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R5年度 研究授業まとめ060131

久々の言語化になります。
最近改めて、過去の自分の振り返りが大事だなと思ったので、書き残したい欲求が現れた時に、こちらに残します。
今回のテーマは、「研究授業」
急遽、学部の全教員が見に来ることになり、個人的にとても面白かったので、まとめていきます。


・授業内容


ろう学校中学部、準ずる教育課程、1年生社会 歴史的分野の摂関政治のところで行いました。これまでは地理的分野で研究授業を行うことが多かったのですが、久々に歴史的分野で挑戦です。

・研究のポイント

今回は1点のみで、「教材作成の工夫と効果的な活用」です。
主に使う教材はPowerPointのスライドです。
聴覚障害のある生徒たちにとって、視覚情報はとても大事な役割があります。聞こえにくさがある分、言葉が入りにくく、文章から想起というのが思いの外難しかったりします。写真やイラストを授業の話の中で織り交ぜやすいという点で、ろう学校においてはPowerPointのスライドは必須アイテムとなっております。
ただし、スライドには、次のスライドに進むと、前のスライドの情報が残らない。という欠点があります。だから板書の活用もよく言われます。しかし、この板書には時間が掛かるという、これまた欠点があるのです。
今回はこの「情報が残らない」「時間が掛かる」の欠点を埋めるべく、教材を作りました。

・教材の工夫

という訳でスライドの改善を検討しました。
その結果、スライドの下部に最大7つ矢印ゾーンを設け、矢印の中に出てきたキーワードを埋めていくというアイディアを思いつきました。
一度出てきたキーワードは、次のスライドからも残ります。
またキーワードの羅列では意味がわかりづらいので、例えば「理由」「結果」「良い点」など端的な言葉でキーワードを引き出す発問ワードも載せました。
情報が残るだけでなく、1時間の見通しにもなります。
この教材の開発により、板書が苦手な僕も最低限の板書で済むようになりました。

・成果と課題


まずは成果。
・そもそも細々とした発問を多く設定していたため、生徒の考える機会が充実していた。
・身近な題材を用いた(藤原氏の家系図の説明でサザエさんの例を活用した)ことで、心理的なハードルが下がり考える意欲が高まった。
・結果として最後に矢印内のキーワードを定期的に確認し、知識として定着しやすくなった。
(最後に矢印内のキーワードを全て空欄にした際に全て答えられていた。)

次に課題。
・生徒間のやり取りがかなり少なかった。(生徒対教員の構図から逸脱しなかった)
・ろう学校の日本語指導の観点から、生徒の答えを単語レベルで納得してしまっていた。(「〜だから。」「〜でした。」など文章で答えるべき)
・話を噛み砕きすぎるあまり、歴史を学んでいる感覚が薄れてしまっていた。
・授業内容を教科書見開き1ページにこだわり過ぎていたため、情報が混同しやすく、核になる部分が薄れてしまった。

・消化しきれなかった点

今回は、道長の強さの訳を藤原氏の家系図から読み取るという活動に重きを置きました。今回は18名分の家系図を採用。そもそも家系図に見慣れておらず、情報を掴みにくいこと想定していたため、まずは夫婦・親子の三角形を確認し、その後サザエさんを例に当てはめて考えてもらいました。
この時に発問を重ねていくのですが、なかなか正解ができず、参観してくださった教員から沢山のご意見をもらいました。
確かに複雑ですし、正解を出すまでに沢山失敗をして時間もかかりました。
そのため、家系図の簡略化の提案を複数頂きましたが、僕個人としては、間違えながらももがいて正解を掴み取るプロセスが理解の深さや達成感を生むと思っています。簡略化したところで、間違え方(道長の娘は何人?に対して全体の人数を数えてしまったり、4人の娘は誰と結婚した?に対して天皇など)はきっと変わらないとも思ってしまいます。
僕自身噛み砕いて説明するための教材を準備していたが、家系図の難しさとのギャップが教員からはよく目立ってしまったというフィードバックもあり、それが1番しっくりきているかもしれません。

・いただいたフィードバック

成果と課題のところで書いたことは、ほとんど頂いたフィードバックによるものです。他にも色々なご意見を頂けたので、少し残したいと思います。
・まず1番嬉しかったことは、授業や指導を大切されている管理職から指導案についてお褒めの言葉を頂けたことです。前任校で尊敬する先輩にみっちりご指導頂けたことが、ここで花開いたなと感じられました。
・思いの外、良かった点として複数上がったのが「良いテンポ」でした。こちらはあまり意識は出来ていなかったので、その場の緊張感+僕のスタイルなのかも知れません。ただ、「いいテンポ」だと何がいいのか?についてはまだ咀嚼し切れておらず、「生徒の集中を切らせない」というのが今の所一番フィットしています。ただご意見がなく心配に思うのは、早口ではなかったのかな?という点でした。
・課題としては、道長が歌った自分の人生を満月に重ねる歌の「足りないものは無い」という二重否定の説明力や、「望月」という言葉を抑えきれなかった点などが挙げられ、こちらも納得でした。

まとめ

ろう学校の授業では、1コマのなかで、「各教科+日本語指導」が鉄則としてあります。今回の授業においては、各教科の部分に重きを置いてしまった形になり、改めて日本語指導の力不足を痛感しました。
教材については毎年改善を加えて、フォーマットを変えて実践をしているところです。これまでの改善は自分の未熟さによるもので、「なければ言われる。あっても褒められない。」という当たり前レベルの改善でした。ですが、今回の矢印については共感してくださる先生もチラホラいらして、初めて「これはあった方がいいね。社会以外にも使えそうだよね。」と言ってくださいました。その通りだと思います。実際に他学部の若手の先生が理科の授業で使ってくれることもありました。
今回の研究授業は多くの人に見ていただき、成果や課題だけでなく、改めて自己分析をする機会となりました。
とても有り難い機会だったので、来年度もまたがんばりたいと思います。

最後にスライドの一部を乗せておきます。


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