見出し画像

会社が明日なくなっても生きていくことのできる人材を。組織のカルチャーの浸透の仕組みづくりに挑戦。/樋口康太郎さん

このインタビューは株式会社WAT COOの樋口康太郎さんにご協力いただきました。株式会社WATは、「思いやりにあふれ、寛容な社会を実現する」というビジョンを掲げていて、飲食プロデュースを中心に様々な事業を展開されています。

樋口さんは、東日本大震災のボランティアやコンサル会社などを経て、2021年4月1日にWATのCOOに就任。全社をマネジメントする立場から、「組織のより良い在り方」についても日頃考えておられます。これまでどんな経験をされて、今に至ったのか。コーヒーや紅茶片手にぜひご覧ください。

自己紹介


樋口康太郎
神奈川県出身。建築・都市開発の会社を経て飲食業界へ。株式会社WATではカフェやコミュニティづくりを中心とした店舗の運営、企画・プロデュースを経て、会社組織全体の運営やマネジメントに携わる。株式会社 WATCOO
https://wat-inc.jp

株式会社WATについて


――樋口さん、今日はよろしくお願いします!樋口さんとは、私が独立する前から随分お世話になっていますね。改めて、株式会社WATについて教えてください。

樋口:原田さんとは随分長い付き合いですね、今日はよろしくお願いします。WATは、カフェやコミュニティづくりを中心とした店舗の運営、企画・プロデュースなどをやっている会社です。

従業員数でいうと、社員(正社員、契約社員)、アルバイト、業務委託含めて200名弱の組織です。かなり大きくなりましたね。実は僕も元々は業務委託契約だったんです。

ーーそっか、樋口さんも業務委託契約だった時期があったんですね。WATといえば、多様な雇用形態の人がいるところが一つの特徴だな、と思います。

樋口:そうなんです。雇用形態が多様なことに対して、元々抵抗は少なかったです。「どんな雇用形態でも受け入れられる会社になりたい」と僕も石渡(CEO)さんも言ってたしね。

そもそも、働く時間に対して縛りがあることに疑問があったんですよね。本当に多様性を認めるなら、働きたい人が働ける環境が必要なんじゃないのって思っていて。

みんながそれぞれの働き方を認め合っている状態。それが働くことの多様性なのでは?と今でも思っています。WATは、コンパクトな会社ならではの柔軟性があると思います。

事業戦略と組織戦略を同時にやる


ーー樋口さんは全部署をマネジメントしているイメージがありますが、普段から組織運営する上で意識していることってありますか?

樋口:事業戦略と組織戦略は同時に全てやるぞと思っています。どっちが先でもないかな。WAT自体が、飲食店舗運営、製造部門等、ステークホルダーもコンテンツも多様で、一般的な飲食店とは違う。

つまり、ミッションが多様なんです。そんな中で一番大事にしたいと思っているのは、「みんなの力をどう引き出してチームマネジメントをしていくか?」ということ。加えて、「自走する組織」ありきで考えることがカルチャーになっていると思います。

ーー「自走する組織」というカルチャーは、私もWATで働いていて感じますね。

意識している3つのこと


ーーそのほかに意識していることはありますか?

樋口:3つあります。1つ目は、「どうWATのカルチャーを浸透させていくか」です。カルチャーの浸透が上位概念としてあります。

例えば、コンピテンシーとかは、会社として「こうなって欲しい」が文章化されているものです。今の時点でWATが社員に求めていることは「WATが明日無くなっても生きていける人」になって欲しいと思っています。一方で、組織はナマモノですし、変化していきます。組織の大きさや変化に合わせてブラッシュアップし続けています。

ーー確かに、変化に合わせていつもブラッシュアップしているイメージがあります。

樋口:2つ目は、「店舗運営の自分ごと化」です。WATの仕事はただ店舗を開発するだけではなく、運営もしていかなければなりません。ある程度の責任と裁量が求められます。

そんな中でどうやって店舗を自分ごととして捉えてもらうか。その為に導入されたのがOKR(Objectives and Key Resultsの略で、目標を設定・管理するためのフレームワークのこと)という制度です。

