野菜をたくさん食べたいとき、皆さんならどうするだろうか(突然の問い)

昨今の私の場合、どろどろタイプのトマトジュースを基材にしたカレーを作って水分の一滴まで野菜成分を味わうことに頼ったり、冷蔵庫の野菜を片っ端から分厚いガラスのボウルに入れてシリコンの蓋をしてレンチン、からのちょっと高いオリーブオイルとちょっと高いバルサミコとこれまたちょっと高い塩をグワァとかけてモリモリしたり、という方法をとることが多い。
出先なら頼りがちなのはコンビニで、なぜならばありがたいことにほぼ常時カット野菜が手に入るのでそれらをモシャモシャいったりする。

しかし10年ほど前だろうか、一番今までで「あー野菜、野菜食べたい」という渇望を満たしてくれたのはしゃぶしゃぶだ。
それも、お店のやつだ。

前提として、なぜか時々私の体は野菜を爆裂に欲する時がある。普段から食べてるには食べてるし、特定のビタミンが足りないみたいな感じもあまりない。なのに、「無理、とにかく、野菜！」みたいなタイミングがままある。
そういう時はもう素直に野菜をメリメリモリモリいただくのだが、選択肢がかなりあるうえ自分のお財布やスケジュールとも相談が必要だったりする(大袈裟)。

その日の私は朝から、絶対今日は学校帰りにしゃぶしゃぶに行くという意識が頭から離れずにいた。なぜしゃぶしゃぶかというと、その日のちょっと前に友人と行ったときに野菜をもりもり食べた記憶があったからだ。オーダーするタイプではなく、サラダバーみたいなタイプのしゃぶしゃぶ店だったのも気に入ったのだろう。

今でこそ「おひとりさま」はごくごくありふれた人員構成だ。一蘭さんや焼肉ライクさんのように1人でフラッと来られることをむしろお店の特徴やセールスポイントにしているお店だってあるし、ソロに特化した店舗のみならずあらゆる業態で1人でいられる。そんな今の世界は気楽で私はすごく気に入っているのだけど、まだ私が学生だった頃はそうでもなかった。

まして、しゃぶしゃぶ屋さんに1人で足を運ぶお客さんはそう多くなかったはずだ。その証拠に「1人です」と伝えた店員さんは「おひとり…ぁお一人！？」と聞き返してきたもんな。わかるよ。でも一人です！！！！！しかも、食べ放題でお願いします！！！！＼ドーン／

めっちゃワクワクしちゃった。食べ放題にも色々あって、肉が複数選べたり、飲み放題がついてたりする。でもね今日の私は野菜が食べたいんだな！ということで選んだのは野菜食べ放題でそれ以外はアラカルトというプランだった。これが、イイ…何って安いのだ。ありがとうね。

スープを選んでいざ実食。もう私のことは止めないで。貴重品を身につけたら座席から解き放たれて手には大皿。大人買いはまだしたことなかったけど大人取りをしましたね。端からどんどん盛ってガンガン重ねて、そうこうしてるうちに私のお皿は野菜の山ができていた。一概にただ緑とも言えないカラフルさ。春のお山みたいだね。

そして無我夢中で食べる。ン〜〜〜おいし〜〜〜である。もうただそれに尽きる。ああ、青虫とかシマウマとかの気持ちめっちゃ今わかる。美味しいね〜植物！！願いも夢もそう簡単に叶わないことを少しずつ悟り始めた年齢なのに、朝から野菜のことだけ考えていたのが夜に叶った。しゃぶしゃぶ屋さんありがとう。お給料くれるバイト先ありがとう。おいしい！おいしい！！おいしい！！！二周目のくたっと甘いネギを食みながら喜びも一緒に噛み締めていた。ごまだれの味がした。

半個室の中には私一人、この食卓は言わば誰にも邪魔されない不可侵の植物園である！！誰にも邪魔しないし私も誰をも邪魔されない！！！
フハ、フハハハ！！！！

しかし

会話がないということはつまり常に食べ続けられることでもあった。何を意味するか？秒速で満腹になってしまったのだ。オイオイまだ10分くらいしか経ってなくね…？と思いつつ野菜を貪る。こうなってくるとお肉も食べたくなって頼んだらまぁタンパク質のコクというものは素晴らしくてこれはこれでどんどん進む。私はライオンの素質もあるわね獅子座だし…と思いつつ堪能していたがしかしやはり無言で音速、即満腹であった。

うーん臨界点でもアイスは食べたい…
でもな…

と思ったあたりで撤退を決めた。美味しく食べねば失礼だ！あとなんかちょっと急に恥ずかしくなってしまった。一人で畑ひとつぶんくらい食べた後でなぜこんな感情になったのか、今更ウケている。ご馳走様でした。

実に濃密な20分で(短っ)、あれはあれでいい思い出。大切なひとの前では素直になれるのもよくわかるし私もそうだけど、一人でいる時こそ自分に素直になれるよなぁと、ふと今でも思ったりするのだ。

また不可侵の植物園に鎮座する巨大青虫となって、いつか蝶になれるんだろうかなんて思いながら野菜をモリモリ食べに行こかな。

しゃぶしゃぶ、大好き。