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セクシー田中さんから考える『摩天楼(1949年)』

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セクシー田中さんの記事をnoteに寄稿した。

寄稿後、ネタ探しの映画を観ることに。

映画評論youtubeチャンネル Blackholeにて、『摩天楼』がおすすめされていたので、観てみることに

めちゃめちゃセクシー田中さん問題やん

昨日、書いたし、後日にしようと思い、先延ばしにしていた。

『ハズビンホテルへようこそ』の考察も書き終わったので、レビューをしていこうと思う。

あらすじ


妥協を拒んで失職した建築家ハワードは石切工に身を落とす。ハワードを巡る世渡り上手な大学の同級生、彼を支持したことで自らの非を恥じ自殺する新聞社の社長、その娘で傲慢な婦人記者等、個性的な人物がからみ合い深みのあるヒューマニズム映画に仕上がっている。

Amazon Primeの動画配信ページより、引用

引用してから気付いた。

めちゃめちゃ大オチ書いてありますやん

キャラクター


ハワードローグ

主人公。建築家。自分の思い描く建築を誰にも、改変して欲しくない。それは、クライアントであろうと、上司であろうと関係ない。ジョジョに出てくるキャラクターぐらい自分の信念に実直。
(4という数字が嫌いとか、ヘアースタイルを馬鹿にしたら、ボコボコにする的な)