OKRを導入する前は、アジェンダ作りや何をするかは店舗責任者がやるという自由度の高い状況でした。慣れている人からするとどうってことないことでも、慣れていないとやり方から伝える必要があります。結果、店舗によってクオリティに差が出てしまって。

現在は、WATなりのOKRを作って運用していることもあり、クオリティも担保されるようになってきました。OKRは自分たちで目標を設定して達成度合いも報告するので、自主性も高まっていると感じます。

ーー私もWATにいた頃、自分でOKRを立てていたので、自分ごととして目標の達成に向けて動いていたなと思います。

樋口:3つ目は、「積極的な情報開示」です。全店舗のPL(店舗の収益構造)を全て見える化、数値の読み取り方を教えるようにしています。

先ほども話した通り、WATが目指している人材は「WATが明日無くなっても生きていける人」です。ただ店舗を運営するだけではなく、経営という視点から、事業計画や運営計画を立てられるようにすることも意識しています。

良い組織とは、愛が溢れている状態


ーーここまで、組織運営で意識していることを聞かせていただいたのですが、樋口さんが考える「良い組織」とはどういう組織だと思いますか。

樋口:難しいこと聞くねえ(笑)。最近、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んだのですが、まさに愛で溢れている状態は良い組織なのかもしれないなと思います。

WATが大切にしている、多様性を受け入れるということも、愛があればできることなんじゃないかなと。「あの人がこんなことを言っていて困る」とか「あのチームはダメだ」とか、そういう不平や不満は、もちろんより良い組織を作る上で耳を傾ける必要があると思うけど、愛があればそういう発言も減っていくと思う。個人でも組織でも、ちょっとしたことでも充実感を感じられる状態にしておきたいですね。

1年生の状態を常につくる。


ーーここまで色々と聞かせていただき、ありがとうございました。最後の質問になるのですが、樋口さんが経営する上で特に大切にしていることはありますか。

樋口:そうだなあ、「心が折れないようにすること」かな。やっぱり、心が折れたら動けなくなるんですよ。僕が全て嫌になって投げ出したくなってしまったら、みんなに迷惑がかかります。だからこそ、客観的に見て「今、自分は大丈夫だろうか?」とメタ認知の視点を持つようにしています。

最近は、誰かに何かをする前に、自分を整えておく必要があると思っているので、メンターをつけています。ひたすら話を聞いてくれる人です。それに、こうやって、客観的に話を聞いてくれる人がいると、自分自身も変化していると実感できます。

ーー心が折れないようにすることは、とても大事だと思います。自分は大丈夫だ、と思っていると結構危険だな、と。

樋口:あとは、「1年生の状態を常に作る」ということ。超ど素人でいる。僕、飲食業界に入ったのが30歳の頃なんですが、その年齢で新卒と変わらない給与だったんですよ。

でもだからこそ、頑張った。自分は未熟だと思っていると、頑張る状態をキープすることができます。今はもう40歳以上になって、叱ってくれる人が減りました。だからこそ「1年生の状態を常に作る。」ことを意識しています。「俺の方がわかっている」と思うことを手放すように心がけていますね。

ーーーーーーーーーー
樋口さんのお話を聴くなかで、今回出てきたキーワードは「組織のカルチャー」と「未熟さをあえてつくること」。

組織として大事にしたい方向性を常にブラさず事業を推進しつつ、同時に自分自身の在り方を整え、成長という視点を持ち続ける。

より良い組織づくりとは、自分づくりでもあるのではないかと思いました。

そして、WATのように、会社として大事にしていきたいこと、達成して欲しいことを社員が理解できるようにコンピテンシーにすること。そしてOKRなどの目標設定制度を導入すること。

組織の中で、カルチャーを浸透させるための仕組みづくりの重要性も感じました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2023年4月より、「より良い組織づくりの実践者インタビュー」を個人の活動として始めています。このインタビューを通じてより良い組織とは何なのかを探求し、言語化していきたいと思っています。

なぜインタビューを始めようと思ったのかの詳細は、こちらのnoteをご覧ください。


今後もインタビューは継続していくので、最新情報をキャッチしたいと思ってくださった方は、よろしければ下記のアカウントのフォローをお願いします◎

X(旧twitter)
twitter.com/yuka5139
note
https://note.com/yuka5139



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?