麻木香豆

小説、絵を描く人間。 小説は色々なところで。 https://potofu.me/y…

麻木香豆

小説、絵を描く人間。 小説は色々なところで。 https://potofu.me/yukai3dayo

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  • シノノメナギの恋煩い

  • エッセイ

    エッセイ集

  • (BL)李仁と湊音四コマ2022

    李仁と湊音の四コマ BL作品です

  • ドメスティックプロフェッショナル

  • 140字小説集

    140字小説を新旧問わず置いておきます

記事一覧

固定された記事

第一話:シノノメナギの恋煩い

とある収録スタジオ。 初めて訪れるテレビ局にわたしはとても緊張して手汗が止まらない。 そんなわたしのてにポン、と大きな手がのる。 「大丈夫やて、練習通りすりゃええ…

麻木香豆
2週間前
5

第十話 シノノメナギの恋煩い

わたしたいはいつも図書館から歩いてすぐのさびれた商店街の中にある焼き鳥屋さんで飲むことが多い。 夏姐さんの家の近くでもあるし、焼き鳥も炭火焼きで美味しくて土手煮…

麻木香豆
5時間前
1

第九話 シノノメナギの恋煩い

裏のスタッフルームではデスクでパソコン作業しているのが夏姐さん。わたしより10いくつ歳上で先輩。中高生の男の子3人の子供を育てるシングルママなのだ。 「今日、晩ご…

麻木香豆
1日前
4

第八話シノノメナギの恋煩い

次の日、昨晩のお酒がちょっと抜けないまま出勤。少し顔が浮腫んでたけど……。お酒には弱くないけど。 今日も出勤。施設のイベントスペースにてボードゲーム展。いろんな…

麻木香豆
2日前
3

第七話シノノメナギの恋煩い

「意外と出会いあって羨ましいわよォ」 と言うのは大学のサークルで一緒だった薫子(本名は薫、わたしと同じ心は女で派手な格好をしているドラグクイーンみたいなメイクア…

麻木香豆
3日前
4

第六話シノノメナギの恋煩い

数日後のこと。 今私は図書館前の落ち葉を掃除している。 図書館の入っている施設には図書館以外にもカルチャー教室や喫茶店が入っているし、施設全体を掃除する清掃会社…

麻木香豆
7日前
8

第五話 シノノメナギの恋煩い

「あなたー」 「おう」 門男のところに小柄の女性が駆けてきた。近くに住んでいるのであろう。スリッパである。見た感じ50前後。そしてわたしよりも背が低い。 「あなた、…

麻木香豆
9日前
6

第四話 シノノメナギの恋煩い

なんだかんだで今日も今日とて仕事だ。この図書館にはもう長く勤めている。 大学卒業してすぐだ。地元の図書館。 大学の時に研修としていた頃からだから……うむ、長い。 …

麻木香豆
9日前
2

第三話シノノメナギの恋煩い

視力が低いことが助かってか本来の姿を薄目でみて現実逃避して湯船に浸かる。 わたし自身男の体を持って男という戸籍を持ちながらも心が女の子と自覚したのは結構早い時期…

麻木香豆
11日前
2

第二話シノノメナギの恋煩い

これは数年前に遡る。 わたしは家で「新婚ちゃん、おいでやす」をごろんと見ていた。日曜昼の番組だがルームシェアをしている相方が好きな番組だと言うことで録画している…

麻木香豆
2週間前
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縁切り、縁結び

 私は父と母の元に生まれた。  両親との出会い、これがはじめての出会いとなるだろうか。  そこから今までいろんな出会い、そして別れを経験してきた。  いろんな出会…

麻木香豆
2週間前
5

最終話

 それから数ヶ月後。スーツも仕上がり、それを着て店を出る。 「本当にお似合いで。私もお店閉めた後に向かいますので」 「いつもありがとう……シゲさん。素敵なスーツ」…

麻木香豆
10か月前
3

第十九話 元彼?

 後日、李仁はバーの店長から退職届の受理された。辞める際には盛大なパーティーをしたいとのこと。 「そういえばさ、結婚したことは伝えたけどパーティーがお互い忙しく…

麻木香豆
10か月前

第十八話 嫉妬

 いちゃついた後しっかりと朝ごはんも済ませて李仁は仕事、湊音は友人の美容院へ。  美容院に入ると担当でもあり湊音たち二人の友人でもある大輝が待っていた。 最近改…

麻木香豆
10か月前
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第十七話 いちゃつき

 数日後の夜、2人は宅飲みをしていた。李仁が業者からもらったサーバーから出るビールと、つまみは焼き鳥とか皮とかネギマとか砂肝とかにんにく刺しなど。仕込みは全部李…

麻木香豆
10か月前
1

第十六話 家族だもの

二人がパートナーシップ協定を結んで数ヶ月後、現実を知ることになる。  李仁が倒れたと湊音は勤務中に連絡が来てタクシーで病院に向かう。  朝、李仁は普通に料理をし…