ドミニクフランコン

バナー社の建築コラムを書いてる女性。ハワードと会うまでは、愛を知らなかった。
登場シーンで、彫刻像をマンションから投げるサイコっぷり。

ゲイルバナー

新聞社の社長。
"人に要求するときは、頭を下げるか従わすか。私は、後者だ。"
そういう人である。

ピーターキーティング

ハワードの友達。建築家。
人の意見でしか、建築できない。
個性を殺した人。

EWトーヒン

バナー社で、建築コラムを書き、建築の仲介もやっている。
"芸術は、大衆の水準に落とさなければ、理解してもらえない"
大衆を操り、自分の思い通りにしようとする。

2度観た


先週、セクシー田中さんのnoteを寄稿後に一回。

あまり、頭に残ってなかったので、再度、見直すことに。

気付いたことがある。

翻訳バリ下手

例を挙げると、

EWトーヒンがキーティングに「お前の個性を殺したのには、2つ理由がある」と言ったら、1つしか理由がないとか。。。

最後のハワードの演説で、「創造者は、生み出し、彼らは、コピーする。」と語る。

「彼ら」は、「創造者」だと文脈的に思ったら、その前の話で、出てきた大衆を操るパラサイトのことを「彼ら」と言っている。

そういうのが散見される。
どうにかして欲しい。
白黒映画なので、しょうがないのか。

セクシャリティに刺さるドミニクフランコン


前半一時間

自分の理想の建築をしたいハワードは、契約が取れず無一門だった。

銀行の建築を任されるも、改変を受け入れらず、金が底をつき、フランコン家の石材所にて、掘削業務で、日雇い労働を行う。

愛を知らない女 ドミニクフランコンが石材所で、働くハワードを見て、一目ぼれ。
欲情した彼女は、それを信じらずに、ハワードに馬のムチを打ち付ける。

ハワードは、建築の発注を受け、ニューヨークへ。
ドミニクは、石材所に行き、ハワードが辞めたことを知る。

その後、バナー新聞社がトーヒンの助言で、奇抜なビルを建てたハワードを非難するキャンペーンを行うことに。

ドミニクは、建物を見て、感動し、非難をやめさせようとするも、バナー新聞社の社長 ゲイルに、俺の新聞に口に出すなと言われ、自分から辞職することに。

ドミニクがビルのお披露目パーティに参加し、紹介された男がハワードだった。
一目ぼれした男がハワードだと知らなかったドミニク嬢。

高飛車な女 ドミニクが
「あなたの勝ちだわ。愛してる。」「建築業界で、潰されるハワードを見たくない。田舎で、一緒に暮らして、別の仕事をしよう」
と提案するが、

「魅力的だが、断る。逃げてもしょうがないことを証明したら、迎えに行く」
というハワード。

ドミニクは、プライドが高いため、前から結婚を迫られていた好きでもない。いや、嫌いな男 ゲイルと結婚することになる。

ハワードは、非難キャンペーンによって、一方的に、契約を切られ、一から、建築業を始めることになる。

ガソリンスタンドの建築から始め、数年で、建築界でも、名を挙げるようになる。

ゲイルは、ドミニクのために、監獄のような別荘を作ることに。
ゲイルは、ハワードをおとしめたキャンペーンを忘れ、ハワードに建築を頼む。

それをドミニクに伝えると、
「ゲイル忘れたの。私がバナー社を辞めた理由を」

ゲイルは、真意を確かめるためハワードのところへ。
しかし、ハワードは、「そんなこともありましたね」
彼は、自分の信念に強く、キャンペーンで、動じる男では、ない。

ハワードとゲイルは、似た者同士であるとお互い感じ、仲良くなる。
一緒にヨットに乗って、数ヶ月、旅に出るような始末。

それをヤキモキしながら、見ているドミニク嬢。

ドミニクが可愛い

その美貌とルックスは、もちろんなのだが、ふられた大好きな男と大嫌いな男がイチャイチャしているのを見て、ヤキモキしてる感じがかわいい。

当方が一番好きな映画 マルコビッチの穴のラストを彷彿させられた。

この映画を見て、自分の中に、新たな癖があるのかもしれない。という疑念が生まれた。

ドミニクがどんどんプライドを崩されていく様がなぜかいい。
なんでだろう。

ハワードの
"大理石は、緑と白があり、緑は偽物。大理石は、一度、圧力が加わると、その圧力で、色の帯が出来てしまう"

という言葉に、俗にまみれ、汚れた自分を言い当てられた気がして、怒るドミニク嬢。かわいい。

理想と大衆


後半

都市開発の設計を頼まれたピーターキーティングは、同級生であるハワードに設計を自分の名前で、設計するよう頼みに来た。

ハワードは、「設計のどこも改変しない」ことを条件に承諾する。

しかし、ヨットの旅から帰ってきたハワードは、設計が変更されたことを知る。

許せなかったハワードは、爆発を起こし、ホテルを破壊する。

ハワードの出た釘を打ちたいEWトーヒンは、大衆を集め、演説をし、ほかの新聞と共同して、ハワードを陥れようとする。

ハワードを守りたいゲイルは、初めて、自分が操ってきた大衆と対治することになるが、社員も辞めていき、敗北。

株主総会にて、退任。ハワードを貶める記事を寄稿する。
ことを迫られ、承諾してしまう。

ハワードは、裁判にて、「自分の信念を貫く権利を確保したい」と訴え、無罪判決となる。

ゲイルは、ハワードの演説を聞き、自分を恥じ、自身の夢であるニューヨークに巨大なビルを建てる契約をハワードと交わして、自害する。

ドミニクは、ハワードと結婚して、ハッピーエンドを迎える。

感想


最後のハワードの裁判での演説は、70年前の映画なのに、個人主義が奪われ続けてる現状でも、通じる内容である。

インターネットの登場で、個人が発信出来るようになった時代だが、人に強制されない思考を各々が持っている訳ではない。

今作の女性原作者 アインランドは、脚本を守るため、ワーナーと一言一句変えない事を条件に映画化する契約をする。

アインランドは、度々、撮影現場を訪れて、改変されていないかをチェックした。

監督は、劇中最後の演説が長すぎるので、カットしようとしているのを知り、ワーナーの社長に要求を遵守するよう手紙を送って、それを防いだ。

唯一の改変点は、ゲイルとドミニクは、離婚するはずなのに、映倫によって、自殺の改変をさせられている。(キリスト教の教えに背くから?)

セクシー田中さん事件も今作の作中で、ハワードが演説した「個人と集団との対立」である。

ハワードの演説を引用する。

設計図が財産なのに、契約で、奪われてきた。懇願さえも許されない。

同意なしに他の人がどう料理しようと勝手だと思われてきた。

設計通り建てる約束で、引き受けたものだ。
そこに価値があるのに、裏切られた。

勝手に手直しをして、私の作品を台無しにした。

私がここに来たのは、私の努力や作品が冒されぬためである。

当方がセクシー田中さんについて、noteを書いた翌日に摩天楼を視聴したので、セクシー田中さんを想起せずには、いられなかった。

ハワードは、大衆がどう言おうと迎合しない強い人間である。
誰もが、そう言う訳ではない。所詮、フィクションである。

70年以上前の映画だが、セクシー田中さん問題で揺れる2024年の日本で、導かれるように観た映画だった。


読んで頂き、ありがとうございます。
愛してるぜ!!





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