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円安実感❗️生ハムピッツァ

ロンドン旅ご飯日記3ページ目でございます!
前回記事はこちら、宜しければぜひお立ち寄りください  

斯くしてロンドンはヒースロー空港に到着し、長い通路をてくてく歩き、出口へと辿り着いた。

外に出る前にお水を買っておこうか、と売店に立ち寄りエビアンを手に取った。
確かあれはちょっぴり高めの空港価格で2.5ポンドとかだったと思うのだが、最近は驚くほどに日本円が安く、大体私が旅した当時は1ポンド185円とかであった。つまりお水は一本約463円。フーン…なるほどね…!と思わずニヤ、と笑ってしまった。
463円のお水は機内でカラカラに乾いた体にスイスイ染み渡ってたいそう美味しかった。

さて、到着したのは15時頃で、なんやかんや空港を出られたのは17時をすぎた頃であった。手荷物受け取りというものはいつもソワソワするが、今回の旅は夫のスーツケースを新調したこともあってとりわけそれが長かった気がする。そこからピカデリーラインという地下鉄に乗り、滞在したホテルのあったチャリングクロス駅を目指した。

狭くて長距離の電車の中では色んな人が行き交う。袖擦り合うも多生の縁なら、地下鉄乗り合わせもその類だろう。目の前に座ったお兄さんのTシャツに「Look deeply 世界的に見る」というショッキングピンクの洒落た刺繍があったことを、きっとしばらく忘れないと思う。

おおよそ1時間程度だったと思うが着いた頃には真っ暗で、だけど体は元気だった。チェックインして荷物を置き、近くのコヴェントガーデン駅に徒歩で向かう。そこは劇場がたくさんある繁華街で、従って何かしらの食べるところもあるだろうと目論んでのことだった。

コヴェントガーデン
可愛かった夜道

土地勘もなければ名物も知らない初めてのロンドンの景色は、技巧的な装飾の凝らされたあらゆる建物が街灯に照らされている幻想的なものだった。通りの向かいにある建物に見惚れていると、その視界を二階建ての赤いバスが横切る。街の人々は皆、ものすごくオシャレに見えた。

コヴェントガーデンに着いたが、しかしやはり疲れていたのか何を食べようか全く判断ができない。そういう時の私ったらいつも本当に天才なのだが、我々がピザとパスタを美味しくないと思ったことがないのでイタリアンにしましょうと提案した。ピザパス絶対賛成派の夫は二つ返事で承諾した。イギリス到着即イタリアンである。今となっては空腹に追い込まれていた際の行動として笑い飛ばしてしまいたい

そこで、店構えが緊張しなさそうなお店に入り、「おそらく生ハムのピザ」と「おそらくいわゆる普通のラザニア」、そしてビールとレモネードを注文した。英語はわからないわけではないが、レストランの文字からだけはメニューや量の全貌までは掴めない。めちゃくちゃデカかったらどうする?その時は大喜びしよう、としばし待った。

そして来たご飯たちは、日本で言ったら大盛りくらい、でも全然美味しく食べられるようなサイズ感で、ピザもラザニアも具がドッッサリ乗っていた。目視可能な野菜はみじん切りの玉ねぎのみ、うーんこれは潔い。

たちまち空腹がピークを迎えた私たち、ロンドンに乾杯しピザを頬張った。
ペパロニに加えて塩気のある生ハムが乗っていて、薄く覆われたチーズがまた美味しい。でも特に驚いたのは小麦の香りだった。生地が、美味しい!薄くムチっと柔らかくて、なのに外カリ中モチの感じがする。芳醇な穀物の香りがジューシーな加工肉と合わさったときの奇跡みたいな香ばしさときたら!うーん、やっぱり美味しいね、としみじみ味わった。小麦が美味しいのはどうやらロンドンのあらゆるものに共通するみたいで、その後の日程で食べたパンやスコーンやケーキなどなどもすごく美味しかった。

ラザニアの方も大変よかった!…のだがしかし、「旅先」と「ラザニア」の組み合わせとなると、新婚旅行のイタリアで巡り会った生涯ベストのラザニアの姿を思い出さずにはいられなかった。

あの時のラザニアは神がかっていた。そのお店にはベジタリアンラザニアと普通のラザニアがあって、迷っているとお姉さんが一言「両方です」と言ってくれたのだ。それがなんだか面白くて素直に従ったところ、普通のラザニアはトマトと肉とパスタとハーブの、ベジタリアンラザニアは山盛りのトリュフとスパイスとカボチャの、それぞれが完璧に美しい音楽みたいな調和を呈しており夫は眼前に置かれた瞬間いい香りが押し寄せてきて文字通り泣いていた。食べ物に感動してボロ泣きした体験は私は残念ながらまだなく、なんつー感受性だよ…!と感動したが、確かにその二つのラザニアはそれぞれにまたとない味わいであった。

話をロンドンの夜に戻す。
すっかりお腹いっぱいになった私たちはお会計をしたのだが、ラザニアとピザとドリンク二杯で45ポンド、日本円にしておよそ8500円だった。ワーオ、なるほどね???これが………円安………と新鮮な感動さえあった。「物価が高い」というよりかは「円が安い」の感覚というか、例えば1ポンドが100円だったとしたら4500円で、お店やメニューの体感としてはそのくらい感じの食事であった。それでもいい。高くてもいい。ピザもラザニアも美味しかった。たまたま今この時代に巡り会えたとして、伴う数字が新鮮だったとして、その事実は変わらないのだ。

とはいえである。
大体いつもお金を使う方針として「あらゆる意味で後悔のないように」程度の構えでいた。加えて旅先では「せっかくだし」という心理も結構働いちゃう性分なのだが、今回のピザを受けて「旅のテーマは『吟味・厳選・納得』で行こ…」と誓った夜であった。約200倍の数字でも欲しいと思うか、というのはパンチがありすぎる。よく悩み、よく観察し、よく判断せよ、と自身とお財布に言い聞かせたのであった。

ビッグベン
隣の宮殿
ひときわ素敵だったこの建物はホテルらしい

お腹いっぱいのロンドン初日の夜は、とても素敵だった。腹ごなしに散歩して、夜の時計塔を眺めてから帰って眠った。

ピザ、あとラザニアも、大好き。

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