麻木香豆
10か月前
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第一話:シノノメナギの恋煩い

第一話:シノノメナギの恋煩い

とある収録スタジオ。
初めて訪れるテレビ局にわたしはとても緊張して手汗が止まらない。
そんなわたしのてにポン、と大きな手がのる。

「大丈夫やて、練習通りすりゃええわ」
安定の関西弁の彼のその載せた手も震えてる。

「わかってる……」
その関西弁につられてわたしの東濃弁はもともと関西弁に近いテイストだけどさらに関西弁ぽくなるけど彼が言うにはまだ違うらしい。

「すいません、本番ですー!」
呼ばれる

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第十話 シノノメナギの恋煩い

第十話 シノノメナギの恋煩い

わたしたいはいつも図書館から歩いてすぐのさびれた商店街の中にある焼き鳥屋さんで飲むことが多い。
夏姐さんの家の近くでもあるし、焼き鳥も炭火焼きで美味しくて土手煮も美味いと夏姐さんが言うからだ。

確かに美味しいかもしれないし、最初の頃は古びた感じと庶民的な感じがいいなぁと思ってたけど毎回行くと必ず夏姐さんの愚痴大会が始まるのでわたし的にはイメージはあまり良くないのである。

案の定今日も酔っ払い、

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第九話 シノノメナギの恋煩い

第九話 シノノメナギの恋煩い

裏のスタッフルームではデスクでパソコン作業しているのが夏姐さん。わたしより10いくつ歳上で先輩。中高生の男の子3人の子供を育てるシングルママなのだ。

「今日、晩ご飯食べにいく?」
お誘いは突然である。多分お酒を飲みたいほど何か憂さ晴らししたいことでもあったのか、ただ気分なのか……その時々によりけりだが。

「マジっすか? もちろんおごりですよね?」
「馬鹿か!」
常田がひょこんと顔を出した。夏姐

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第八話シノノメナギの恋煩い

第八話シノノメナギの恋煩い

次の日、昨晩のお酒がちょっと抜けないまま出勤。少し顔が浮腫んでたけど……。お酒には弱くないけど。

今日も出勤。施設のイベントスペースにてボードゲーム展。いろんなブースでさまざまなボードゲームを楽しめるという。
土日だから盛り上がること間違い無し! って館長も鼻息荒く言ってたこともあり、大盛況だ。

わたしたち図書館でもボードゲームの歴史の本や題材にした小説などの本の展示をしている。そして手にとっ

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第七話シノノメナギの恋煩い

第七話シノノメナギの恋煩い

「意外と出会いあって羨ましいわよォ」
と言うのは大学のサークルで一緒だった薫子(本名は薫、わたしと同じ心は女で派手な格好をしているドラグクイーンみたいなメイクアップアーティスト)。横で頷くのはサアヤ(彼女はわたしたちとは反対で中身と心と戸籍は女、ボーイッシュなヨガインストラクター)

サークルの仲良しメンバーだったこの3人で不定期に近場の酒屋で近況報告をしている。
3人とも結婚してない。薫子は外人

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第六話シノノメナギの恋煩い

第六話シノノメナギの恋煩い

数日後のこと。

今私は図書館前の落ち葉を掃除している。
図書館の入っている施設には図書館以外にもカルチャー教室や喫茶店が入っているし、施設全体を掃除する清掃会社の人もいるけどすぐ落ち葉でいっぱいになるから交代で清掃をするのだ。

今日はわたし。1人でこれだけ拾うのか、と思う人もいるだろうがわたしはそれでいい。
1人でただひたすら履いていればいい。その時間こそ妄想できる時間の一つ。

一つ落ち葉を

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第五話 シノノメナギの恋煩い

第五話 シノノメナギの恋煩い

「あなたー」
「おう」
門男のところに小柄の女性が駆けてきた。近くに住んでいるのであろう。スリッパである。見た感じ50前後。そしてわたしよりも背が低い。

「あなた、老眼鏡忘れている」
「ああ、助かった」
「今日は希美が帰ってくるから。莉乃ちゃんつれて」
「おう、そうだったか」
門男が少し声のトーンが上がった。

希美、莉乃……。

娘と孫の名前?

