致にはうってつけの環境なんだ。

私が最近見終えた「模範刑事2」 めっちゃ面白かった!

そして韓国ドラマの王道、財閥による犯罪隠蔽。
刑事が犯人を財閥の御曹司だと目星をつけても、財閥の圧力を受けた警察の上層部の指示で捜査を打ち切られてしまう。
それでも意地で犯人を逮捕したら、今度は財閥の圧力を受けた検察によって不起訴にされてしまう。
そもそも韓国には「自白屋」というビジネスがあり、おカネで雇われて逮捕→自白→裁判→実刑を請け負う人たちがいるというんだから驚きだ。
とにかく、韓国ドラマにおいて財閥はアンタッチャブルの聖域なのよ。
そりゃまぁ日本でも大企業は強いけど、一応は「権力じゃんけん」の法則があるでしょ。
政治家は官僚に強く、官僚は企業に強く、企業は政治家に強い。
逆にいうと企業は官僚に弱く、官僚は政治家に弱く、政治家は企業に弱い。
そういう政財官の均衡があるから、どこかひとつが突出して不可侵の聖域になることはないんだ。
だけど韓国の場合、財閥が政治家にも官僚にも強くて「じゃんけん」が成立せず、官僚である警察も検察も手を出せない聖域になってるみたいだね。
つまり、あの国では財閥の人間が人を殺してもお咎めなし、ということだろう。
日本で、そんなことあり得る?
そりゃ、天皇陛下が人を殺しても逮捕できないという話なら聞いたことあるけど、聖域はせいぜいそのぐらいだろ?
逆にいえば、韓国はそういう時代錯誤な理不尽がまかり通ってるからこそ、サスペンスドラマが日本より断然面白いんだよ。

「鴨乃橋ロンの禁断推理」

さて、アニメの方に目を向けると、今期はサスペンス物として「鴨乃橋ロンの禁断推理」に期待してたんだが、正直ちょっと期待外れだったね。
純粋な探偵物なら古くから「名探偵コナン」や「金田一少年」があるわけで、「鴨乃橋ロン」はどうしてもその二番煎じという感を拭えない。
同じミステリー系なら、今期は「薬屋のひとりごと」の方が断然に面白いと思う。
ただ「鴨乃橋ロン」は、警察の捜査一課が主体になってること自体がアニメでは珍しいことだし、どこか新鮮に感じたけど。
よく考えたら不思議な話だ。
テレビドラマではあれほど刑事ドラマが多いのに、アニメではそういうのがほとんどない。
「攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS」は刑事物にカウントできるかもしれんが、あれはどっちかというとSFのディストピア物だし。
現代日本を舞台にした刑事物となると、「名探偵コナン」や「金田一少年」のような探偵を主人公としたやつぐらいだろうね。

「金田一少年の事件簿」

ちなみに、「金田一少年」はアニメ化よりテレビドラマ化の方が早かったんだ。
他にも「魍魎の匣」「すべてがFになる」「サクラダリセット」「富豪刑事」といったサスペンス・ミステリー系の多くは、アニメ化より前に実写化されている。
思うに、やはりこういうサスペンス・ミステリー系は実写の縄張りなんじゃないか?
おそらく実写畑の言い分は、
「サスペンスなんて、アニメじゃなきゃ表現できないものじゃないだろ?
こっちはサスペンスがメシのタネなんだから、あまり邪魔すんじゃねーよ」
といったところだろう。
「お前らは、アニメじゃなきゃできない表現をやればいいじゃないか。
たとえば魔法とか、異能力とか、そういうファンタジーをやっとけよ」
という言い分も分からなくもないので、現実にアニメ界はそっちへ極振りをしてるのかもね。
・・ところで、「相棒」をアニメ化したらヒットするのかな?

原作ストックのせいか、「名探偵コナン」はテレビオリジナル脚本主体となり、最近面白くない

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