そうか、彼はおじいちゃんか……。そして小柄な可

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第四話 シノノメナギの恋煩い

第四話 シノノメナギの恋煩い

なんだかんだで今日も今日とて仕事だ。この図書館にはもう長く勤めている。

大学卒業してすぐだ。地元の図書館。
大学の時に研修としていた頃からだから……うむ、長い。

好きな本に囲まれとても幸せである。最新刊を利用者の方よりもいち早くスリスリ、いや、拝むことができる……だったら本屋でもよかったのであろうが図書館で、というのがわたしの夢であった。

カウンターでの貸し出し作業、イベントの企画運営、展示

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第三話シノノメナギの恋煩い

第三話シノノメナギの恋煩い

視力が低いことが助かってか本来の姿を薄目でみて現実逃避して湯船に浸かる。

わたし自身男の体を持って男という戸籍を持ちながらも心が女の子と自覚したのは結構早い時期だった。

両親がずっと不仲で小学校に上がった頃には離婚、母方の祖母に育てられていた。
その頃に気づき、祖母もわたしの考えを尊重してスカートやワンピースを与えてくれた。髪の毛も伸ばした。中学の頃には周りの友人や大人の理解があり女子の制服を

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第二話シノノメナギの恋煩い

第二話シノノメナギの恋煩い

これは数年前に遡る。

わたしは家で「新婚ちゃん、おいでやす」をごろんと見ていた。日曜昼の番組だがルームシェアをしている相方が好きな番組だと言うことで録画しているものが流れている。
わたしは普通にやっている番組もつまらないし、昔からやっている番組ともあって惰性で見ている。

最近司会者がベテラン落語家から若手の落語家に変わったとのことだがわたしはあまり興味はないが素人カップルたちとの年齢差が無くな

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縁切り、縁結び

縁切り、縁結び

 私は父と母の元に生まれた。
 両親との出会い、これがはじめての出会いとなるだろうか。
 そこから今までいろんな出会い、そして別れを経験してきた。

 いろんな出会い、別れ、それらは自分の人生に影響をあたえたものもあればそうでもないし、いいご縁だったり、悪い縁だったりもする。

 社会人の時に嫌な人に出会った際には京都の安井金比羅宮に行き、えんがちょー! とかやってたもんです。

 きっかけは20

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最終話

最終話

 それから数ヶ月後。スーツも仕上がり、それを着て店を出る。
「本当にお似合いで。私もお店閉めた後に向かいますので」
「いつもありがとう……シゲさん。素敵なスーツ」

 湊音も新しく仕立てたスーツを気に入って店の外の窓ガラスの反射越しに見える自分の姿を何度も見入ってしまう。

「湊音さんもお似合いで。李仁」
「いつもありがとう。またよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
 目を細めて

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第十九話 元彼?

第十九話 元彼?

 後日、李仁はバーの店長から退職届の受理された。辞める際には盛大なパーティーをしたいとのこと。

「そういえばさ、結婚したことは伝えたけどパーティーがお互い忙しくてできなかったしミナくんのこと紹介してない人もいるから結婚パーティーも兼ねてやろうってさ」
「今更ー」
「うん、今更」
「だからスーツ新調しに行こう」
「そこまでしなくても……」

 と、数日後にいつもスーツを作っているテーラーに2人で行

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第十八話 嫉妬

第十八話 嫉妬

 いちゃついた後しっかりと朝ごはんも済ませて李仁は仕事、湊音は友人の美容院へ。

 美容院に入ると担当でもあり湊音たち二人の友人でもある大輝が待っていた。

最近改装したばかりの店内。いつもの個室に通される。

「ねぇ、李仁は元気?」
「うん、あ……お見舞いありがとう。快気祝い……本当は李仁が渡したかったらしいけど予約が取れなくて」
「わざわざありがとう。また僕から連絡入れておくよ」

 李仁の快

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第十七話 いちゃつき

第十七話 いちゃつき

 数日後の夜、2人は宅飲みをしていた。李仁が業者からもらったサーバーから出るビールと、つまみは焼き鳥とか皮とかネギマとか砂肝とかにんにく刺しなど。仕込みは全部李仁である。

 湊音はビール片手に口は焼き鳥をもぐもぐ、左手にペンを握って2人の日記帳に今日のことを書いていた。
「ねぇ、ミナ君。日記書けた?」
「うん、あと少し」
「食べながら書くとは、行儀悪いわよー湊音先生っ」
「ハイハイ」
「ハイは一

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第十六話 家族だもの

第十六話 家族だもの

二人がパートナーシップ協定を結んで数ヶ月後、現実を知ることになる。

 李仁が倒れたと湊音は勤務中に連絡が来てタクシーで病院に向かう。

 朝、李仁は普通に料理をしていて何も変わらない様子だった。
 今まで大病も怪我どころか風邪でダウンしない李仁であったが……。

 病院に着いた湊音は受付に行く。
「……槻山李仁は!」
「しばらくお待ちください……失礼ですが、ご家族の方で?」
 受付の人は湊音をじ

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